(001)憧 (百年文庫)

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  • ポプラ社 (2010年10月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118832

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(001)憧 (百年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 百年文庫、100冊の1巻目にして既に濃厚すぎて
    読んだ後にどっぷりと疲弊してしまう。

    太宰治「女生徒」、ラディゲ「ドニイズ」、
    久坂葉子「幾度目かの最期」。

    若く傲慢で破滅的な<憧>たち。
    取り繕うことなくそのままを露呈した人間らしい
    作品ばかりで感情過多な激情の渦にのまれる。

    久坂葉子さんの遺稿となった作品は、
    醜悪なまでに純粋に自分の本能の赴くまま愛を求め、
    身を裂くような愛に焦がれ、穏やかな愛を求め、
    すべての関係を断ち切れず、自分との関係を断ち切った。

    ラディゲ「ドニイズ」は、主人公がまさに「下衆の極み」で
    もう清清しささえ[笑]ラストの間抜けさもかわいくて
    ふっと息抜きしつつ、ラストでまたどーんと疲弊する[笑]

    愛とは理性のきかないところで起きる
    <愛>と<罪>が混沌として混ざり合うことだと
    見事に表現された作品ばかりで圧巻。

  • 眼鏡をとって、遠くを見るのが好きだ。全体がかすんで、夢のように、覗き絵みたいに、すばらしい。

    久しぶりに百年文庫。6冊目は「憧」。このシリーズの1冊目。

    収録は
    太宰治「女生徒」
    ラディゲ「ドニイズ」
    久坂葉子「幾度目かの最期」

    「女生徒」と「幾度目かの最期」は再読。「ドニイズ」もひょっとしたら昔読んだのかもしれない… 百年文庫の1冊目としては「なるほど」と思わせる選び方。

    上に挙げた「女生徒」のつぶやきに会ったのは確か朝日新聞の天声人語での引用ではなかったかと思う。「人間失格」と「走れメロス」しか知らなかった私には「太宰こんな文章を書くのか」ととても印象に残った一節だった。太宰のもので一番好きなものを挙げると「右大臣実朝」かなあ、と思うが、「一番印象に残っているもの」ということでいくとこの「女生徒」かもしれない。

    「女生徒」はやはり魔力のある小説、と今回読み直して思った。文章にからめとられるような読み方は昔からなかなかできないのだけれど、ページをめくってもめくっても「なんと巧い小説なのか」と思ってしまう。そして同時に「ずるい」と。人の良さそうな表情を浮かべながら悪気もなくすっと人の心に割って入ってきて棲みついてしまう… そんな小説。なんだかんだで唸らざるを得ない。

    久坂葉子の小説が並べてあるけれど、どことなく物悲しい。内容もそうなのだが、「女生徒」と並べると「女生徒」の方が圧倒的に魔力があるように私には思えたからだ。「女生徒」はどこを切っても驚くほど「女生徒」の雰囲気をたたえている。自然に書いたように見えて、しっかりコントロールされている(と思う)。太宰の小説に「憧れてしまった」久坂葉子には「女生徒」は永遠に勝てない相手なのかもしれない。無論勝ち負けではないのだけれど、何かに憧れてしまう、というのはその時点で相手に負けてしまっていると感じる、ということなのかもしれない、なんてことを思った。

    後ろの解説を見て知らなかったことがあった。「女生徒」には川端康成も言葉を寄せているのだ。「作者自身の女性的なるもののすぐれていることを現した、典型的な作品」と。川端と太宰と言えば、川端が芥川賞の選考で太宰に苦言を呈したエピソードなどから、仲が悪いイメージしかなかったので少し意外だった。

    このコメントを見て太宰はどう思ったのだろう。「女生徒」の文の隙間から首をもたげる「ずるさ」が作用して「してやったり」なんて思ったこともあったのだろうか。

  • 太宰治の「女生徒」実にリズミカルで読みやかった。1秒1秒少女?が思い描いく描写を事細かく、言葉として表現した作品。
    久坂葉子の作品は、ノンフィクションだろうか?常に一人の男性を思っているのに、他の男性にも目を向ける行動。気持ちと行動は別?人間として理解できなくない。
    が、個人としては、不器用なので、恋愛対象として多くの人に目を向けられない。パートナーは一人いいし、それだけの余裕はないから。

  • 非常に似通った3作品、なのはこの百年文庫シリーズの企画上当然なのかもw また、それぞれの著者である、ラディゲ(20歳で病死)、久坂(21歳で自殺)、太宰(自殺)に関連性が見られるのも面白いところ。どれもが自己の内面の描写を主題としており、「女生徒」では若き女性主人公が日々のこまごまとした生活を通して自己の内面を吐露する、「ドニイズ」では若き男性主人公の恋愛感が、そして「幾度目かの最期」では自殺未遂を繰り返す久坂自身の本当の最期(久坂はこの作品を書き上げた直後に自殺する)が描かれている。久坂の作品は単なる「遺書」だと思う。なので作品として成立しているのかどうか疑わしい。

  • 漢字一字のイメージで名作短編を収録したアンソロジーの第一弾は「憧」。
    いきなり難易度高めなお題選んだなあ…。収録された作家は全員早逝している(三名中二名は自死)からか、ひりつくような若い感性が痛々しくも鮮やかです。
    以下、三作品の超簡易感想。

    太宰治「女生徒」
    少女と女の隙間にいる女学生の一日を、女学生一人称で描いた作品。色々なものを嫌悪する幼い潔癖さを持ちながらそんな自分を恥じ、成長していく身体に戸惑う思春期の少女らしさがよく出ています。
    自意識のお化けに振り回されるのは何時の時代の少年少女も同じなんだなあ。なんだか愛らしい一編でした。

    ラディゲ「ドニイズ」
    ある青年の恋物語。色々めんどくさい男だな!!と言いたくなる主人公にイライラしながら読み進めました。お気に入りの子が処女だと気分乗らないから、その辺の牧童に金払って抱かせるってどんな展開だ。
    恋する男のダメさと可愛らしさ、その両方が描かれている短編でした。オチの少し滑稽な感じも良かったです。

    久坂葉子「幾度目かの最期」
    23歳で死を選んだ作家の、小母へと当てた最後の手紙。
    若いとはいえ、ここまで恋愛にウェイトを置いているとそりゃ生きにくいだろうなあ。これだけ読むと少し(?)メンヘラっぽい恋愛脳な方にしか見えませんが、それが創作のエネルギーに繋がっていたのかな。
    読み終えたあと巻末の「人と作品」を見て、ああこの人は綺麗な雪を見ずに逝ったのかとなんだか切なくなりました。

    全百冊?というすごい数量ですが、短編は好きだし字が大きめでさくっと読めるので、ゆっくりとシリーズを読み進めようと思います。
    漢字一文字のイメージで百冊というコンセプトには、厨二と乙女の悪魔合体的な魔力を感じざるを得ない…!

  • 『女生徒』は本当に男性が書いているのかと思うほどにふわりとして楽しく読めましたが他の二作品は苦手でした。
    自意識過剰だったり遺書のようなものだったり。恋愛の仕方は人それぞれだけれどこの二作品のような恋愛は私には無理です。

  • 太宰治「女生徒」、ラディゲ「ドニイズ」、久坂葉子「幾度目かの最期」。久坂葉子の作品は初めて読んだが、女性の考え方としてどうも理解しかねる。図書館本

  • 5/5トップバッター太宰治「女生徒」だけ読了。
    太宰自体は初めてではないですが、ワタクシはまらなかったのでまだ読んでおらなかったのであります。
    子供と大人が同居する、頭でっかちのくせに移り気なめんどくさい年齢の女の子。
    お見事。

    初めてのラディゲと久坂葉子読了。
    この本の共通点は繊細で自意識過剰な饒舌体といったところでしょうか。
    ラディゲなんか「巴里よ!」とか言ってますよ。
    ちょっとうざいなこの男と思っていたらコミカルな落ちがついてた。
    久坂さんのは遺作で、多分に実話なんだろうな、という感じ。
    自殺しようとする女がおばに宛てた長い手紙。
    本人も何度も自殺未遂(うち一回はファンだった太宰が亡くなったからだとか)して、21歳で鉄道自殺してしまった作家だとか。
    実物があんまりにもエキセントリックだと他の作品を読む気がちょっと萎える気がします。

    装画 / 安井 寿磨子
    装幀・題字 / 緒方 修一
    底本 / 『走れメロス』(新潮文庫)、『詩人のナプキン』(ちくま文庫)、『久坂葉子作品集 女』(六興出版)

  • ドニイズ ラディゲ
    自分が鼾をかくかどうか、僕には死ぬまで知ることができないとは!

    太宰治「女生徒」よかった

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(001)憧 (百年文庫)の作品紹介

「自分は、ポオズをつくりすぎて、ポオズに引きずられている嘘つきの化けものだ」-。素朴な人間であることを願いながらも実生活を知らず、小さな出来事に夢想をひろげる少女の内面生活を描いた『女生徒』(太宰治)。パリの放埓な暮らしに疲れた若者が田舎の娘に恋をする『ドニイズ』(ラディゲ)。自ら命を絶つ直前に「小母さんへ」と書き出された久坂葉子の遺作『幾度目かの最期』。罪の意識と愛への憧れがほとばしる、青春の自画像ともいうべき三篇。

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