- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591118832
感想・レビュー・書評
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百年文庫、100冊の1巻目にして既に濃厚すぎて
読んだ後にどっぷりと疲弊してしまう。
太宰治「女生徒」、ラディゲ「ドニイズ」、
久坂葉子「幾度目かの最期」。
若く傲慢で破滅的な<憧>たち。
取り繕うことなくそのままを露呈した人間らしい
作品ばかりで感情過多な激情の渦にのまれる。
久坂葉子さんの遺稿となった作品は、
醜悪なまでに純粋に自分の本能の赴くまま愛を求め、
身を裂くような愛に焦がれ、穏やかな愛を求め、
すべての関係を断ち切れず、自分との関係を断ち切った。
ラディゲ「ドニイズ」は、主人公がまさに「下衆の極み」で
もう清清しささえ[笑]ラストの間抜けさもかわいくて
ふっと息抜きしつつ、ラストでまたどーんと疲弊する[笑]
愛とは理性のきかないところで起きる
<愛>と<罪>が混沌として混ざり合うことだと
見事に表現された作品ばかりで圧巻。 -
①太宰治「女生徒」が最高に面白い。 読み終わっても、何度でも繰り返し読みたくなる。
お母様からもらった美しい風呂敷を電車の中で膝の上にのせ、
その美しさにうっとりしながら撫でている。 ”誰かに見てもらいたい。 誰も見ない” 自慢したいけど、そんな事は下品だという、相反する気持ち。
この電車の中での妄想劇がとても面白い。
彼女がノリ突込みをしているところが何ともユニークで、素直になりたいけど、ついつい意地悪心が出てしまう。 「揺れ動く乙女心」ここにあり、という感じ。
なぜ太宰が思春期の女子の移り気で、不安定で、誰にでも反抗的、おしゃまな感じが書けたのか?太宰が自意識過剰気味な少女になった気持ちで書いている姿を想像するだけで、楽しくなってしまう。
②ラディゲ「ドニイズ」 パリの淑女とのお遊びに飽きて田舎娘にちょっかいを出しにやってきた彼が、花作農家の娘ドニイズに心奪われる。
姑息とも思われる手法で恋の駆け引きをするが、彼女の方が一枚上手なのである。彼女を思ってジタバタする彼の心理が可笑しい。
文章が詩的で、フランス人のいやらしさが可憐に変身している。 これを書いたのが17歳の時というから、かなり早熟だったですね。
③久坂葉子「幾度目かの最後」 彼女の生い立ちを読むと、このタイトルすら悲劇的。 若くして大人たちの中で仕事と恋に翻弄され、解放されることがなかったのではないかしら。 15歳で詩を書き、17歳で同人誌に寄稿するようになり、19歳で芥川賞候補に。 更に、ラジオシナリオや劇作などを書き、この作品を書いていた21歳の時にはすでに、「書けなくなって」しまっている。
不倫、恋、お見合い、其々の男性に様々な思いを寄せながら、自分は一体だれと一緒にいたいのか、2番目の男性「鉄路のほとり」の事を本当に好いていながら、お見合い相手「青白き大佐」への遠慮のない関係にホッとしてみたり、不倫相手「緑の島」では仕事場であっては心乱される。
仕事に忙殺され、自分自身の感情に整理がつかず、錯乱し、嫌悪する。
もっとゆっくり生きられたら、どうしてそんなに急いで生きてしまったのか
そう思うと、悲しくなってしまいます。
コメントありがとうございます。
礼儀正しいなんてことないですよ 笑
すぐ形から入るタイプだけなんです。
...
コメントありがとうございます。
礼儀正しいなんてことないですよ 笑
すぐ形から入るタイプだけなんです。
そして、すぐ挫折するのですが……
でも、今回は何年かかっても全部読んで
みたいです(*^^*)
『憧』、初めてのお話ばかりで集中して
読むことが出来ました♪
コメントを差上げたのは1年前だったのですね、やっと百年文庫に出会えました!
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コメントを差上げたのは1年前だったのですね、やっと百年文庫に出会えました!
想像通りの装丁に嬉しく思っています。ありがとうございました!
こちらは暖かいですが雨が降ってます。
本来ならミゾレとかになるのてをしょうけど、今年は本当に暖かいですね。
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こちらは暖かいですが雨が降ってます。
本来ならミゾレとかになるのてをしょうけど、今年は本当に暖かいですね。
百年文庫の装丁、気に入っていただいて嬉しいです。本って読むだけでなく、装丁や紙質の手触りなどもテンションが上がる要因ですよね(*^^*)