(005)音 (百年文庫)

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  • ポプラ社 (2010年10月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118870

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(005)音 (百年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 百年文庫5 音がテーマ。

    幸田文「台所のおと」 ☆5 台所の風景、支度の様子が読んでいると、目の前に浮かび上がってくるようだった。幸田文さん。。。素敵すぎる。あきの台所の支度に聴き入る夫、佐吉。佐吉は料理人なのだが病で床に伏している。ふすま越しにあきの所作に耳を澄ます。緊張しそうなのだが、(実際に緊張もあるけど)あきの必死さ清々しく、じわ~っと泣けてくる。幸田さんの作品、もっと読んでみたい。静かであったたかい。
    「狐いろ」とか、言葉の一つ一つが美しい。日本語ってきれいだな…とあらためて思った。

    川口松太郎 「深川の鈴」 ☆3 私と円玉の会話が深い。円玉の紹介で糸と縁が出来たのに…、私に文才があると判明した時に円玉は、(あんなに薦めていたのに)糸と別れろと言う。そして生粋の江戸っ子で利口な糸は、一緒にいてはいけない人だと一番感じて、さっさと違う人と祝言をあげてしまう。なんと切ない。その何十年後かに、糸の孫が私の前に現れて…。
    音(鈴)の描写が懐かしさや過ぎた年月を感じさせて、すごいなぁ…と思った。(けど男の人が書く身を引く女が昭和美談すぎて…ね。)

    高浜虚子 「斑鳩物語」 ☆3 昔…教科書かなんかで読んだことがあるような気がしたけど…、こういう話だったっけっか?。。。修学旅行で法隆寺を見学した記憶がぱぁ~っとよみがえった。出てくる奈良の言葉が難しくって…口に出して読んだら、五段活用みたいで面白かった。(舌噛みそうだった)時々、俳句?が出てきて、それも趣があったけど、冒頭の菜の花畑と梨子の黄色と白の風景の描写がとても美しくって、読んでいてしあわせだった。けど最後の方はぼんやりとしか想像できなかった。


    結果、やっぱりオール日本文学の方が読みやすいし好きだな。次回は何にしようか迷う。幸田文の作品を今年は読んでみたい♪あとがき「人と作品」もわかりやすくって、ありがたかった。

  • 幸田文、はじめて読んだけど良かった。くわいを揚げる音、どんななんだろ。
    川口松太郎、他のも読んでみたいなあ。
    最後のはなんかあまり印象に残らなかった。

  • 3編とも穏やかで好きなんだけど、特に『台所のおと』がいい。
    このシリーズ(百年文庫)、休みの日に少し時間潰すのにちょうどいいかも。

  • 幸田文 『台所のおと』
    妻が台所をする際の描写が、とても丁寧で、自分も病気に伏している夫のように
    目の裏に調理の情景が浮かんでくるような文章だった。
    会話文が多く説明描写は少ないが、その中で登場人物がどんなことを
    思っているのか、きっとここでは内心涙を堪えているのだろうなといったことが
    読者に伝わってくるような温かみある言葉のやりとり。

    川口松太郎 『深川の鈴』
    腕に鈴をつけたまま行為をする……艶っぽい
    懸賞に当選した時、お糸は主人公の背中に顔を押し付けて泣き出すが、
    それは愛するものの努力が報われたという喜びだけではない。
    後に、実はその瞬間に、お糸は主人公のためを思って身を引く覚悟を
    決めていたことがわかる。
    その涙を意味を考えると、切ない物語だなと思う。

    高浜虚子 『斑鳩物語』
    風景描写がとても緻密。文章で写生を行っているようである。

  • 百年文庫11冊目は「音」

    収録は
    幸田文「台所のおと」
    川口松太郎「深川の鈴」
    高浜虚子「斑鳩物語」

    いずれも初読。高浜虚子散文も書いてたんだとへええとなる。

    一番いいなと思ったのは「台所のおと」だろうか。文章の端々から、夫婦の微妙な感情がたちのぼるようで「名文だなー」と思ってしまった。すごい比喩とかあるわけじゃないんですけどね。言葉の選び方? 視線? 佐吉がなんだか優しく感じる。

    「深川の鈴」は前読んだ宇野千代と同じくドラマとかにしてみたいような小説でした。

    全体にどきどきするような雰囲気はなく、静かな「音」を感じさせる作品たち。

  • 借りたときは地味かな~とおもったけどかなり読ませられる。すごい作品ぞろい。どれもこれも、ものすごく深く頼りがいのある視点がすえられた日常のひとまくなんだけれど、なんかいいわ~では済ませられない大きなうねりのような、まるで時間がそのままおしよせてきているような、しかし興奮ではなくあくまで静かな気持ちで読んだ。とにかくすごい。
    幸田文は特にすごいと思った。台所の音っていう、病人が枕元に嫁の台所の音を聞く話で、まったく余分なことを書いている気がしないのに、雑然と生活がある様子や、愛情のひきこもごもや、すべてを書いているという感じがするのがすごい。川口松太郎はわたし好きかも。高浜虚子は奈良のはなし。干し柿のよう。

  • ・幸田文「台所のおと」△
    同シリーズ「水」「青」と読んできて、日本人作家のは「また病気ものか…」とちょっと辟易。病気好きだね日本人。
    夫が床に伏せてじぶんの代わりに台所の妻がたてる音に耳を傾ける。台所の音から心までお見通しのような美文。
    しかしこうも美文であると最後にはうっとうしいのだ。

    ・川口松太郎「深川の鈴」◎
    第1回直木賞作家。「大衆小説は描写じゃない。筋であり、物語である」
    江戸!人情!
    江戸っ子なだけに江戸っ子の書くものはどうも好きなようだ。そういえば色川武大もそうか。
    芸道もの世話人情ものってのも気になる。

    ・高浜虚子「斑鳩物語」×
    「『写生』という俳句理論を継承・発展させ、それを散文にも適用した人物」
    へー。わかんなかったや。

  • 『台所のおと』幸田文
    くわいの柔らかな揚げ音、菜を洗うしゃあっ、包丁のとっ。
    病や将来の不安で全体的に重めだけど、静かで心地よい音がたくさん。
    これ好き〜。

    『深川の鈴』川口松太郎
    江戸っ子のはきはき、しおらしさを合わせ持つ魅力的な女性。お糸と過ごした幸せな時間が鈴の音と共に蘇る。
    これも好き〜。

    『斑鳩物語』高浜虚子
    いまいち。読んだの忘れて、読み返しそうになった。

  • 幸田文『台所のおと』
    川口松太郎『深川の鈴』
    高浜虚子『斑鳩物語』

    ー障子のむこうから
    優しい音が聞こえてくるー

    だいぶ前によんだのでしっかり覚えている所は少ないのですが、個人的に幸田文さんの「台所の音」がとても透明感があって行間が奇麗だった印象が残っています。

  • 幸田文『台所のおと』、川口松太郎『深川の鈴』、高浜虚子『斑鳩物語』。「音」が物語を動かす鍵になっている短篇3編が収録されている。幸田文の『台所のおと』は本当に心洗われるような、繊細な美しい音に満ちている。海老をすりつぶすときのみちみちとした音、くわいの練り物を揚げる雨のような音。文の実の父幸田露伴は、実際にくわいの練り物を揚げるのを雨と聞き間違えたそうだ。台所で丹念に手を抜かず料理を作る筆者の生活が窺える筆致。昔の女性のつつましやかな台所の立ち姿が浮かぶ。たちの悪い病気を患う夫が耳を澄ませる中、その病状を隠して台所に立つ。夫はその音に妻の心情を慮る。その営みの音は切なく愛しい。他の2編も、聞こえる音は非常に日本的な情緒があって、余韻を楽しむような美しい響きに満ちている。若い方、刹那的な現代小説に辟易としている方に是非読んでもらいたい。

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(005)音 (百年文庫)の作品紹介

病床の佐吉は台所の音を聞こうと寝返りを打つ。障子を隔て心を通いあわせる夫婦の姿-幸田文『台所のおと』。深川育ちで働き者の後家と小説家志望の「私」、ふたりはすし屋の二階で暮らし始めるが…。貧しくもいじらしい愛、川口松太郎の『深川の鈴』。菜の花が美しい大和路の宿、夜も更けて冴えた機織りの音が聞こえてくる…。純朴な娘の想いをほのぼのと描きだした高浜虚子の『斑鳩物語』。何気ない暮らしの音が優しく響く三篇。

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