(006)心 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.38
  • (8)
  • (13)
  • (26)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 201
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118887

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『心の中にしまった想いは、いつしか溢れ出す』

    人に知られたくない想いを、心に留めようとすればするほど苦しくなっていく。そして最後には、その想いを吐き出さざるをえない。そんな3つの物語を集めた短編集。

  • いずれも、うまく生きられない、心のままに生きられない人たちの物語。
    特にプレヴォーの作品の奥行きが胸に残る。
    よかった。

  • “心”をテーマに、ドストエフスキー『正直な泥棒』、芥川龍之介『秋』、プレヴォー『田舎』の三篇を集録。
    どれも人間の心の美しさ、醜さ、浅ましさ、人間の感情全てを内包するような話ばかりで切ないやら悲しいやらだったが、最後まで読み進めるとすとんと胸に落ちるものがあって満たされた。
    美談のようで美談ではない話なのだけど、それだからこそ読んでいるこちらの気持ちを動かすものがあるんだなと思えた。
    一番好きだなと思ったのは、同じ人を好きになったある姉妹を描いた芥川作品。
    いわゆる三角関係ものではあるが、姉妹愛がもともと強く互いを想っていた二人だからこそ生まれる悲しみ、憎しみ、意地の悪さが悲しい。
    切ないけどもいいラブストーリーだった。

  • それぞれが、人間の「心」を扱った作品なのかな?

    どれも人間の心、醜さだったり、美しさだったり浅ましさだったりを扱っていました。読後、ちょっぴり切なくなり、寂しくなり、けれど心は間違いなく満たされました。

    芥川とプレヴォーが「恋心」を扱った作品ということもあって、ドストエフスキーの『正直な泥棒』は異彩を放っています。

    いわゆる駄目男でありながら、見捨てることができずにいたとある男について語る下宿人。語られている彼と似たような境遇にある下宿人が何とも皮肉であり、なんとなく、彼の非業な未来を邪推してしまいます。

    日本人らしさと言っていいのでしょうか、芥川の作品が最も心に響きました。

    姉を中心に、姉妹の感情が随所に出ていました。悲しみ、虚しさ、後ろめたさ、互いを思う愛情、同じ人を思う恋心…。とても切ない恋物語です。

    あまり男性の心情については語られていません。なので、食卓を囲む他愛ない会話の「人間の生活は掠奪で持っているんだね」と言う男性の何気ない言葉が何とも重たく、とても印象的でした。

    姉と、思い人であった男性のすれ違うシーンに全てが集約されているような気がしました。題名の通り、秋にしっとりと読みたくなるお話です。

    プレヴォーは、最初、「えっ昼ドラ…?」と思ったりもしたのですが。全くドロドロしていません。むしろ爽やかなくらいかも。女性の貞淑さ、そして一途な恋心に胸打たれます。本編に触れてしまうと読む楽しさが減ってしまうかもしれませんね。まずは、じっくりゆっくり、最後まで読むのが一番かもしれません。

  • 芥川さんの作品といえば「蜘蛛の糸」「羅生門」「鼻」などが有名で、それも大好きだったんだけど、そういう系の作品しか 書かないと思ってたら!たらたらたら!!
    なんと芥ちゃん「秋」っていう
    切ないラブストーリー書いちゃってるんだなー
    しびれたーもぅめっちゃ好きになっちゃったねこりゃ
    ってなわけで、他に芥ちゃんがラブストーリー書いてないか調べて読破しようとしている次第であります

著者プロフィール

(Fyodor Mikhaylovich Dostoevskiy)1821年モスクワ生まれ。19世紀ロシアを代表する作家。主な長篇に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『未成年』があり、『白痴』とともに5大小説とされる。ほかに『地下室の手記』『死の家の記録』など。

「2010年 『白痴 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ドストエフスキーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×