(006)心 (百年文庫)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118887

作品紹介・あらすじ

酒場で出会った酔っ払いが家に転がり込み、そのまま居ついてしまった。「犬っころみたい」な目で見つめられると追い出すこともできず…。寄る辺なき者の願いが胸にせまるドストエフスキーの『正直な泥棒』。かつて結婚を考えた従兄は妹と結ばれた-。ふたりの家庭を訪ねた姉の静かな言葉、胸に畳まれた哀しみ(芥川龍之介『秋』)。高名な脚本家となった男に初恋の相手から手紙が届く。女性の決断が胸を打つプレヴォーの『田舎』。秘めた感情があふれる瞬間の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「心」というテーマでこの三作を収録することにした経緯が知りたい…!
    いずれもとても滑稽で、哀しい物語。

  •  『秋』と『田舎』が好きだった。心に沁み渡るような話だった。このシリーズの短編集、空いた時間に気楽に読めるし、選びとられている話もテーマに合ってていいな。一度にいろんな作家の作品を読めて、読む本の幅を広げるのにもいい気がする。ゆっくり考えたいけど時間がなかなか取れない時、拾い読みして読み返しやすい量だし。本当だったらもっとじっくり世界観を味わいたかったな。

     プレヴォーの作品を初めて読んだけれど、細かい心情の違いを描くのに長けているんだな。よくそんな機微に気づくよなあ。
     美しい夢に生きている人間は、夢が現実に吸収されそうになった時、自分だけのその美しい夢が壊れるのを恐れて、ついに一歩を踏み出せない。どんな現実の辛さよりも、夢を壊されることの方が辛い。
     マドレエヌが、自分が愛する夢の人が、自分を真から愛してくれないことに耐えられないという主張が、自尊心が傷つけられるからではなく、相手の意のままになり、自我を失う不幸な運命から逃れるためだというのも、結構納得できる。そしてそれは、正当な防衛本能だな、と。

     ただ出来事だけを並べられたら、マドレエヌの心情について、全然別の解釈をしてしまう。でもこうやって白状するパートがあると、予想だにしない心情の吐露に遭遇できて、面白いなと思う。実から見て予想される人間の心情なんて、幾通りもあると思うし、決めつけるなんて馬鹿げたことをしないように。

  • なんだか不思議なシリーズを見つけた。

    往年の名作家たちの短編が三話、編者の一文字で括られたシリーズ。
    文字も大きくて読み易く、肩肘張らずに楽しめる。

    まずは「心」
    ロシア文学会からはドストエフスキー、日本は芥川龍之介、フランスからはプレヴォー。

    それぞれの味の違いが面白い。

    特にプレヴォーの『田舎』は森鴎外が訳しており、日本の小説界の黎明期らしさが漂っていて、ちょっと楽しい。

    この〈百年文庫〉シリーズ、良いかも……。

  • ドストとプレヴォーが初めて。
    ドストは後半お互いのセリフにいっちいちフルネームの呼びかけがあって読みにくい。そして馴染みがないので覚えられない……(T_T)
    プレヴォー面白いけど「そりゃないぜマダム」なお話だった。
    間に挟まった芥川も読ませるけど、この姉妹なんか嫌だ(^_^;)

    装画 / 安井 寿磨子
    装幀・題字 / 緒方 修一
    底本 / 『ドストエフスキー小説全集 1』筑摩書房、『芥川龍之介全集 第六巻』岩波書店、『諸国物語(上)』ちくま文庫。

  • 「心」をテーマにした、世界の名作家の短篇集。
    どの作品も、めちゃくちゃエキサイティング!ってわけではないけど、不思議と味わい深くて、ひとの人生の一コマを覗き見ているような面白さがあります。
    そして、読み終わった後には、妙なもやもや感が残ります。なんというか、アモラル、というか。だけどそこに、現実の面白さに近いものを感じます。

    これがあの作家の味か、というのを気軽に味わえるのが短篇のいいとこだと思う。他のシリーズも読んでみたくなりました。

  • アスターフィイ・イワーヌイッチ、アスターフィイ・イワーヌイッチうるせえぇぇぇぇ!!! と思ったのは自分だけ?

  • (図書館で借りた)
    よくわからなかった…心にまつわる話

    ドエトエフスキー(小沼文彦訳)
    正直な泥棒
    2人で会話しているのに、お互いに、めんどけさそうな名前呼び合ってるのがキツイ。
    オチもよくわからない小説だった。
    なんだったんだろう?(笑)

    芥川龍之介 秋
    うーん、なんか、こういう女の人いるよね。
    姉妹の話なんだけど。
    自分が好きだった従兄弟に、従兄弟がすきであろう妹と結婚させて、自分はツマラナイ夫と結婚し…
    最後、ちょっと、もやっと終わる。
    うん、モヤッと終わる話だった。

    プレヴォー(森鴎外訳) 田舎
    あー、なんか、都会に住む紳士っぽい人と
    むかし出会った田舎の年上女が
    昔のことを思い出し…
    女が会いたいと手紙をよこしたとこに
    紳士っぽいのがホイホイって
    結局振られるみたいなやつ。
    女の書簡がメインなんだけど…
    戯曲「ラブ・レターズ」を思い起こさせる。

    まあ、女の手紙は行間を読んだほうがいい
    ってのはわかる気もした。

  • 芥川の『秋』は登場人物たちの関係性が福永武彦の『廃市』に似通っているのだが、こちらのほうは姉の心情に底意地の悪さを感じてしまう。プレヴォーの『田舎』も書き出しの主人公の描写は現代のSNSに通じるものがあり、人間の心は時代を経てもそう変わるものではないと痛感する。

  • 『心の中にしまった想いは、いつしか溢れ出す』

    人に知られたくない想いを、心に留めようとすればするほど苦しくなっていく。そして最後には、その想いを吐き出さざるをえない。そんな3つの物語を集めた短編集。

  • いずれも、うまく生きられない、心のままに生きられない人たちの物語。
    特にプレヴォーの作品の奥行きが胸に残る。
    よかった。

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著者プロフィール

(Fyodor Mikhaylovich Dostoevskiy)1821年モスクワ生まれ。19世紀ロシアを代表する作家。主な長篇に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『未成年』があり、『白痴』とともに5大小説とされる。ほかに『地下室の手記』『死の家の記録』など。

「2010年 『白痴 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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