(017)異 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.64
  • (10)
  • (20)
  • (25)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 185
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118993

作品紹介・あらすじ

並はずれた美男子と結婚した「私」は、夫が夜ふけになると床をぬけ土蔵に行くことを怪しみはじめる。闇の中、手探りで梯子段をのぼっていくと-。隠さねばならなかったこの世ならぬ歓楽と哀しみ(江戸川乱歩『人でなしの恋』)。自信に満ちた裕福な学者が、ベッドの下に光る二つの目に神経をかき乱されてゆく(ビアス『人間と蛇』)。放蕩の限りをつくす名門一族の「私」が、同姓同名の同級生に追われる恐怖を描いたポーの『ウィリアム・ウィルスン』。背筋のさむくなる三篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 乱歩しかり、ポーしかり、一人称の告白はなんとぞくぞくするのだろう。
    聞いてはいけないことを聞いてしまったような後ろめたさが、余計に怖さを煽ります。

    夫しかいないはずの土蔵から聞こえる愛の睦言、ベッドの下の暗がりに光る2つの目、姿かたちがそっくりで名前も同じ謎の男···。
    なにか怖いことが待ち受けていることは百も承知なのだけど、結末を見届けずにはいられない。
    「異」の文字にふさわしい3編に、ひやりとした涼をわけていただきました。

    なお、ポーの『ウィリアム·ウィルスン』は江戸川乱歩の訳。
    少し古めかしさのある分、ムードたっぷりの語り口が臨場感を高めてくれます。

    -------------------------------
    ◆収録作品◆
    江戸川 乱歩 『人でなしの恋』
    ビアス 『人間と蛇』
    ポー 『ウィリアム·ウィルスン』
    -------------------------------

  • 名作短編集。
    江戸川乱歩「人でなしの恋」
    ピアス「人間と蛇」
    ポー「ウィリアム・ウィルスン」

    いずれも自ら生み出した幻想、妄想に溺れる、あるいは引き摺り込まれる話で、怪しくも面白い。

    中でも江戸川乱歩は、今の漫画でもありそうな設定で、レトロな語り口も相まって随分面白く読んだ。
    ウィリアム・ウィルスンは、途中まで面白いし、きっとこうなんだろうな、という予想通りで期待を裏切らない感じではあったけど、この結末だとすると、今、語ってるのは誰なん?となった。途中まではウィルスンが語る過去の話、途中からは今でウィルスンが体験してること、にならないと、辻褄が合わない気がするんだけど、何か見落としてるのかな。

    いずれにしても、この3編、いい取り合わせには違いない。

  • 江戸川乱歩ならではの、耽美さと異様さが混じった艶めかしさ。
    青白い美青年である自分の夫が、毎夜ひとり、蔵の2階で誰かと
    ひそひそ語らっている。果たしてその正体とは……。

    現代だったら、わりとありそうな嗜癖を持つ夫。
    昔はおぞましいと読者に恐れられたのだろうが、今の自分が読むと
    「あー、あるある」と思ってしまうあたり、現代の感覚は恐ろしいなあと
    苦笑してしまった。

  • 悪魔の辞典しか知らなかったので、ビアスの世界観はこれで初めて知った。ポーの話に乱歩のパノラマ島奇談を思い出した。着想だったりして。同じ本に収録されて、乱歩は喜んでいるだろうか。

  • 新婚の夫が夜な夜な土蔵へ向かい後を追った妻は扉を隔てて睦言を聞く。夫の愛した女性は人形だった、江戸川乱歩の作品中ワタシが一番偏愛する『人でなしの恋』、部屋のベッドの下に光る緑の瞳。その瞳に神経をかき乱され発作を起こして死ぬもその蛇は剥製の蛇だった、ビアス『人間と蛇』、放蕩の限りを尽くす「私」と同姓同名、誕生日も一緒、顔立ち背格好服装まで何から何まで一緒のかつての同級生が、私の行く先々に表れ邪魔をする。この男は何物なのか、葬り去ってしまったのは私の良心なのか、ポーの『ウィリアム・ウィルソン』の3篇を収録。

  • この三人の組み合わせがよい!

  • 古典ってやっぱり難しいなぁ、と思った。でもこのくらいの短編で、読みやすい本になっているので、スラスラとは読み進められなかったけど、面白い!と感じることができた。「人でなしの恋」が一番わかりやすく、楽しく読めた。
    シリーズの他の本もチャレンジしたい。

  • 江戸川乱歩いい!!人でなしの恋いい!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ネタバレになるから詳しくは書けないけど、コノ手の話に目がありません。。。
      ネタバレになるから詳しくは書けないけど、コノ手の話に目がありません。。。
      2012/12/17
  • 現代のホラーの原型がすでにここにあると言えるだろうか。しかしまた原型は原型なので、刺激という部分ではやや物足りない気もする。特に『人間と蛇』については何故そういう結末に至るのか、今ならよほどの追加材料で説得力を持たせない限り成立しないプロットだと思う。95/100

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00515294

全43件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江戸川乱歩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×