- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591119013
作品紹介・あらすじ
「僕は、あの、小説家になりたいと思っているんだ」-新聞配達をしながら廓に通う「私」は、遊女になって間もない純朴な娘と親しくなり、想いを伝えようとするが…(小山清『朴歯の下駄』)。刑務所に夫のある妓が客のひとりに惚れてしまう…雪景色が涙をさそう藤原審爾の『罪な女』。惚れた男との最後の宴、悲嘆にくれる花魁・吉里に、どうしてもいま会いたいと待ち続ける客が-。すれ違う男女が哀しみを織りなす広津柳浪の『今戸心中』。遊里を舞台にした切ない恋の物語。
感想・レビュー・書評
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罪な女/藤原審爾 大町さんがかっこよすぎて興奮する。
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里ってタイトルは遊里の里。昔はこういう小説ジャンルがあったのだ。今の時点から見れば作者も男性だし男のご都合主義と見えなくもないが、これはこれで一つのあり方として成立していた文化だったのだろう。51/100
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のどかな田園風景を思っていたら色里ものでした。
遊女の恋は切ない…。 -
里とはなんぞやと思えば遊里のことだった。しかし昔の郭遊びっていうのは何とも贅沢ですな。身上をつぶす人が出るのも無理もない。
どれも「はいはい」といった感じのロマンチシズムにあふれているのだが、「今戸心中」はひねりが入っていて面白い。 -
『今戸心中』のラストで泣いた
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2013.416
『朴葉の下駄』小山清
気持ちを伝えようとした矢先に、他の男の元へ行ってしまった遊女のはなし。
『罪な女』藤原審爾
花魁のお愛がまるで子供のようでかわいらしい。
『今戸心中』広津柳浪
客を思い続け、とうとう身を滅ぼした花魁のはなし。泣きすぎるのって身体によくない。でも泣いちゃうんだよね〜。
そぼくな里の三話を想像して読んだら、遊里。そっちか〜。 -
小山清『朴歯の下駄』
藤原審爾『罪な女』
広津柳浪『今戸心中』 -
小山清「朴歯の下駄」(1949)、藤原審爾「罪な女」(1952)、広津柳浪「今戸心中」(1896)の三編。里という題から山里の話を想像したが、三編全て遊里で繰り広げられる切ない恋とその行方が描かれている。このような話を書く作家には、大いなる経験が要ると思われる。出色の出来は「今戸心中」。全く時代を感じさせない。登場人物の心の機微が伝わり、人生と色恋は時が経ても同じことの繰り返しだと感じる。どの話も切なく、身につまされる。