(019)里 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.45
  • (2)
  • (7)
  • (9)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 62
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119013

作品紹介・あらすじ

「僕は、あの、小説家になりたいと思っているんだ」-新聞配達をしながら廓に通う「私」は、遊女になって間もない純朴な娘と親しくなり、想いを伝えようとするが…(小山清『朴歯の下駄』)。刑務所に夫のある妓が客のひとりに惚れてしまう…雪景色が涙をさそう藤原審爾の『罪な女』。惚れた男との最後の宴、悲嘆にくれる花魁・吉里に、どうしてもいま会いたいと待ち続ける客が-。すれ違う男女が哀しみを織りなす広津柳浪の『今戸心中』。遊里を舞台にした切ない恋の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 罪な女/藤原審爾 大町さんがかっこよすぎて興奮する。

  • 里ってタイトルは遊里の里。昔はこういう小説ジャンルがあったのだ。今の時点から見れば作者も男性だし男のご都合主義と見えなくもないが、これはこれで一つのあり方として成立していた文化だったのだろう。51/100

  • のどかな田園風景を思っていたら色里ものでした。
    遊女の恋は切ない…。

  • 里とはなんぞやと思えば遊里のことだった。しかし昔の郭遊びっていうのは何とも贅沢ですな。身上をつぶす人が出るのも無理もない。

    どれも「はいはい」といった感じのロマンチシズムにあふれているのだが、「今戸心中」はひねりが入っていて面白い。

  • 「里」というタイトルだから、田舎のお話もあるのかと思いきや、3作品とも遊廓のお話だった。
    どれも似たような舞台なので、もうちょっと違った毛色の話も入れてほしかったなぁ。

    「朴歯の下駄」
    なんとも歯がゆいような、当然の結果のような。
    決して交わらない距離と、温度差を感じた。

    「罪な女」
    熱烈で必死な恋愛。
    しかし、それはやっぱり実を結ばない。
    地に足がついていないから。
    しがらみを、切ってみろ。
    と言いたくなる。

    「今戸心中」
    正しく「里」さんが主人公だ。
    登場人物がなんとなくざわざわしていて、やや分かりにくい。
    どの人間もあてにはならない。
    上っ面を流れていく。
    その中でとどまる心には、行き場はない。
    結局、遊女は遊女。
    みんな現実に帰ってゆくのだ。
    善吉に情をかけてみても、ごまかしはきかない。
    そもそも、仮初の場所なのだ。
    本物の心を求めてた吉里は、悲しく、あるいは愚かなのかもしれない。

  • 『今戸心中』のラストで泣いた

  • 2013.416
    『朴葉の下駄』小山清
    気持ちを伝えようとした矢先に、他の男の元へ行ってしまった遊女のはなし。
    『罪な女』藤原審爾
    花魁のお愛がまるで子供のようでかわいらしい。
    『今戸心中』広津柳浪
    客を思い続け、とうとう身を滅ぼした花魁のはなし。泣きすぎるのって身体によくない。でも泣いちゃうんだよね〜。

    そぼくな里の三話を想像して読んだら、遊里。そっちか〜。

  • 小山清『朴歯の下駄』
    藤原審爾『罪な女』
    広津柳浪『今戸心中』

  • 小山清「朴歯の下駄」(1949)、藤原審爾「罪な女」(1952)、広津柳浪「今戸心中」(1896)の三編。里という題から山里の話を想像したが、三編全て遊里で繰り広げられる切ない恋とその行方が描かれている。このような話を書く作家には、大いなる経験が要ると思われる。出色の出来は「今戸心中」。全く時代を感じさせない。登場人物の心の機微が伝わり、人生と色恋は時が経ても同じことの繰り返しだと感じる。どの話も切なく、身につまされる。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小山 清(こやま・きよし):1911-65年。作家。東京浅草の生まれ。新聞配達などの職についたのち、1940年に太宰治を訪ね、以後師事する。太宰の死後、作家に。著書に『落穂拾い』『小さな町』『犬の生活』『日日の?麭』など。

「2023年 『小さな町・日日の麺麭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小山清の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×