(025)雪 (百年文庫)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119075

感想・レビュー・書評

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  • このようなアンソロジーででもなければ読まないであろう作家ばかり

    『母』 加能作次郎
    自伝的な作品であるよう。
    「昔あったとい。」「聴いたわね。」

    『東北の女』 耕治人
    雪→東北→暗い、みたいな感じ。貧乏と親戚づきあいと。家族・親族単位の貧乏は今の時代にはなかなか出てこないテーマだろうな

    『女中っ子』 由起しげ子
    こちらは一転して明るくおかしい。この作品も映画化されたり流行作家だったみたい

  • 雪と方言はなんとしっくりとくる取り合わせなのか、と三作品を読んで感じました。
    昭和初期あたりの日本の貧しさ、素朴さが伝わってきました。

  • 「母」
    継子と継母の、埋められない溝。
    誰が悪いわけではない。
    「血」というものは、不思議だ。
    昔話でもよくある。
    かぐや姫だって、皆に大切にされたのに、結局は月に帰ってしまうのだ。
    産みの親の力は、大きい。
    善人同士であたたかい心を持っていても、客観的には取るに足らないささやかなことで、変に遠慮をしてしまう。
    少し悲しい。

    「東北の女」
    いやー、実に厚かましい!!
    ふといなぁ。
    そんなに太くなれるくらい、切羽詰まっていたのだろうけれど、自分の娘を押し付けに行く、なんて、ちょっと現代では感覚が違うなぁ。
    昔は養子とかが普通に行われていたのだろうけれど。
    もう大人になりかけている幸子は、どんな気持ちで叔父のアパートへやってきたのか。
    彼女の様子から、それは並々ならぬ決意があったろう、と想像できる。
    最後の、実家に帰省した際の幸子のくつろいだ様子が、今までの姿と対照的にうまく描かれている。

    「女中っ子」
    これも押しかけるお話だ。
    勝見への愛情があたたかい。
    梅子夫人は女くさい(女らしい)わがままぶりだ。
    常に自分の気に入ったようにしたい、誰か悪者を作っておきたい、そんな人だ。
    勝見と梅子の関係が改善すると、勝見と初との間が離れてしまう。
    いたしかたない、と思う。
    しかし、勝見ぼっちゃん、初が去ったこと・その理由を知ったら、彼の小さく温かい心は痛むことだろう。
    それでも、彼にとっては、当然母の存在のほうが大きいに決まっているのだけれど。

  • 『母』加能作次郎
    継母継子の間のやるせなさ。『あったとい。聴いたわね。』のリズムが余韻を残す。

    『東北の女』耕治人
    子を持つこと。貧窮からくる苛立ちや情けなさを感じつつ、心に温かさを覚える。ハタハタのすし漬、ごはんの描写は読んでて楽しい。

    『女中ッ子』由起しげ子
    働き者で強く優しい初。気持ちよく読める。

  • 2012.10.6読了。

    読みやすいシリーズ、百年文庫。由起しげ子がいい。

  • ポプラ社 百年文庫の第25巻。
    「雪」が暗喩するかの如く、北の国的なるものを思わせる三作品。

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