(032)黒 (百年文庫)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119143

作品紹介・あらすじ

司祭フーパーはある日、黒ベールで顔を覆って説教壇に立った。村は騒然となり非難と噂が飛びかうが、司祭はどんな時もベールを外そうとしない(ホーソーン『牧師の黒のベール』)。醜聞で私服を肥やす強請り屋の新聞記者が、妖気漂う未亡人の館でみたのは…(夢野久作『けむりを吐かぬ煙突』)。ファクスランジュ嬢は恋人を捨て莫大な資産を持つという「男爵」と結婚するが、連れて行かれたのは山峡の匪賊の根城だった(サド『ファクスランジュ』)。闇に放たれる罪と欲望のゆくえ。

感想・レビュー・書評

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  • サド・ホーソン・夢野久作
    夢野久作はまだあんまり新しくないのかな、とおもうような四角に入った怪奇小説という面持ち。もっと土臭さがでてきた、匂いがにおってくるというのが真骨頂だとおもうのだけどこういうのもかけるんだなあって改めて感心した。”いわゆる”っていうのもきちんとかけないとあそこまではいけないのかな。
    サドはファクスランジュ嬢の話。なんというか音楽で言えばサザンやビーズみたいにあまりわきにぶれないというか、毎回毎回同じようなことをやっている人というのがあるけれどサドもそうだな~とおもう。読むたびこの安心感というか。偏執狂的に同じような堕ちる女の人、美徳の不幸、うつくしさのあはれ、みたいなものを何度も何度も練り直すように書いている。そして収集癖。御伽噺的、教訓めいた起承転結がこの話はあるのであまりそういうったことを感じられないかもだけど、このようにサドは難しくも素っ頓狂でもないのだ。
    ホーソン 黒のベール。これはものすごく良かった!ある日急に黒のベールを自分の顔にかける牧師の話。それを怖がる人の心も、牧師の主張も、黒のベールでわけへだたれていて、黒はどんどん迫ってくる。心理実験みたいでおもしろいというか、この「ぐんぐん」という感じ。これはホラーだとおもうけれどそれ以上に敬虔な気持ちにもなるし、もっと自分や人に対する発見があってつまり黒のベールはそういうものなのだ。

  • ホーソーン『牧師の黒のベール』
    なんだか他にどこかでこういう話を読むか聞くかした気がするのだが思い出せぬ。オチなしかよ、とおもったり。おとすものでもないのだろうが

    夢野久作『けむりを吐かぬ煙突』
    かねてより名前は気になっていたが初読の作家。江戸川乱歩みたい。特段の感想なし

    サド『ファクスランジュ』
    こちらも名前は有名な方。特段の感想なし

  • ホーソーンの牧師の黒いベールはバベルの図書館で読んだ。
    夢野久作はなかなかに猟奇的。

  • 『牧師の黒のベール』は信仰の違いからか登場人物の抱く感覚がよく分かりませんでした。

    『けむりを吐かぬ煙突』は煙突の使い道に引いてしまいました…。
    未亡人もどうかと思うけれど一人称の「私」もなかなか悪党ですよね。

    『ファクスランジュ』は若いちょっと愚かで美しい娘が悪徳に引きずり込まれる安定のサドでした。
    恋人だったゴエがきっぱりとしていて話が引き締まります。

  • 「牧師の黒ベール」
    宗教的な感覚が違うから、いまいちピンとこない。
    フーパー牧師が唐突にベールをかぶりだし、それに固執している。
    そこまですることか?と思ってしまう。
    そして、それを見たとして、そこまで怯えることなのか?
    よくわからない。

    「けむりを吐かぬ煙突」
    妖艶な未亡人の性癖と狂気。
    全てがこの夫人の手のひらの上で繰り広げられていたかのようだ。
    話自体は、それほど奥行きがあるものではないけれど、「一般的」というものから外れてしまった人の姿が、怪しくうまく描かれているな、と感じた。

    「ファクスランジュ」
    非常に読みやすく、展開も想像しやすいお話だった。
    金持ちで優雅な目新しい男に心を惹かれてしまう気持ちも、リアルだと思った。
    フランロが、最期まで悪党だったのも、よかった(笑)
    世間知らずのお嬢ちゃんが、騙されちゃったのね。
    なんだか、よくありそう・・・

  • ホーソーンのはある日突然黒のベールをかぶりだした牧師の話。信仰が絡むとやっぱりどう読んだものか立ち位置に困る感じ。
    周りの人々の様子なんかは滑稽味があるだけに。

    夢野久作は本で読むのは初めて……かな?(瓶詰地獄は青空文庫で読んだ)
    これまた狂気を孕んだお話でした。

    サドは全く初めて。
    お嬢様ご愁傷様な話(でも同情はできない)。シーンがいちいちドラマティックな感じがして、舞台とかに良さそうな短編。
    ググったらサドにしては鬼畜度が緩いらしい。最後に教訓までついてるし。
    澁澤龍彦訳ですよ~。

    装画 / 安井 寿磨子
    装幀・題字 / 緒方 修一
    底本 / 『ホーソーン短編小説集』(岩波文庫)、『夢の久作全集2』(三一書房)『マルキ・ド・サド選集II』(彰考書院)

  • ?ホーソ−ン/牧師の黒いベール
     チェーホフの「黒衣の僧」も好きなんだけど、どっちも自意識だか矜持だかがモチーフなのが興味深いところ。

    ?夢野久作/けむりを吐かぬ煙突
     この人のよくわからんカタカナ使いがどうも苦手でねえ。小道具のセンスがまた、こじゃれてるんだか下世話なんだか中途半端。どこかで読んだことのあるようなネタなのは、後世の作家の方が踏襲しているだけなんだろうけど。

    ?サド/ファクスランジュ
     あまりサドってちゃんと読んだことがなかったので、意外に普通じゃん、みたいな(笑)イストラティの「キラ キラリナ」とか「アンゲル叔父」とかってこの系統なんだな〜。

  • ホーソーンを今まで知らなかったのですがぞわぞわするこの不気味な感じが面白かったです。三作品の中でいちばん印象に残っています。

  • 2013.6.13
    『牧師の黒のベール』ホーソーン
    何がそんなに怖いのか、理解に苦しむ。
    『けむりを吐かぬ煙突』夢野久作
    夫人が笑い方の怖さ。ホホホホホ
    『ファクスランジュ』サド
    盗賊の親玉の嫁になってしまった娘のはなし。
    サド。幽閉生活の中で膨大な数の作品を書いた。サド。性的なスキャンダル。サド。禁書。
    とてつもなく興味をそそる経歴の持ち主だこと。

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