(044)汝 (百年文庫)

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  • ポプラ社 (2010年10月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119266

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(044)汝 (百年文庫)の感想・レビュー・書評

  • 百年文庫44 オール初読み作家さん。

    吉屋信子 「もう一人の私」 ☆5 大正モダンな言葉づかいが清潔で新鮮。例えば…今でいうトイレが、「トイレット」その隠語が「いいとこ」。私にしてみると「トイレット」も「いいとこ」も、響きが素敵すぎて、うっとりの世界観。この世に生まれて数時間で亡くなった双生児の姉の戒名が「夢幻秋露童女」なところも素敵。使われている言葉や雰囲気が乙女、オトメしているのだ。


    山本有三 「チョコレート」 ☆5 1931年の作品なんだけど…裕福な家のニート君が主人公で、何か平成のいま読んでも「ある!ある!」とドキドキしてしまう。言葉が独特で「キルク」⇒「コルク」、「ブル」⇒「ブルジョワ」、「シャンばかりねらう」⇒「美人ばかりねらう」…など、検索しながら読む楽しみがたまらなかった。富裕と貧困の差が今と似ている。恭一がとにかく優甘いすぎるのだ。そしてトドメの『明治ミルクチョコレート』が、その甘さが身に刺さるー。ぐぐぐぅー。痛烈だ。気持ちいい。


    石川達三 「自由詩人」 ☆5 文章が鋭い。(さすが社会派!)こういう「詩人」みたいな人いる!いる!私自身が金をせびられる被害者のようで、ぐいぐい読みこんでしまった。面白すぎる。ここでも「紅毛人」というのが分からなくって検索した。よくない方に行くだろう…と最後は想像出来たけど、破滅的すぎて毒を飲ませた父に助けを求める子のシーンでは泣いてしまった。ありとあらゆる責任から逃げ、自由を求めて彷徨う男の死にざまが空虚すぎる。何にも残らないじゃないか。


    山本有三も石川達三も作風が似ていて面白く新鮮だった。私って…こういうのが好きなんだなぁ…と、あらためて自覚した。まじめに…買おうかな。

  • 吉屋信子「もう一人の私」。吉屋信子の名は伝説的な原始少女小説の書き手というイメージで刷り込まれているが、期待に違わぬ作品。中原淳一の挿絵が浮かんでくる。選ばれることのなかった「不幸な私」というもう一つの人生(と表裏一体となった現実の幸せな人生)という少女の永遠の憧れのシチュエーション。山本有三「チョコレート」。これが一番良かった。タイトルが秀逸。恭一の間違った自己犠牲と自己満足が鮮やかにしっぺ返しを食らわせる瞬間に、彼の目に入ったものが甘いチョコレートの看板という残酷な表象。これに近いことって現代でも溢れている気がする。自分は誰かのためにやってやったと思っているけれど、それは本来自分がやるべきことからすら逃げているにすぎない。結局、恭一は働きたくなかっただけで、土肥のためという大義名分にかこつけて社会から逃げたのだ。善行をやっているつもりで、結局何もしていない。一番楽な道を選んでいる。社会問題が起こった時にTwitterで政府や企業を非難して不買運動を呼びかけたりしている人たちを思い出した。首相の天ぷらを非難する前に自分の街の雪かきをしたのか。お前らがやってるのはチョコレートを食ってることだけじゃないのか。石川達三「自由詩人」。太宰治的な自由詩人の行く末は自殺しかないのか。主人公が山名を見捨てられなかったのは、彼の中に自分のエスを見ていたからか。

  • 吉屋信子作品が読みたくなり、手にとったが、石川達三の「自由詩人」にいちばん惹かれた。山本有三の「チョコレート」も面白かったし、この3作品はどれもあたりだった。流石。
    2013.06.29

  • 「もう一人の私」(吉屋信子)結婚初夜に訪れたもう一人の女性は双子で生まれた片割れのまぼろし。幻想的な筆致。
    「チョコレート」(山本有三)父の口利きで就職が決まりかけていた彼の前に、横やりが入ったために就職できなくなったという男が現れる。そのことを知った彼の行動は……。
    「自由詩人」(石川達三)お金を上手に借りる詩人。自分が困っていても何とかしてあげたくなる不思議な自由人。引きつけられてぐいぐい読んだ。社会派の彼だが、印象が違うこんな佳品があろうとは。

  • 「自由詩人」に思わず笑った
    コスモポリタン?山名君は理想的な人生を送ったのだろうか
    ともかく、幸いだったには違いない と、勝手に思っている

  • 吉屋信子『もう一人の私』 、描写がかわいい。不思議な懐かしさを覚えた。「女」の話だからか親近感も覚える。
    山本有三『チョコレート』 、チョコレートだけに甘い?
    石川達三『自由詩人』はよく分からないけど「汝」というテーマにぴったりで、不思議な読後感。

  • 吉屋信子『もう一人の私』
    山本有三『チョコレート』
    石川達三『自由詩人』

  • 石川達三の「自由詩人」が良かった。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/44

  • 和図書 908/H99/44
    資料ID 2010200720

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(044)汝 (百年文庫)の作品紹介

ドアが聞いて現れたのは「わたくし」にそっくりな娘だった…。亡き双子の姉と不可思議な交流を描いた吉屋信子の『もう一人の私』。裕福な家庭に育った彼は父の口利きで一流会社に就職が決まりかけたが…。青年の潔癖さと世間との埋まらない距離(山本有三『チョコレート』)。「詩人」はぶらりとやってきては「私」の煙草を吸い、借金を申し込み、酒を飲んで帰っていく。生活は破綻しつつも純粋な心を持ちつづけた男の生涯(石川達三『自由詩人』)。心を照らす他者の存在、我と汝の物語。

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