幸福トラベラー (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 260
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121153

作品紹介・あらすじ

新聞部部長、だけどダメでさえない"ぼく"が、上野で出会った、謎めいた少女。修学旅行で東京に来たという彼女には、何か隠している目的があるようで…。突然はじまった秘密の旅は幸せな未来にむかうのか!?携帯番号も知らない、住んでいる場所も知らない。お互いの名前しか知らないふたりがたどる、奇跡の物語。東京の下町・上野を舞台に、ダメな中2男子が頑張る、リトルラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • はるか昔、大学生だったころ。
    「最寄駅は渋谷。学校帰りは、自由が丘に可愛い雑貨を探しに行くの♪」
    なんていうキャンパスライフを送る子を、
    「いいなあ」と指をくわえて羨ましがったものでした。

    なぜって、せっかくはるばる北海道から出てきたのに、学校所在地は上野。
    学校帰りに遊びに行こうにも、周りは動物園に美術館に博物館。
    お洒落な雑貨屋さんなんか一軒もなくて、動物たちの遠吠えを聞きながら歩く上野公園。
    たまに邦楽科の子が夜に笛の練習でもしていようものなら、妖怪変化が出てきそう。
    そして辿り着く上野駅では、「え?ここ、東京だよね?」と確かめたくなるくらい
    いろんな地方のお国訛りが飛び交っていて。

    そんな「ちょっとカッコワルイ上野の記憶」すら懐かしく思い起こさせ
    レトロな建物とスタバが共存する今の上野を
    思い切りキュートに描いてくれた、この『幸福トラべラー』。
    イマドキの中学生のBoy meets Girlの舞台を、なぜよりによって上野に?と思ったけれど
    ちゃんと修学旅行という一大イベントに絡めているあたりが流石です。

    山本幸久さんの作品の中では一番好きな『幸福ロケット』の続編かしら♪
    と勝手に期待していたら、そうではなかったのですが
    あの物語の気になるその後にも、山本さんらしいサービス精神で
    さりげなく触れてくれているのがうれしい。
    『ある日、アヒルバス』のデコちゃん・クゥちゃんまで乱入して
    山本さんファンには楽しい発見がいっぱいです。

    中学二年生って、反抗期やら自意識過剰やら中二病やらで
    普段の学校生活の中では、なかなか素直になれないお年頃。
    そんな不自由さを、上野という、片足をちょっぴり過去に突っ込んだような
    いつもと違う空間で解放していく小美濃くんと行方さんが微笑ましい一冊。

    この本を読んでいたら、暑い暑い夏の日、買ったばかりのサーティワンのアイスを
    まるごとぽっとり落とした私を、笑って眺めているようで悔しくてしょうがなかった
    上野の森の西郷さんの像を、なんだか許せる気分になってしまいました。
    (完全に逆怨みですよね。。。西郷さん、ごめんなさい!)

    そして、『幸福トラベラー』を楽しく読めた方は、
    これを機会にぜひぜひ『幸福ロケット』も。
    今度は小学生のけなげで可愛らしい初恋の物語が、あなたを待っています♪

    • takanatsuさん
      まろんさん、こんにちは。
      『幸福ロケット』も『ある日、アヒルバス』も未読なので読もうと思います♪
      特にデコちゃんとクゥちゃんがとっても可愛か...
      まろんさん、こんにちは。
      『幸福ロケット』も『ある日、アヒルバス』も未読なので読もうと思います♪
      特にデコちゃんとクゥちゃんがとっても可愛かったのでアヒルバスが気になります。
      西郷さんとのわだかまり(笑)も解けたようで何よりです♪
      たぶん西郷さんはまろんさんのアイスを残念に思っていたと思います!
      2013/04/04
    • まろんさん
      noboさん☆

      うふふ♪ デコちゃんとクゥちゃん、思わぬ登場のしかたをするんですよ~。
      noboさんが「あら!」と可愛らしくびっくりする様...
      noboさん☆

      うふふ♪ デコちゃんとクゥちゃん、思わぬ登場のしかたをするんですよ~。
      noboさんが「あら!」と可愛らしくびっくりする様子を、ぜひ柱の陰から見守りたいものです。
      温かいお話を愛するnoboさんなら、きっと気に入ってくださる2冊だと思います。
      デコちゃん達は出てこないけど、時系列的には、できれば「幸福ロケット」から
      読んでいただけたらうれしいなぁ(*'-')フフ♪
      2013/04/05
    • まろんさん
      tanakatsuさん☆

      「同じ本を手に取ったふたり」状態がうれしくて、
      隣にtakanatsuさんが座っているような気配を感じながらの、...
      tanakatsuさん☆

      「同じ本を手に取ったふたり」状態がうれしくて、
      隣にtakanatsuさんが座っているような気配を感じながらの、楽しい読書でした♪
      おかげさまで、西郷さんとのわだかまりも、あの日のアイスのごとく、跡形もなく解けました(笑)

      『幸福ロケット』も、『ある日、アヒルバス』も、ぜひぜひ読んで感想を読ませてください!
      『幸福ロケット』は、小学生たちがもう、抱きしめたいくらいいじらしいし
      『アヒルバス』は、がんばるデコちゃんに、めいっぱい元気を貰えます。
      読み終えたあと、買い物に行くたびにピノを買いたくなるのだけが難点です(笑)
      2013/04/05
  • めっさ可愛い!
    ときめかしい!

    主人公の小美濃くんは中学二年生の新聞部部長。
    運動会の振替休日に上野のパワースポットの取材に来ていた彼は、同じく中学二年の修学旅行生の行方さんに出会う。
    そこから二人の上野デートが始まるわけだけど、それがもうとっても可愛い。

    女の子と二人で歩くだけでドキドキしてしまう小美濃くんと、気になったものがあるとそこに向かって軽やかに走り出す行方さんの噛み合ってるんだか、ずれてるんだか分からないコンビネーションににこにこしてしまう。
    そしてラストシーンの余韻がとっても素敵で二人のその後のお話も読みたくなってしまう。

    それと上野に詳しいという設定の小美濃くんが教えてくれる上野情報も面白い。
    カレーそうめんとか、本当にあるんだよね‥?フィクションなのかな?
    何十回も行ったことがあるのに知らなかった場所が結構あって、上野ってすごい!なんて感動してしまった。

    合格祈願、縁結びにお役立ちの情報満載の可愛いボーイミーツガール小説。
    狭いところから抜け出して走り回りたくなったら、こんな上野デートもいいな。

    • まろんさん
      めっさうれしい♪ です!
      だって、今まさにこの本を読んでいるところなので。
      私の脳内ではもう、「図書館で同じ本に向かって手を伸ばしたふたり♪...
      めっさうれしい♪ です!
      だって、今まさにこの本を読んでいるところなので。
      私の脳内ではもう、「図書館で同じ本に向かって手を伸ばしたふたり♪」です(笑)
      まだカレーそうめんを食べて、乗り物に乗ったあたりなので
      早く読み終えて、takanatsuさんと同じ感動を味わわなくては!

      大学が上野だったので、もう、いろんな意味で懐かしくて。
      西郷さんの銅像を見ながら歩いていて
      坂の途中でサーティワンのアイスをぽっとり落としたことまで思い出しながら読んでます(*'-')フフ♪
      2013/03/31
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      「私の脳内ではもう、「図書館で同じ本に向かって手を伸ばしたふたり♪」です(笑)」
      なんと!と...
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      「私の脳内ではもう、「図書館で同じ本に向かって手を伸ばしたふたり♪」です(笑)」
      なんと!とっても嬉しいです♪
      まろんさんのレビュ、とっても楽しみです!
      「大学が上野だったので、もう、いろんな意味で懐かしくて。」
      そうだったんですか。
      ではまろんさんは上野にお詳しいんですね。
      私は本当に上野公園の一部しか知らなかったので、この小説を読んで発見がたくさんありました。
      暖かくなったら上野公園を探検しに行こうかななんて思っています♪
      2013/03/31
  • 新聞部の取材で上野を探索中の中2の小美濃くんは、修学旅行出来ていた女の子と出会った。
    自由時間に単独行動をしていた行方さん。
    上野公園を中心に、2人で観光することになった。

    さらりと読了。
    行方さんの秘密はちょっと切ない。
    でも、小美濃くんとの時間のおかげで、大切な修学旅行の思い出が出来たはず。
    アリバイ作りの写真がないまま学校に戻ったあとを想像するのは辛いけど、2人が無事に再会出来たのだから、良い結果に終わったと思いたいです。

    著者の別作品との絡みも鉄板で、アヒルバスのデコちゃん、幸福ロケットの香な子の登場や、カキツバタ文具は今度は野球大会をやってましたね(笑)
    楽しく読みました。

  • 体育祭の振休で新聞部の写真撮影をしている主人公と修学旅行中の初対面の女の子が上野を散策する物語。
    主人公と話しているような文章で書かれていて、読みやすかった。
    上野は、たくさんいい場所があることを知った。
    絵描きの おじさんの予感が何度も的中していて、とても驚いた。

  • 冴えない新聞部部長の小美濃と、謎の美少女が出会い、上野の町を巡っていく。徐々に美少女の謎が解けていき、想いが通じあう二人。登場人物が皆 個性的。ラブコメドラマ。

  •  いつもの山本幸久ワールドを、ちょっと年齢下げてみたわけね。
     年齢下げた分だけ、とてもピュアな感じになって、でもそれは嫌じゃないよ。

  • 幸福ロケットほどは感動しなかったけどいい話だった。こういう中学生にうちの子供が育ってくれたら嬉しいです。そしてこれ読んだら上野に行きたくなります。

  • 初々しい小さな恋の物語。エンディングも初々しくて素敵な終わり方^ ^
    花見時々美術館だけだから、上野公園、意外に知らない所がいっぱいで新鮮だった。ガイドブックみたいだった。散策しに行きたくなる。
    おばちゃんトリオ良かった。スパイス効いてた(笑)

  • 山本幸久さんなのでお仕事小説(タイトルからツアコンとか)だと思い込んで読み始めたら、なんと中学2年生が主人公。
    感情移入するにはいくら何でも若すぎるだろ?と思って読んでいたのですが、初々しいラブストーリー(なのか?)が却っておじさんのツボだったりします。
    『小さな恋のメロディ』とか『リトル・ロマンス』とかを観るような感じかな?

    この夏にも上野公園には行ってきたのに知らない場所だらけで、今度はこの本を片手に上野公園を歩いてみたくなりました。

  • 自分にあまり自信がないようで実はしっかりしている中2の少年と、上野公園で偶然出会った修学旅行中の、しっかりしているようで実は自分に自信が持てないでいる同い年の少女との、あ〜わい恋物語、という感じです。最後に、良かったね、少年!と言ってあげたい。

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著者プロフィール

山本幸久
一九六六年、東京都生まれ。中央大学文学部卒業。編集プロダクション勤務などを経て、二〇〇三年『笑う招き猫』で第十六回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。ユーモア溢れる筆致と、魅力的な登場人物が読者の共感を呼び、幅広い世代から支持されている。主な著作に『ある日、アヒルバス』『店長がいっぱい』『大江戸あにまる』『花屋さんが言うことには』『人形姫』などがある。

「2023年 『あたしとママのファイトな日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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