- Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121290
作品紹介・あらすじ
「結婚しない」という条件で異国の地に赴き、店番をしながら老いていったアントンさんの熱い涙(アンデルセン『ひとり者のナイトキャップ』)。息子の誕生から早すぎる死までを素朴な会話文に写しとり、父親の深い愛情が胸に迫るビョルンソンの『父親』。数々の武勇伝を誇る乱暴な夫が、エルサレムからフィレンツェへ聖火をもちかえる旅で人間的な優しさに目覚めていく物語(ラーゲルレーヴ『ともしび』)。清らかな心を描き出した三篇。
感想・レビュー・書評
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百年文庫51の星~「ひとり者のナイトキャップ」(アンデルセン)結婚しないことを条件に異国の地で店番を勤めるアントンは,幸せだった子供時代を思い出しながら凍死する。「父親」(ビョルンソン)息子の誕生・堅信礼・婚約しか教会の牧師に会わなかった男が,息子の早すぎる死に家を売って寄付をする。「ともしび」(ラーゲルレーヴ)共和国になりたてのフィレンツェの武具師の男はリンネル織り職人の娘を嫁にしたが,娘は暴力に耐えかねて家に帰り,男は十字軍に加わって勲を樹て,聖墳墓教会で灯した火を必死で持ち帰る道で生まれ変わる~ビョルンソンは19世紀を代表する詩人,ラーゲルレーヴは「ニルスの不思議な旅」で有名なスウェーデンの作家でノーベル文学賞を貰った女性
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デンマーク、ノルウェー、スウェーデンという北欧の作家の作品。アンデルセンの作品には人生の苦味を感じる。ラーゲルレーヴは「ニルスの不思議な旅」の作者。ここでも旅を通して変わっていく人間を描いている。様々な作家の作品にふれることができるこのシリーズ、思わず手にとってしまう。短編ということもあってとっつきやすいのもいいな。
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一人静かに想う心を「星」になぞらえたのか。71/100
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北欧作家3名(アンデルセン、ビョルンソン、ラーゲルレーヴ)の短編集。
名前は知っていても、読んだことがなかった作家さんの
本を読む入り口になる本。
本の最後に、作家と作品の解説もある。
これをきっかけに3名の他の作品も読みたくなった。 -
「ひとり者のナイトキャップ」 アンデルセン
「父親」ビョルンソン
「ともしび」ラーゲルレーヴ
まず訳が、ずいぶん昔のものかなと思った。でもそれが良い味を出していて、訳者のことや、時代をうっすら感じることができて、個人的には心地良かった。
どれも読了後に考えるところがあったが、特に「ともしび」では、荒くれ者のラニエロがかよわいともしびを守り続けることで、謙虚で慈しみ深い人間に変わっていく過程を見守ることで、私の心にも何らかの影響があった。
あと、デンマークのこしょう番頭や、イタリアのラニエロの逸話等、文化の勉強にもなった。
この本を手に取れてよかった。 -
「ひとり者のナイトキャップ」
文章的に、ちょっとわかりにくい感じがした。
幼少期の恋愛を大切に思ってきた男の最期のお話。
一途で、気持ちも優しいのだろう。
二人のリンゴの木が、心なく傷つけられていることが、哀しい。
彼のナイトキャップを、市長さんがかぶるというシチュエーションが、想像できなくて、理解に苦しむ。
「父親」
当然の父親の姿だと、私は思う。
一人息子を大事に、誇らしく思う気持ち。
息子に最高の人生を。
その息子を亡くした時の、なんとも言えない思い。
悲しい話だと思う。
「ともしび」
道化師の語りは、ちょっとわかりにくかった。
意地や見栄から始まった旅は、ラニエロから余分なものをはぎ取って、多くのことに気づかせた。
最後は、彼自身が過去に作ってきた罪によって、火が消されるかのようだった。
贖罪。
まさしく修行の旅、だと思った。
「星」というテーマの本だったけれど、私としては納得。 -
アンデルセン 『ひとり者のナイトキャップ』
ビョルンソン 『父親』
ラーゲルレーヴ 『ともしび』 -
3編ともしみじみとする好篇だった。