- Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121306
作品紹介・あらすじ
単刀直入を身上とする「鈴木君」は、道ゆく洋傘の女性に一目惚れし、30分後には結婚の約束を取りつけた。がむしゃらに夢を追う男の生きざまをユーモラスに描いた久米正雄の『求婚者の話』。下宿屋の娘と関係を持ってしまった青年が宿の「マダム」の術中にはまり、次第に追い詰められていく話(ジョイス『下宿屋』)。言いわけばかりしている野球選手「アイク」に美しい恋人ができ、試合でも大活躍!(ラードナー『アリバイ・アイク』)。結婚をめぐる珍騒動、おかしくて胸をうつ物語。
感想・レビュー・書評
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久米正雄『求婚者の話』これはどう受け取ればよいのか、なんとも解釈の難しい作品。現代の成功者とはこういう利己と割切り、一瞬の決断と運がものをいう、ということなのか?
ラードナーは新潮文庫の短編集が絶版になっていたが、ここで代表作を読むことができた。
85/100詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『求婚者の話』は現代なら通報されそうな話でした。
最初は思い込みの強さに引き気味でしたが仕事ぶりや娘の求婚者へ語った信念を知り納得できました。
『下宿屋』はもう母は強し、としか…。
ドーラン氏も娘と関係を持つ時に家主の母親のことまで思い至らなかったのだろうか。
『アリバイ・アイク』はテンポよく読めました。
弁解癖のある野球選手と監督の義妹の恋、それにちょっかいを掛けるチームメイト。ドタバタな展開が楽しめました。 -
「求婚者の話」
なんという向こう見ずな行動力なのだ、と鈴木八太郎の言動に驚いた。
そして、それに対峙する父親と娘もまた、なぜ即決できるのか、と。
八太郎からは何か、迷いのない力のようなものがみなぎっていたのかもしれない。
同じように彼の娘を貰いに来た若者に対して、拒否をしたことを、最初は不思議なように感じたけれど、読後は、そりゃそうだな、と、しみじみと理解できた。
八太郎の真似をした若者。
拒否されて泣き出してしまう若者。
それではダメなのだ。
行動だけをなぞっても、中身は染み出てきてしまう。
面白い話だった。
「下宿屋」
ムーニー夫人の貫禄というか、逞しさをひしひしと感じた。
彼女ほど人生経験を積んだ人に敵うはずがない。
独身にけりをつけて、ポリーと結婚したらいい。
ポリーもなかなか、強い女性のようだから、きっと尻にしかれるんだろうな。
「アリバイ・アイク」
うわー、面倒くさい男。
私、こういう人、苦手だ。
見方によっては可愛げのある男なのだろうけれど。 -
久米正雄、ジョイス、ラードナーというラインナップで、結婚を巡るコミカルな話。
この中ではラードナーかなぁ。
スポーツ記者で、高校生の頃のヘミングウェイもファンだったらしい。
野球ものが定番で、収録作も野球選手の話。
スポーツはあんまり得意じゃないけど、まぁ野球なら多少わかるし、本心じゃないことをぺらぺら喋ってすれ違い、なんてのもわかりやすい。
百年文庫シリーズ中では読みやすい方に入るかな。
装画 / 安井 寿磨子
装幀・題字 / 緒方 修一
底本 / 『学生時代』(新潮文庫)、『ダブリン市民』(新潮文庫)、『ラードナー傑作短篇集』(福武文庫) -
読みやすいという点では良いが
正直そんなにおもしろくはない笑
久米正雄『求婚者の話』
ジョイス『下宿屋』
ラードナー『アリバイ・アイク』 -
久米正雄『求婚者の話』滑稽だけど血が通っていて、暖かくていい話。
ジョイス『下宿屋』おかあさん っょぃ
ラードナー『アリバイ・アイク』映画っぽい場面が頭に浮かぶ話 -
久米正雄『求婚者の話』
ジョイス『下宿屋』
ラードナー『アリバイ・アイク』 -
12/12/22 何十年ぶりかで、ラードナーの「アリバイ・アイク」を読んだ。
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久米正雄「求婚者の話」(1918年)一瞬で伴侶を射止めた学生が、人生の後半、我が娘をもらいに来たという学生に応対する。どうなるのかと気になる展開が楽しい。
ジェイムズ・ジョイス「下宿屋」(1914年)、アイルランド、下宿屋の娘に恋した男が、おかみさんにけじめを付けるよう迫られる話。
リングラードナー「アリバイ・アイク」(1915年)、長期のロードをこなしながらプレーする当時の米国プロ野球選手を描いている。いずれも百年前の話なのに人間のすること、考えることはそんなに変わらない。どの話もほほえましい。