崖 (百年文庫 66)

  • ポプラ社
3.30
  • (0)
  • (4)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 40
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121542

作品紹介・あらすじ

「おうい、フィービー!ほんとに帰ってきてくれたのかい?」。亡き妻の幻を追い求め、必死に彷徨う老農夫の痛ましくも幸福な生涯(ドライザー『亡き妻フィービー』)。その不思議な言動で、人々の笑い者だった青年。憂いを帯びた眼差しが見ていたのは(ノディエ『青靴下のジャン=フランソワ』)。あの花にはあらゆる悪が集まっている、だから毟り取ってしまわねば-。閉ざされた病棟で世界を救おうとした男の誇り高き闘い(ガルシン『紅い花』)。それを狂気というのか。真実の高みを求める、汚れなき魂を描いた三篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「亡き妻フィービー」
    なんという純愛だろう。
    かわいそう、ではない。
    切ない、とも少し違う。
    なんと幸せな、に近い。
    ささやかかもしれないけれど、豊かであたたかい人生と心を感じた。

    「青靴下のジャン=フランソワ」
    ジャン=フランソワの純朴さが伝わってくる。
    これもまた、純愛の話。
    確かに、崖から飛び降りたかのような最期だった。
    真実に近ければ近いほど単純であり、遠ければ遠いほどもっともらしい。
    真実は無用なり。
    だから、小説だからできることがあるんだな。

    「紅い花」
    狂人の感覚や思考が描かれていた。
    他者には理解できないけれど、本人にとっては真実なのだ。
    味方はおらず、命をかけてたった一人で戦っている。
    その姿は中身を知らないと滑稽だが、その心を知ると切ない。
    誰しも同じなのかもしれない。
    誰しもが自分の世界でこうして生きているのかもしれない。

  • 精神を病んだ人が最後は死ぬという救いのなさそうな話なのに、どれも救われた感じがするのはなぜだろう。87/100

  • ドライサー『亡き妻フィービー』
    ノディエ『青靴下のジャン=フランソワ』
    ガルシン『紅い花』

  • 「崖」が、地理的な崖っていうより、狂人と幻影のはざまに落ち込んでしまった、精神的な「崖」だった。最後なんて全然崖出てこないしね。
    空ばかり見ている人は、足元に崖があることを知らないし、崖に落ちていることすら気づかないのかも。

    しかしどうもこのシリーズの翻訳と選び方が好みでない。

全7件中 1 - 7件を表示

ドライサーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×