青 (百年文庫 77)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 75
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121658

感想・レビュー・書評

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  • ウンセットは非モテ系小説として読むと面白い。
    54/100

  • ウンセットの「少女」だけで星5つつけたいくらい。いろんな思春期の描き方があるけど、女の子と女の子の間に生まれるあのなんともいえないモヤモヤとした感じが掌編の中にこめられてる。

  • ・堀辰雄「麦藁帽子」
    夏の青さ。「この夏休みには、こんな休暇の宿題があったのだ。田舎へ行って一人の少女を見つけてくること。」というのがいい。
    「私」は年少のころ過ごした田舎へ行き、「お前」の兄たちと過ごす。
    少年の奥手な恋と、挫折と後悔にまみれながらの奇妙な明るさ!

    ・シグリ・ウンセット「少女」
    デンマーク、ノルウェー。はじめて読んだ。
    訳がこなれていないせいか、うまく入りこめず。
    少女の親友同士の友情と、そのあいだに横たわるぎこちなさ浅薄さ。
    子供の世界は大人のそれよりも厳格な「法」によって縛られている気がする。言葉のボキャブラリーのないせいか、行動が行動を呼び起こしすれちがいが大きくなる。シーフとエルナが小さい男の子の関心を競争するところに表れているような。
    大人なら中間を見つけだすか、ふたりのあいだの溜ったテンションをどっかほかに逃がす、その場を見つけられる。しかし子供の場合には力の捌け口がないために、ぴったりくっつくかそれとも離れるか、結局はその二択だ。とりわけ女の子の場合は…。

    ・グラツィア・デレッダ「コロンバ」
    イタリア・サルデーニャ島。
    上の「少女」と同様に、家柄の貧富の差があつかわれてる。
    アザールは教師になったばかりだが婚約した都会の女に逃げられ失意のなか、友人で金持ちのムラスと実家に戻る。
    アザールは近所の娘コロンバと互いに恋心を抱きあうが、「教師」と「羊飼い」では身分が違い、添い遂げることができない。
    夜の森のなかで、ふたりが不器用な交信をつづけるところなんかダントツの青さだな。
    都会の虚ろさ浅薄さと、コロンバのまっすぐな野性的な愛の対比がまぶしい。

著者プロフィール

東京生まれ。第一高等学校時代、生涯親交の深かった神西清(ロシア文学者・小説家)と出会う。このころ、ツルゲーネフやハウプトマンの小説や戯曲、ショーペンハウアー、ニーチェなどの哲学書に接する。1923年、19歳のころに荻原朔太郎『青猫』を耽読し、大きな影響を受ける。同時期に室生犀星を知り、犀星の紹介で師・芥川龍之介と出会う。以後、軽井沢にいた芥川を訪ね、芥川の死後も度々軽井沢へ赴く。
1925年、東京帝国大学へ入学。田端にいた萩原朔太郎を訪問。翌年に中野重治、窪川鶴次郎らと雑誌『驢馬』を創刊。同誌に堀はアポリネールやコクトーの詩を訳して掲載し、自作の小品を発表。1927年に芥川が自殺し、翌年には自身も肋膜炎を患い、生死の境をさまよう。1930年、最初の作品集『不器用な天使』を改造社より刊行。同年「聖家族」を「改造」に発表。その後は病を患い入院と静養をくり返しながらも、「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」と数々の名作をうみだす。その間、詩人・立原道造との出会い、また加藤多恵との結婚があった。1940年、前年に死去した立原が戯れに編んだ『堀辰雄詩集』を山本書店よりそのまま刊行し、墓前に捧げる。1953年、春先より喀血が続き、5月28日逝去。

「2022年 『木の十字架』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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