惚 (百年文庫)

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  • ポプラ社 (2011年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121702

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惚 (百年文庫)の感想・レビュー・書評

  • 斎藤緑雨『油地獄』
    田村俊子『春の晩』
    尾崎紅葉『恋山賎』

  • 斎藤緑雨「油地獄」(1891)。長野から上京し、方角を志す学生が、ふとしたきっかけで芸妓に入れ込んでいく様を描いている。「縁が不思議のものなら、ほれるは一層不思議だ」頭でっかちで、しかし、その方面はとんと弱い若者の心のうちを事細かに描写している。
    田村俊子「春の晩」(1914)。「幾重は繁雄の手を自分の方にひいて、男の方へ顔を振り仰向けた。」現代にはないつつましやかな描写が目立つ。その実、小説の内容は、思わぬ方面へ向かう。
    尾崎紅葉「恋山賤」(1889)。まるで英語を読んでいるような感覚。字面をおってはみたが、内容が頭に入ってこない文章だった。
    全3編を通して、日本語から失われつつある表現、仮名遣いが散見されて、このような言葉を発掘する楽しみを感じながら読めました。

  • 上京し法律を学ぶ真面目な学生が故郷の懇親会で出逢った芸妓。手水場で手巾を出そうとした所でその芸妓に半巾を貸して貰って恋に落ち、寝ても覚めても方々に面影がちらつき遂に意を決して柳橋に通う斎藤緑雨『油地獄』、プラトニックな同性愛的好意を官能的に描く田村俊子『春の晩』、田舎の山賤が東京から来た怪我をした美しい娘を運ぶ道すがらの恋心の尾崎紅葉『恋山賤』の3篇を収録。『油地獄』は芸妓に近づきになろうと一喜一憂する青年がかなりコミカルに描かれ、明治の小説でコミカルはこう書くのかと妙な感心をして読みながら何度も笑った。

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