- Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121788
感想・レビュー・書評
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岡本綺堂の文章は達意の文章だな。
泉鏡花の幽霊はそんなに怖くない、むしろ愛嬌があるように思う。 -
「喪神」
幻雲斎の剣術のおそろしさ、神がかった様に圧倒される。
本人の意思を越えたものを感じる。
その根幹は、己の本能にあらがわないことだ、という。
克己・犠牲の類こそ邪念だ。
「人間」という枠を超えた、生物としての強い言葉だ。
生の根源を否定するな。
そこにこそ、真の強さがある。
人の強さは、もうすでに、己の中に備わっている。
そのような教えが内からにじみ出るように、哲太郎は我知らず秘儀を身につけたのだ。
「兜」
物になにかが宿っている、読むに従い、その気味の悪さがじわじわと広がっていく。
第三者の語り口を通じているので、感情がきつく描写されているわけではないが、だからこそ、かえって、ひやりとした空気が強調される。
面白かった。
「眉かくしの霊」
昔の話と現実、いくつもの対比が入り乱れる。
妖艶で、つめたく美しく、おそろしい。
流れる水のような文章から、何かが霧のように湧き上がってくる。
しかし、その霧の中から、思わぬむき出しの爪が迫るかのような、迫力がある。
泉鏡花らしい作品だ、と感じた。 -
不気味な話ばかりですごく好みだった
個人的に好きなのは最初の話
夏になるとこういうの読みたくなるんですよねえ
五味康祐『喪神』
岡本綺堂『兜』
泉 鏡花『眉かくしの霊』 -
岡本綺堂「兜」兜の来歴の気味悪さといったら…とても面白かったです。
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五味康祐『喪神』
岡本綺堂『兜』
泉 鏡花『眉かくしの霊』 -
実はどの作家も初めてv
泉鏡花は昔読もうとして、借りるか借りるまいか悩んで最初のページ読むも、いまいち気分が乗らなかったのでやめた経緯あり。
収録されてたのは「眉かくしの霊」なんですが、ラストの一行が青白く寒々しくて素敵でした。
前半があんまり?いらないかな、という気もするけれど。
読む物に困るときはやっぱりこの文庫を潰していくと、いい感じの長さのいい感じのものにあたりそうです。
装画 / 安井 寿磨子
装幀・題字 / 緒方 修一
初出 / 『新潮』1952年12月号、『週刊朝日』1928年、『苦楽』1924年。
底本 / 『秘剣・柳生連也斎』(新潮文庫)、『日本幻想文学集成23 岡本綺堂』(国書刊行会)、『高野聖』(集英社文庫) -
読んだことのない類の怪談三編。
五味康祐「喪神」、読み手の期待を裏切らない結末。
岡本綺堂「兜」、回りまわって伝えられる兜の謎。
泉鏡花「眉かくしの霊」、情景の想像をするのが難しく長い話だが、最後、一気におもしろくなる。