(098)雲 (百年文庫 98)

  • ポプラ社
3.13
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本棚登録 : 50
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121863

感想・レビュー・書評

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  • ローデンバックの訳が酷い。古い訳なのかもしれないけど、ちょっと何言ってるか分からない。62/100

  • 「幸福への意志」
    強い意志が命を支える。
    燃え上がる思いの強さが、パオロの全身からみなぎり、目に見えるような思いがした。
    さすがだな、と思った。

    「肖像の一生」
    ドゥボネール夫人も、子どもたちを思う気持ちから、自分の生命を存えさせた。
    しかし、成人をむかえたとたん、父親の権力や威厳が通用しなくなる、という感覚は、日本と少し違うように思った。
    日本はいつまでも親が偉そうにしがちなので、こういうところは欧米を見習うべきだと思う。

    「フェーンス夫人」
    その思いの深さ・関係の強さから、離れなくてはならないことがある。
    一個の人間として、それぞれが独立したものとして存在するということは、厳然とした孤独を受け入れることであるのかもしれない。
    母も子も、それでいいのだ、と、思った。

  • トーマス・マン『幸福への意志』
    ローデンバック『肖像の一生』
    ヤコブセン『フェーンス夫人』

  • 漢字1文字にちなんだ古今東西の名短編を集めたシリーズ。読みやすくて、手軽にいろんな作家を楽しめます。「森」「響」「娘」「雲」「都」がオススメ。百冊読破が目標です…

  • 時代背景や風景がすっとイメージとして入ってこない海外の短編は
    意外と難渋する。

  • 百年文庫3冊目は「雲」

    収録は
    トーマス・マン「幸福への意志」
    ローデンバック「肖像の一生」
    ヤコブセン「フェーンス夫人」

    昔、本を読み出した頃のマイガイドの一つに桑原武夫「文学入門」があった。今となっては、そこに書かれている内容はとても時代には合わないようなことが書かれていたのではなかったか、と懐かしく思いだす本であるが、その本の末尾にある世界文学50選は、私にとってこれを制覇したい、というリストとなっていたのは確かである。私がとりわけ印象深かったのは、そこにスカンジナビア文学とカテゴリ分けがされ、ヤコブセン「ニイルス・リイネ」とビョルンソン「アルネ」の2点が取り上げられていたことである。

    学生時代は岩波文庫のような外国文学を最も読んだ時期だったと思うのだけれど、このヤコブセンやらビョルンソンといった作家はなかなか重版などにもかかってなかった記憶がある(そもそも岩波に収録されていたのかも未確認だが)そのせいで逆に、これらはどういう作家なのだろうという思いを少し残すことになった。

    今回ヤコブセンを初めて読んでみて「こういう感じか」と思ったと同時に、桑原武夫の「文学入門」に書かれてあった50選以外の内容も思い出されてきたのである。確か「文学入門」の論調は海外文学(世界文学全集に入るような作品と言い換えてもいいかもしれない)に偏っていたので、そのことが言外に日本の文学は、世界文学と比べればとても狭くて深さもない(そんなことは書いてなかったとは思うが)とまるで言っているかのように読んでいて受け取った自分がいたのだった。

    今回の3編は桑原武夫が称賛するのではないかと思えるような「文学」が集められている、と感じた。人生とか愛といったものに真摯に向き合い、崇高な判断や行動を選びとっていく登場人物たち。私が世界文学に抱いていた原初のイメージを彷彿とさせるような小説群である。

    かつては、このような文学を読んで人生について語り合う、というような場が形成されていたのだろうか。

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著者プロフィール

【著者】トーマス・マン(Thomas Mann)1875年6月6日北ドイツのリューベクに生まれる。1894年ミュンヒェンに移り、1933年まで定住。1929年にはノーベル文学賞を授けられる。1933年国外講演旅行に出たまま帰国せず、スイスのチューリヒに居を構える。1936年亡命を宣言するとともに国籍を剥奪されたマンは38年アメリカに移る。戦後はふたたびヨーロッパ旅行を試みたが、1952年ふたたびチューリヒ近郊に定住、55年8月12日同地の病院で死去する。

「2016年 『トーマス・マン日記 1918-1921』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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