メロディ・フェア (文芸)

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著者 : 宮下奈都
  • ポプラ社 (2011年1月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591122334

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メロディ・フェア (文芸)の感想・レビュー・書評

  • 大学を出て故郷に戻り、化粧品会社のカウンターで働き始める結乃。デパートではなく、郊外のショッピングモールに配属となる。希望とは異なる勤務先に残念な気持ちを隠せない。
    最初はベテランの社員のように上手くいかずに焦る。
    それでもお客さんが本当に求めているものを知ろうとじっくり話を聞き、商品を紹介して手に取ってもらう。
    お客さん自身のイメージとのギャップを埋めて、その人によりぴったりとくる、その人が本当に求めているものをさりげなく選び出す。


    私が子供のころ、季節が変わるたびに化粧品会社のキャンペーンに注目が集まった。
    TVで新作のCMが流れ、街の化粧品店にはインパクトのある美しいポスターが張られ、広告には商品とお買い上げに応じた販促品が載っていた。

    子ども心にうきうきして、
    これいいな、あれもいいな、
    これだけ買ったら、このおまけが貰えるなどとわくわくしていた。
    あれは椿のマークの会社だったかしら?

    今では以前ほど、「キラキラの憧れの世界」を化粧品に期待することも少なくなったけれど、
    デパートのカウンターで口紅やら香水をつけてもらう時、
    いつもよりちょっぴり口角があがり、楽しくなって
    笑顔になってしまう。

    「メロディ・フェア」というタイトルも懐かしく、
    小さな頃の思い出も一緒によみがえったのでした。

  • 夕方5時20分、ショッピングモールに『メロディ・フェア』の旋律が流れるといつも、
    表情も年齢もわからないほど濃い能面メイクをして化粧品フロアを闊歩する女性。

    今年読んだ本の中では、『ともしびマーケット』でネスカフェの大瓶を抱っこして
    スーパーをうろつく「ネスカフェおばさん」に勝るとも劣らない衝撃の人物で、
    私、気になります!

    そんな「能面おねえさん」を気にしつつ、
    化粧品カウンターでビューティーパートナーとして
    失敗を繰り返し、伸びない売上に悩みながら、日々成長していく結乃の物語。

    真っ赤な口紅の似合う女性に父を奪われたトラウマが
    結乃には、「無人島に何かひとつ持っていくなら、口紅!」と迷わず口にするほどの
    メイクへの強い執着となって表れ、
    妹の珠美には、薄化粧さえ毛嫌いするほどの拘りとなって表れているのが切ない。

    いつも引用に残しておきたい文章が多すぎて、
    栞をいくら用意しても足りない宮下奈都さん作品にしては、
    胸に刺さる言葉がかなり少なめだったのは
    私がいつまでたってもメイク下手だからなのかな?と思いつつも

    今夜が峠という夫に会う前に、少しでも明るい顔にしてほしいと結乃に懇願する浜崎さんも
    思春期になった途端に「かわいさ至上主義」に取って代わった女子の評価基準に愕然として
    能面メイクの鎧をつけて「世界征服」をもくろむミズキも
    きれいになりたい誰かのために、
    そのひとの良さをいちばん素直に引き出せるメイクをしてあげたい、と決意する結乃も
    みんなほろっとするくらいいじらしくて、

    あんまりかまってもらえなくて可哀そうな私の肌も、
    今日はちょっと丁寧にお手入れして、よろこばせてあげなくちゃ、と思う1冊です。

  • この人の本は読み終わって、いいのだけどちょっとしっくりこない部分が残ったりする。
    でもなんか、次を読もうって手が出るんだよね。
    同じような印象をもった作家さん何人かいるのだけど、こうして次に繋がってる宮下さんは実はわりと好きなんだろう。

    地元に戻って郊外のショッピングセンターの化粧品のカウンターでビューティーパートナーとして働く小宮山結乃。
    凄腕の職場の先輩、馬場さん。
    鉄仮面のような厚化粧で世界征服を目指す幼馴染のミズキ。
    化粧も結乃の仕事も否定し続ける妹の珠美。
    様々な女性が登場しますが、眉毛ぼさぼさのから揚げおばさんから初恋の人の最期を明るい笑顔で送りたいと口紅を買う女性へと変化を遂げた浜崎さんが特に素敵です。

    普通の女の子を普通に、でもとても丁寧に描いている印象だけど、あともう一歩掘り下げてほしかったかなぁ。
    馬場さんにしろミズキにしろ白田さんにしろ、結乃にしても。
    でもこのちょっと足りない感じが宮下さんクオリティともいえる。

    お化粧がテーマというのは、女性ならば共感しやすいし、自分の登場人物の一人として楽しめるのがいいですね。
    いつも同じメイクばかりなので、丁寧に楽しくメイクして丁寧に楽しく落とそう。

  • 「無人島に何かひとつ好きなものを持っていっていいと言われたら、迷わず口紅を選ぶだろう。
    誰も見るひとがいなくても、聞こえてくるのが果てしなく繰り返される波の音だけだとしても、ほんとうに気に入っている口紅が一本あれば。毎朝それを引くことで、生きる気力を奮い立たせることができるような気がする」
    という、心惹かれる文章から始まるこの小説。
    ビューティパートナーとして働く女性が主人公です。

    学生のころ、化粧品売り場のとなりにある雑貨フロアでアルバイトをしていたことがあって、モールの独特な雰囲気を思い出しました。
    要は、常に賑わっているわけじゃない、キラキラしたところというよりは、日常が舞台になっているようなところ。

    静かな空気感でいながら、春にぴったりな、ちょっと心がわくわくするような1冊で、読むと丁寧にお化粧をしたくなるし、新しい化粧品が欲しくなりました。
    素直じゃない幼馴染の女の子や、なかなかわかりあえない妹の存在も、それから凄腕?マネージャーも、淡々とした日常の中にスパイスを与えてくれてよかったです。

    口紅は確かに女性の印象を変える、最強のアイテムかもしれませんね。

  • すごく好き!宮下さんの作品の中で今のところ、一番好みの作品。終盤のマネージャーがとても可愛かった。(笑)

  • このひとの文章だいすき。
    疲れたときに、ちょっとだけ頑張ろうって思える。
    後ろに向きかけてた気持ちを、さりげなく前に向けてくれるのです。

  • 女子のお仕事小説。
    ショッピングモールの化粧品カウンターに勤務して1カ月の新人「ビューティーパートナー」(美容部員)、結乃(よしの)。
    カウンターは6期先輩の“凄腕”美容部員の馬場さんだけなので、オジちゃんたちは登場せず、華やかな雰囲気だ。
    口紅が好きで美容部員になったが…

    妹は結乃とは正反対で「外見より中身」を主張し、メイクもしないばかりか、口紅に対して強い拒否反応があるらしい。
    加えて、お面のような厚化粧で素顔を隠したがる女性や、長々と無駄話をして居座るお客、会員証を断固断るマダム…
    売り上げは上がらないし、自分は少し人と違うのではないかという違和感も感じる。

    しかし…
    人と関わることで、少しずついろいろな事がほぐれて行く。

    私は、あの、美容カウンターの前を通るのが苦手なんですが…(笑)
    メイクは女性にとって重要なテーマ。
    浜崎さんのエピソードが一番良かったです。

  • 2015/11/13
    化粧品カウンターにいるビューティーアドバイザーのお話。たった少しの化粧で人は変われる。気分も変わる。
    コミカルな雰囲気で、明るく前向きな気持ちになれた。
    カウンターに行ってお化粧品買いたくなった。綺麗になりたい。毎日を楽しみたい。

  • もっと美容にがつがつした本だと思ってたけど、
    暖かくじんわり優しい。
    世界征服をもくろむ友達が目新しくて面白かった。

  • 妙齢の女子なので(笑)凄く感情移入しやすい題材だった。お化粧は女の武器であり仮面であるのだ。お化粧ひとつで自分をより良くも悪くも見せられる魔法なのだ。みんな良い方向に向かっていきそうなラストがいい。馬場さんと結乃の過去の繋がりが一切書かれていないのは敢えてなのかな。宮下さんの小説は読みやすいし結構好きだなぁ。2011/286

  •  ピンクがテーマカラーの化粧品会社に勤めて一ヶ月の結乃。研修後に配属されたのは、ショッピングモールの化粧品コーナー。そこで、夕方、館内放送で流れるのが、メロディ・フェア♪ Who is the girl with the crying face~ いつもメロディ・フェアの曲が流れる頃に姿を現す鉄壁のメイクの女性、初めて口紅を買った日の記憶、化粧を良く思っていない結乃の妹、…泣き顔の女の子、あなたもきれいになれる…なんで“メロディ・フェア”なんだろうと思ったけれど、歌詞を読んでみて納得。
     『スコーレNo.4』や『よろこびの歌』も読んだけれど、この人の本好きだな。

  • 化粧品のカウンター…久しく利用していないけど、こんな風に真摯に「きれい」に向かうアドバイザーに自分をまかせてみたいなぁと思えた。
    新人社員結乃の悪戦苦闘。癖のありそうな職場の先輩。謎の厚化粧の客。しっくりこない家族との関係。一体どう転がり、どう決着を付けるつもりかとドキドキしながら読めた。正直、もう少し生かしてほしかったな~というエピソードもあったけれど、地味ながらも一歩一歩着実に進んでいくことの大切さを感じられるストーリーであった。新人ならではの空回りな接客に、はらはらさせられることも多かったが、意外と度胸あるんだよな、結乃ちゃん。必ずしもいい結果に結びつくとは限らないけれど、それでも、相手の頑なさを溶かしていく結乃のまっすぐさ、心に響いた。
    全体を通して、口紅の描写がすんごく印象に残った。読み終えて私も、自分をときめかせてくれる「一本」に出会いたいなぁなんて思いました。

  • 派手さはなく、さしたる事件もなく、淡々というよりは確実に歩みを進めていくタイプの小説でした。
    ちょうど2時間くらいで映像化したらすてきだろうけど、大波なさすぎて地味だから、ないだろうな。私はそういうのが見たいんだけどな。

  • すっきりした気持ちのいい読後感。
    主人公は化粧品カウンターの新人でいろんなことに戸惑っている。仕事とか家族との関係とか親友との再会とか。
    悩みながらも誠実に相手と向き合う主人公はとても魅力的で好感が持てる。

    うまいなぁと思うのは会話。
    女性同士のちょっとしたやりとりが気持ちいい。言葉のひとつひとつがスッと入ってくる。
    主人公の受け取り方が素直だからかもしれない。
    ラストが特に爽やか。
    そんなに素直になれるものか?とか言ったらつまらない。
    素直になった方がずっと気持ちいいし、幸せだ。

  • 女性しか味わえない化粧を通しての、自分らしさと、仕事に対する向き合い方を教えられた。

  • ・・・私はこの世界の小さいところから歩いていくよ・・・
    大学を卒業して田舎に帰り、化粧品会社のカウンターで働きはじめた結乃。希望していたデパートではなく、ショッピングモールのカウンターへ配属されたが、お客さんはなかなか来ない。おまけに家では化粧嫌いの妹とうまくいかなくて。そんなある日、いつもは世間話しかしない女性が真剣な表情でカウンターを訪れた・・・。「誰かをきれいにする仕事」を通してしあわせを見いだしていく女の子の成長を描く物語。

  • ふるさとに帰り、ビューティパートナーとして生きる主人公。華やかだデパートではなく売り上げは余り期待できそうもないスーパーへの勤務。
    化粧をテーマにした、さまざまな人間模様を描く。
    主人公の成長物語でもある。

  • 自分自身はメイクをほとんどしない(できない^^;)ので、なんともなのだけど、娘にいつか読ませてみたい。

  • 2011-021。
    化粧のシーンがよい。
    女性らしい、やさしい表現。

  • 地元に戻ったビューティーパートナーの女性とその周りをとりまく人々の物語。登場人物は少ないし、複雑なお話でないので、すっきり読めました。何気に深い話でした。

  • 面白かった!

    ちらほらと評判を耳にしていた宮下さんの本、初めて読みました。

    人の心理や人間関係の綾を丁寧に描き、読みやすく、温かみのある一冊でした。

    化粧について肯定または否定の、説明し難い複雑な感覚を書き起こしていて考えさせられました。

    また、仕事を通して成長していく「お仕事」小説としても励まされました。

    読後、爽やか。

    似た感じは朝倉かすみさん。

    題名のメロディフェアの歌詞が英語のまま表記されているのですが…どこか一カ所で訳を付けた方が良いと思いました。

  • 大好き宮下さんの作品であります~~~~~~~~

    宮下さんの作品はほんとパワーをもらえる。
    いろんな部分で自分と並べて考えてしまうんだよね
    小説の中の主人公ってどこかフィクションっぽい部分が見えちゃうんだけど
    宮下さんの作品の主人公ってほんと等身大の女性なの
    まったく自分と同じわけではないけど
    どこか似ていて
    同じように迷っていたり
    同じように感じていたり
    そしてキラキラ輝いてる姿をみて私も頑張れる

    すーっと心に沁みこむ作品が大好きです。

    そしてこの作品はasta*に感想を載せていただいたり、
    実際宮下さんにお会い出来たり
    大切な大切な1冊です。

    asta*の感想は私だけ「ちーん」って感じだったけど
    もっともっと頑張ろうって気持ちももらえたから感謝!

    次回作早く読みたい!

  •  田舎のショッピングセンターの化粧品店で働く主人公。家族や個性的なお客さん、職場仲間、同級生たちとのやりとりで、自分の進みたい道を見つけていく。
     方言多数な会話がまるで聞こえてきそうな雰囲気。でも、文字にして読むのと音ではかなり違いがあるんだろうなぁ。
     口紅の色にいろんなものが象徴されていた。真っ赤、紫、メロディ・フェア。違う自分を演出して、この今を強く生きていくためには女性にはそれくらいの変身の魔法があってもいいのかも。

  • 今一番注目している作家さんなので、期待して読んでみたけれど、全然ピンと来ず。そのうち物語が展開するのか?と思いつつ読み進めてみたけれど、結局中途半端な内容で終わってしまった感が残った。登場人物ひとりひとりの物語への絡みが弱い、なので、物語にも深みがなかった。読む人によっては共感出来る内容なのかもわからないけど。

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メロディ・フェア (文芸)の作品紹介

大学を卒業した私は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ-。注目の著者が、まっすぐに生きる女の子を描く、確かな"しあわせ"の物語。

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