- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591122334
感想・レビュー・書評
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大学を出て故郷に戻り、化粧品会社のカウンターで働き始める結乃。デパートではなく、郊外のショッピングモールに配属となる。希望とは異なる勤務先に残念な気持ちを隠せない。
最初はベテランの社員のように上手くいかずに焦る。
それでもお客さんが本当に求めているものを知ろうとじっくり話を聞き、商品を紹介して手に取ってもらう。
お客さん自身のイメージとのギャップを埋めて、その人によりぴったりとくる、その人が本当に求めているものをさりげなく選び出す。
私が子供のころ、季節が変わるたびに化粧品会社のキャンペーンに注目が集まった。
TVで新作のCMが流れ、街の化粧品店にはインパクトのある美しいポスターが張られ、広告には商品とお買い上げに応じた販促品が載っていた。
子ども心にうきうきして、
これいいな、あれもいいな、
これだけ買ったら、このおまけが貰えるなどとわくわくしていた。
あれは椿のマークの会社だったかしら?
今では以前ほど、「キラキラの憧れの世界」を化粧品に期待することも少なくなったけれど、
デパートのカウンターで口紅やら香水をつけてもらう時、
いつもよりちょっぴり口角があがり、楽しくなって
笑顔になってしまう。
「メロディ・フェア」というタイトルも懐かしく、
小さな頃の思い出も一緒によみがえったのでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「無人島に何かひとつ好きなものを持っていっていいと言われたら、迷わず口紅を選ぶだろう。
誰も見るひとがいなくても、聞こえてくるのが果てしなく繰り返される波の音だけだとしても、ほんとうに気に入っている口紅が一本あれば。毎朝それを引くことで、生きる気力を奮い立たせることができるような気がする」
という、心惹かれる文章から始まるこの小説。
ビューティパートナーとして働く女性が主人公です。
学生のころ、化粧品売り場のとなりにある雑貨フロアでアルバイトをしていたことがあって、モールの独特な雰囲気を思い出しました。
要は、常に賑わっているわけじゃない、キラキラしたところというよりは、日常が舞台になっているようなところ。
静かな空気感でいながら、春にぴったりな、ちょっと心がわくわくするような1冊で、読むと丁寧にお化粧をしたくなるし、新しい化粧品が欲しくなりました。
素直じゃない幼馴染の女の子や、なかなかわかりあえない妹の存在も、それから凄腕?マネージャーも、淡々とした日常の中にスパイスを与えてくれてよかったです。
口紅は確かに女性の印象を変える、最強のアイテムかもしれませんね。 -
このひとの文章だいすき。
疲れたときに、ちょっとだけ頑張ろうって思える。
後ろに向きかけてた気持ちを、さりげなく前に向けてくれるのです。 -
女子のお仕事小説。
ショッピングモールの化粧品カウンターに勤務して1カ月の新人「ビューティーパートナー」(美容部員)、結乃(よしの)。
カウンターは6期先輩の“凄腕”美容部員の馬場さんだけなので、オジちゃんたちは登場せず、華やかな雰囲気だ。
口紅が好きで美容部員になったが…
妹は結乃とは正反対で「外見より中身」を主張し、メイクもしないばかりか、口紅に対して強い拒否反応があるらしい。
加えて、お面のような厚化粧で素顔を隠したがる女性や、長々と無駄話をして居座るお客、会員証を断固断るマダム…
売り上げは上がらないし、自分は少し人と違うのではないかという違和感も感じる。
しかし…
人と関わることで、少しずついろいろな事がほぐれて行く。
私は、あの、美容カウンターの前を通るのが苦手なんですが…(笑)
メイクは女性にとって重要なテーマ。
浜崎さんのエピソードが一番良かったです。 -
・・・私はこの世界の小さいところから歩いていくよ・・・
大学を卒業して田舎に帰り、化粧品会社のカウンターで働きはじめた結乃。希望していたデパートではなく、ショッピングモールのカウンターへ配属されたが、お客さんはなかなか来ない。おまけに家では化粧嫌いの妹とうまくいかなくて。そんなある日、いつもは世間話しかしない女性が真剣な表情でカウンターを訪れた・・・。「誰かをきれいにする仕事」を通してしあわせを見いだしていく女の子の成長を描く物語。 -
自分自身はメイクをほとんどしない(できない^^;)ので、なんともなのだけど、娘にいつか読ませてみたい。
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☆☆☆
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なんとなく表紙に惹かれて図書館で借りて、就寝前なんとなく読み始めたらとまらなくなって結局最後まで読了。
最近お仕事小説多いなぁ、自分。
これもまた興味深い、デパートなんかの化粧品売り場で完璧なフルメイクを自身にほどこして、カウンターの向こうにいる方たちのお話。
わたし自身はほとんどメイクをしないのだけれど(日焼け止めですら思い切り肌が荒れる・・・)、一番最初に基本的なメイク道具をそろえようと思ったときに、ともかく恥を忍んで(なにせ化粧しなけりゃ女じゃない、みたいな空気が周りに漂っていてそれに流されていたので)教えてもらおうと思って、飛び込んだのが、それこそ主人公が働くような場所の某ブランドの化粧品コーナー。そこの美容部員さんが、わたしは人にメイクするのが好きでこの仕事についたんですよーと嬉しそうにしゃべっていたのが、この主人公に重なります。
妹やおさななじみとの話は、きっともっと膨らますことができたはず、魅力的に書けたはず、とちょっともったいない感じが残りますが、おもしろかったです。