(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)

  • 599人登録
  • 3.98評価
    • (81)
    • (89)
    • (61)
    • (9)
    • (2)
  • 88レビュー
著者 : 藤谷治
  • ポプラ社 (2011年3月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124017

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)の感想・レビュー・書評

  • 評価の分かれる作品だと思う。
    秒速5センチメートルを最後まで描き切ったような作品。
    今の自分には、サトルの選択や、結末を「そういうものだ」と受け入れることが出来、読後感は爽やかなものだった。

    南絵里子のあまりにも自己中心的言動に生理的な嫌悪感を抱き、それに対するサトルの反応ももっと怒りを持って対応するのが普通ではないかと疑問を持ちながら読み進めていったが、結局南に対する掛け値ない愛情がそうさせているのかと理解した。
    金窪先生に対するサトルの行いも、その不条理(南の行為と結末)に対する怒りを南に向けることが出来ないための衝動的なものだと解釈した。

    色々と考えてしまう。
    「どうしようもないこと」だと受け入れることは金窪先生がいう船酔いに慣れて、海が凪いでいると勘違いすることではないかと。
    「生き抜くための逃げはあり」(マンガの銀の匙)なのか、それとも「船が揺れ続けていることを忘れてはいけない」のか。
    現実はどちらか一方を取るという二元論ではなく、バランスの取り方なのだろうが、こればかりは正解がないからいつも悩んでしまう。

  • 久しぶりにズンと余韻に浸らされるような小説を読みました。読み終わって暫く世界観を引きずらされた感じです。多少フィクションは入っていると思うのですがある程度作者の過去だったのかと思うとさらに痛いですがそれだけじゃなく考えさせられるというか。
    金窪先生の言葉には泣かされました。謝罪は受け取るけれども許しはしない。あの状況でそれでも彼の為に言葉を伝える先生は立派だなあ。自分には到底不可能だ。

    世の中には思いもしない出来事が起こり、その中で喜怒哀楽し、他人と生きていく。それだけのことが何故これほど難しいのか。それだけなんだけれどもそれだけでは無い。ままならないなあと思うのです。

    天才ってひとつのことを続けられる才能を持った人たちじゃないのかなあってつくづく思います。勿論天性の才もあるのでしょうが。
    スポーツや音楽を専門にしている人は人よりも早い段階でかなり厳しい現実を突きつけられるのかなあと思うと怖いなあと思うのです。
    ある程度年を取り、小ずるくなって周囲や自分を誤魔化せるようになる前に自分の限界を突きつけられたら…と思うと背筋が寒くなる気がします。主人公の彼は芸術家では無かった、とありますがその感性は確かに繊細で音楽に対して真面目なことはひしひしと伝わります。もう少し上手く立ち回れれば、とは思いますがそうしたら彼の持ち味は無くなってしまうのでしょう。

    努力すれば何でもかなうよ、というような青春モノを読むと努力出来ない人間はじゃあダメですねえと皮肉を言っているような自分にはなかなかずしんと来る小説でした。面白かったです。そのうち買おうかな。

  • 2巻の試練を経て、主人公に迫りくる新たな試練。
    結末としては幸福でも不幸でもない終幕。それでも、主人公が様々な人々と共有した音楽の優しく美しい切ないこと。
    電車で思わず涙が溢れました。


    サトルと南について書かれる方も多いですが、私は伊藤君がすごく印象に残りました。
    サトルと南の失われた恋の裏でこっそり息づいていた伊藤君のサトルへの思慕。それがすごく美しく、また切なかったです。

  • 音楽一家に生まれた主人公が音楽高校時代を振り返る形式で書かれた青春小説。

    若さゆえの純粋さと残酷さ、時を経てそれを自覚したときのなんとも言えない後悔や恥ずかしさは共感するところ。
    一般的には「大人」になった今でも、今の自分を数年後に振り返ったら、程度の差こそあれ多少は同じ感覚を味わうのだろう。
    一生その繰り返しかもしれないが、年を重ねるのは面白いと思う所以でもある。

  • 高校1、2年のころまでは自分の可能性に疑いを持たず自由に生きていけるけど
    高校3年、大学生につれてとだんだんと自分の器や可能性などが見えてくる
    そして、社会人になって学生の頃に思っていた自分と現実との違いにどうしたらいいのかと戸惑ってくるけれど
    ちょうどそれが書かれている感じがした。
    自分が全力をささげてきたことに対して、自分の器が見合わないことに気づいていく
    読んでいくうちに「これって現実だな」と思うことが最後に向けてたくさんあった。
    挫折をしていくこと、取り返しがつかないこと、今でも許せないこと、たくさんあるけれど、それを持ったまま進まなきゃいけないこと。
    Ⅰのときはすごく読んでいて楽しかったけれど、Ⅱ、Ⅲと読むにつれて、あまりの現実っぽさにちょっと暗くなった。
    フィクションだからこそ、「よかったね」と思えるような、明るい未来を書いて欲しかった気もすれけど、この現実っぽさがよかったのかと思う。
    自分はともかく、学生に是非読んで、少しでも後悔しない未来を進めるようこの本から学んでほしいなと感じた

  • 一日で2と3、ぶっ通しで読んでしまった。

    本当は主人公が一生懸命努力して、成長していく物語が好きなんだけど、
    でもこの本も好きになれた。

    音楽にガッチリはまったときの彼らの描写は、見ていて自分も一緒に弾きたくなるくらいキラキラしていて羨ましかった。

    音楽を仕事にするってのは、やっぱり辛そうだったけど。好きだという気持ちも努力も通用しない世界に、進むのも、そして諦めるのも同じ位キツいんだろうな、それがよくわかった。

    この本にはあの時僕はこうしていたらよかったのに、という表現が割に出てくる。
    その度に、そうだよ何でそう後悔するような行動するんだ...と思うんだけど、自分もそんなようなことがいっぱいあるなって自覚した。それが人生なんだなって思った。

    月並みだけど、青春の時間ってのはかけがえのないものなんだな、と改めてわかる。
    大人はちょっとつまんなさそうだ。
    私の大人の時間はこれからだけど、彼らみたいな一生懸命さを持った大人でいたい。

  • 読んで良かった。結末が気になって読み進めたが、面白くはなかった。
    「赤朽葉家の伝説」の語り部に対する不快感を主人公に対して抱く。
    天稟が無いのだから、仕様がないとは思うのだけど。
    この巻でもヒロインが気持ち悪い。
    哲学の先生はいろいろなものを救っている。そういうところが良い。

  • 才能は残酷 人生色々 運命も残酷

  • 音楽科でチェロを専攻している男子高校生の高校生活3年間の話。
    毎年ある文化祭やオーケストラの発表会などに加え、恋愛あり挫折ありの若き日の思い出。
    音楽に情熱を注ぐ高校生たちや先生たちが主な登場人物なので当然音楽用語がたくさん出てくるのだが、フェルマータやらアルペジオやらデミュニジェンドやらを楽器を習ったことがない人には理解できるのだろうか?
    あと、主人公の彼女だった女子がどうしても好きになれない。やることなすことが全て自分のため。相手のことを思ってやったことはひとつもなく、あげく主人公を裏切る。全く理解ができない。
    物語としては全3巻、長いようであっという間に読める。主人公によって辞職に追い込まれることになる倫理社会の先生の話もおもしろい。
    音楽だけでなく、そういった話も入ってくるのでそこまで音楽に親しみがない人でも読みやすいと思う。

  • 三年生になろうとしているある日、伊藤は言った。
    「津島、大丈夫か? チェロが、おとなしくなってる」
    津島の懊悩をかえりみることなく、学校は音楽エリート育成に力を入れ始めた。
    津島は自らの未来に対する不安を胸にチェロを弾き続ける。
    そして、運命の日が訪れた――

  • 本屋大賞、2010年7位。青春音楽小説。武士道シックスティーンや一瞬の風になれと同じように、高校生活の3年間が大体1年ごとの3分冊になってる小説。オーケストラの演奏シーンの臨場感が圧巻。本当にその場で自分が演奏してるような体験ができる。こういった自分の経験したことない世界を説明なしで疑似体験させてくれるやつはお得感あります。表現力半端ないです。基本的にスポコンもの好きで、武士道とかもすごく良かったけど、この本は上を行くかも。1巻は演奏シーンががんがん迫ってくるしそれだけで感動的だし、底抜けにに楽しいストーリーも秀逸で歴代1,2を争う大傑作。2巻の最初は若干説明的で中だるみになるけどその後持ち直す。それ以降は、青春小説にありがちな、ハッピーエンドに向けて予定調和的なマンネリ化することなく、予想外の悲劇的な展開で一気読みさせる。悲しいできごとや苦悩ときちんと向き合うことでしっかりとした話になっているし、読後感も良い。落ち着いて読めるのは、作者の思想に共感する部分も多いからかとも思う。
    ”母親が子供にできることは多いが、子供が「良い人間」になるためにできることは本当はひとつしかない。それは子供を安心させることだ。”

  • 青春って、いい。

  • 3冊目でようやく題名の本当の意味がわかるのね。
    金窪先生との再会の場面は感動的。
    淡々と綴っていらっしゃる文章だけど
    熱い想いがしっかりと伝わってきました。
    音楽って素晴らしいのね。心からそう思いました。

  • 単行本で感動し、文庫版になってまた読んでみた。
    またしてもガツンと来た。
    しかし正直、南のことは忘れていた。ああ、こんな別れ方をしていたっけ、と。
    心を揺さぶり、衝撃と感動を残したのは、金窪先生と、臨場感ある演奏の場面であり、その中でクヨクヨする主人公だったのだ。
    最後に短編が追加されていたが、佐野元春の名盤「SOMEDAY」の中の「サンチャイルドは僕の友達」のように、高ぶった気持ちを静めるような役割をしていた。

  • 2010年本屋大賞7位

    中高大一貫の音楽学校創始者の孫が祖父の高校に入学し、熱中したチェロ、恋、苦い過ちを中年になって振り返ったお話。

    全3巻とかなりの量。殆どがクラッシク、音楽用語そして哲学について「サルでもわかる」レベルで記載されている分かと。
    ど素人の自分にはありがたく、非常に面白く読むことができたw

    終始"上から目線"の語り口(この本でいうと"審判を下すもう一人の自分"が中年になっても"高校生の自分")なので、世代の近いおっさんにとってはその部分がちょっと「鼻につく」感じかなぁ。
    おっさんとして痛いほど理解はできるが、余ほど自尊心が強い人なんだなぁと思う。

    南ちゃん幸せになっていてほしいと思う。

    解説は最悪。

  • 音楽と共に歩んだ青春の中で
    音楽の道を諦めて
    大学生になり社会人になり
    また趣味で音楽を始める

    妊娠、出産、結婚した元恋人がまた出てきたり、辞めさせた先生に謝罪に行ったり、後悔の念に駆られていたものを最後に掛けて一枚ずつ剥がしてくれた

  • 読み返すのに勇気がいる。
    自分がまだ音楽をやっていて恋愛にうつつを抜かして周りの人間を無邪気に傷つけていたときにタイムリーに読んだので、当時の感情や情景がよみがえってきてつらい。
    でもたまに読み返す。
    南の身勝手な行動にはまったく共感しないけれども。
    向こうに先を行かれると悔しい、憎い、自分のほうが絶対上手いのに!と思ってしまう醜い感情には覚えがある。
    チェロのせいでチェロのせいでとイライラしたこともありました。でも、チェロがなければサトルも私も相手に出会ってすらいなかったわけで。
    いろいろあったけど真面目にチェロに向き合おうとこの本を読むたびに思える。

  • サトルが音楽を辞めてしまうことは、一巻からうすうす分かっていましたが、もっと他につきあい方がなかったのかなと思ってしまいました。私自身、音楽ができる環境を失ったので重なる部分があったからかもしれません。でも最後に何十年ぶりにチェロを弾き出す姿は、とても温かくどこかしっくりきました。大人になっていくにつれて、周りが見えてきて手放す決断をする、自然と離れていってしまう、そうゆうことものが増えるかもしれませんが、がむしゃらにしがみつくのではなく自分のペースで付き合える時が来るのを待つことも選択の一つですよね。

    音楽小説としても、読んでいて演奏したいと思わせてくれる小説でした。とくにオケでの合奏部分とか良かったです。

    にしても、二巻のインパクト強すぎる(笑)

  • サトルが気づいていなかっただけで、周りの友人達は気にかけてくれていたのね。よかった。金窪先生がサトルを許せないのは当然で、サトルは自分の行なったことを背負っていかなきゃいけない。南もまたサトルと同様に許されないとは思うけど、サトルが吹っ切れた分、南のその後の行動が軽く見える。。。南と別れてからサトルの音楽は下降の一途を辿ったように見えるけど、挫折したことで自意識過剰だった自分を振り返るきっかけになった。「再会」の最後の一文が良かった。

  • 1巻は音楽好き青少年にいいかな?と思ったのですが、
    3巻まで読んできて思うのは
    青春まっただ中の方には全くおすすめしません。
    だれ向けかな?
    人生に疲れた中年?
    謎。

    全体的に主人公がちょっと愚かしくてイラッとするけれど、
    それよりも3巻で激怒したのは南かな。
    2巻では呆然、3巻で激怒。
    意味不明でした。
    すみません、3巻まで読んだ時間を返してほしいです。

    そういえば、この青春のモラトリアムのうだうだ感、
    トーマス・マンの『魔の山』をふっと思い出しました。
    でも当然あちらの方が100万倍良いので、
    この本を読むことを検討中の方は、ぜひそちらを。

  • 今読めてよかった。

  • サトルの恋愛はいまいちだけど、他のラストはよかったかな。伊藤君との友情は素敵。大人になって昔の自分をきちんと見れた、そんな大人になれたのはよかったと思う。

  • 読み終わって数日、何かを引きずるようなかんじです。

    振り替えって、自分ではどうしようもないことってあるよなぁ。実はここで人生の別れ道があった、とか。
    後悔するしないではないけど、
    自分の努力とか行動とは無関係なところでも、
    例えば、あのとき千葉に引っ越さなければ、とかあったりします。

    うー、でも、読んでよかった一冊。
    さらけ出している、ということに、
    確かに舞台は特殊というか、あまりないかもしれないけど(音楽学校)、
    誰にも通じる内容だったと想う。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    三年生になろうとしているある日、伊藤は言った。「津島、大丈夫か?チェロが、おとなしくなってる」。津島の懊悩をかえりみることなく、学校は、音楽エリート育成に力を入れ始めた。津島は、自らの未来に対する不安を胸に、チェロを弾き続ける。そして、運命の日が訪れた―。生きることの“歓び”と“ままならなさ”を歌い上げた青春音楽小説の金字塔、堂々完結!津島と伊藤の二十七年後を描いたスピンオフ短編「再会」を特別収録。

    【キーワード】
    文庫・シリーズ・吹奏楽・オーケストラ・文化祭・青春・高校生

  • 劇的なエンディング(演奏も先生とのやりとりも)に向けて、
    話はとてもよく書けています。
    ただ、もう少し救いがほしかった。
    主人公に感情移入してしまっただけに、揺られっぱなしの船はつらい・・。

全88件中 1 - 25件を表示

(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)の作品紹介

三年生になろうとしているある日、伊藤は言った。「津島、大丈夫か?チェロが、おとなしくなってる」。津島の懊悩をかえりみることなく、学校は、音楽エリート育成に力を入れ始めた。津島は、自らの未来に対する不安を胸に、チェロを弾き続ける。そして、運命の日が訪れた-。生きることの"歓び"と"ままならなさ"を歌い上げた青春音楽小説の金字塔、堂々完結!津島と伊藤の二十七年後を描いたスピンオフ短編「再会」を特別収録。

ツイートする