([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)

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著者 : 小川糸
  • ポプラ社 (2011年4月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124192

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([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)の感想・レビュー・書評

  • 最初から最後までずーっと、せつなかった。

    現実と幻想が あや織りになったようなストーリィ。
    ここは、きっと主人公の女性の願望…
    きっと、ここまでがものがたりの現実…
    そう思いながら、読了してしまった。

    文章には書かれていない、
    行間から滲む 寂しさ、
    そして罪悪感。

    吸いこまれるように美容室に入って
    切れるだけ髪を切り
    毎日をわざと忙しく過ごし
    綺麗な夕暮れにあっても
    一緒に見たいと思わないように、する。
    少しずつ、好きな人とのことを
    なかったことにして、
    ぜんぶ、夢だったと自分に思い込ませる…。

    そんな恋は、しない方が幸せかもしれない。
    なのに 自分ではどうすることもできず
    魅かれてしまう、そんな切なさ。

    最後の初春は、彼女の見た夢だと思う…。
    物語の現実はきっと「お別れ」で
    終わっている。

  • 小川糸さんの「暮らし」の描写がとても素敵だなーと改めて思う。
    谷中の下町風情に溢れる景色の描写もとても素敵。
    気持ちの余裕がない時にこういうしっかり丁寧に生活している本が読みたくなる。でもどこか遠い所のお話のようにも感じてしまう距離感が心地よい。
    どうしようもなく惹かれてしまう気持ちの描写がなんともせつなかった。どことなく浮き世離れしている道ならぬ恋の描き方だけれども、だからこそ余計にせつない気持ちの描写が際立つように感じた。

    ープリンにスプーンを差し込んだ瞬間、もうだめだろうという予感が下。そして、柔らかくて甘いものを口に入れたとたん、涙の洪水がわたしを襲う。心という形がぼろぼろと足元に崩れていくのを、私は他人事にように啞然と見つめているしかできなかった。

    プリンの柔らかさと甘さは春一郎さんそのもの。それを受け入れてしまうことへの罪悪感とどうしようもなさ。嘘みたいな事が現実に起こった時の戸惑い。このへんの描写がなんともどうしようもなくてせつなかった。
    五感と心がつながるとき、どうしようもなく幸せにも、どうしようもなく悲しくも、なる。

    食べる事は生きること

    ーまた少し、春一郎さんと私の体が同じもので作られていく。

    大切な人とおいしい食事ができる事
    同じ時を過ごせる事
    そんな、当たり前の事が何より幸せなこと。

  • 一言でまとめると不倫のお話で、読んでいる最中も読了後も気分は悪かった。

    だけど、春夏秋冬の様や栞の生活・仕事・家族や食べ物のこと近所の人の関わり合いをとても丁寧に描写してあり、読んでいてとても楽しかった。
    食事の場面は読んでいるだけでも美味しそうだなぁと思えたし、お酒も無性に飲みたくなる。
    また、栞の丁寧な生活ぶりに憧れる。

    ただ、あそこで春一郎が再び現れなければなーと思った。あそこは一番残念。あー来ちゃったよ・・と。

    個人的な願望は、栞には少しずつ春一郎を想う気持ちを忘れていって、前向きに仕事と生活、そして新たな恋をしてもらいたかった。そういうニュアンスで終わらせて欲しかった。

  • 東京・谷中でアンティークきもの店を商う主人公の栞。彼女の店に客としてやってきたのは、どこか父親の面影を持つ木ノ下という男性だった。

    栞の家族はもしかしたら機能不全なのかもしれない。割と明るく暮らしているので、あまりそんな感じはしないけど、栞の母親は不義の子を産んで父親と離婚しているし、栞の妹は、お姉さんの彼氏を取ったりしたのかな…。
    そんな中で、栞と木ノ下の関係はゆっくりと進んでいく。430ページをかけてゆっくりと。
    メインの舞台は谷中だけど、湯島や亀戸天神や上野や浅草など、東京の下町の多くをカバーしている感じ。
    小川糸さんの食べ物の描写には、今回も惹き込まれた。

    好きなキャラクターは、栞の店のお得意さんであるイッセイさん。下町ならではの粋なお年寄り。ああいう風に年を取りたい。

  • 後にも先にも、一番好きな小説かもしれない。
    なんてことのない下町の、なんてことのない人たちの話なのだけれど、おいしそうなご飯と素敵な着物の描写がたまらなく美しい。
    決してみんなから賞賛される内容ではないとしても、わたしはこの本に憧れている部分がたくさんある。
    何度でも読み返したい、繊細で美しい小説。

  • 小説にはいろんなタイプがあるけど、僕にとってのひとつの分類として、主人公に思い入れながら読むのと、主人公を第三者的に眺めながら読むってのがある。女流作家のやつだと性別が違うからか後者になるケースが多く、これもそうかな、と思っていたのだが、どうもそうだけじゃなさそう。リアリティがありそうでないところが理由かな。
    とは言っても、ネットなんかで見かけるほどこき下ろされる小説でも無いと思う。「時間の無駄だった」とか「マーケティング」とか「ファンションで不道徳をを包み隠してる」とか、前作の時もエライ言われようだけど、そうかなあ?谷根千の情景を思い浮かべながら登場人物達を知った顔に置きかえて読めばするっと入ってきて悪くない。こういう頭を使わず、感情入れない読み物というのも、時には必要。そう、機内誌のエッセイみたいな。僕は主人公には、何故か好きだったコのお姉さんの顔が浮かんだ。まあ、いろんな所を曖昧なままにしてるのとかも、技法と言うよりは稚拙感が出るのも事実だけどね。
    それにしてもこの人の作品は色々うまそうである。腹も減るし、何度も何度もぬる燗が出てきて、だめ押しでそれが「開運」だったときにはのけぞった。読み切ったのが夜中じゃなかったら飲みに出ちゃったよ、きっと。作者は食いしん坊なんだろうなあ…。
    この作品は前作「食堂かたつむり」と違って、作者その人が谷根千をきちんと好きで歩いてから書いたからでしょう、情景には遙かにリアリティがあります。そういう意味では、こっちの方が好き。本作でも明らかに調べないで書いている部分は露呈するので、この人は自分で良く知ってるエリアについてだけ書いた方が良さそうですね。いつか東京戻ったら、谷根千住んでみたいね。

  • 谷中のアンティーク着物屋さんの主人公が、静かに恋をしていく話。相手は妻子持ちのいわゆる不倫なんだけど、ドロドロした感じがなくてよい。相手を静かに思う気持ちが伝わる。好物を拵えたり、誕生日を勝手に決めて密かに祝ったり、また会えるのを楽しみに着物を選んだり…謙虚に慎ましく思っている。
    また、舞台の谷根千がいい。焼きかりんとうのお店、根津神社、日暮里駅、谷中霊園、根岸の香味屋、浅倉彫刻館、鈴木精肉店、へび道…
    食べ物も美味しそう。夏の冷やしおでん、ホルモンポテトサラダにはゆず。
    暮らしぶりも季節感がある。七夕に切り紙、はなび、月見…
    楽しめる一冊だった

  • 喋々喃々 / 小川糸 読了。400ページを超える長いお話だったけれどたった2日で読み終えてしまいました。日々の生活と季節の移ろいの結び付きがとても美しく描かれていて、夏も悪くないと思えたし冬は一層恋しくなった。小川糸の描く人々はとても丁寧に日々を生きていて憧れる。登場する料理もおいしそうだし街も人も優しくて心臓のあたりを柔らかくしてくれる感じがする。それにしても、春一郎さんやイッセイさんのような男性はとても素敵だけれど現実ではこんなひとに出会ったことがないのでかなしい。

  • 谷中でアンティーク着物屋さんをしている女性が、そこで出会った結婚している男性に恋をする話。

    二人が出かける西日暮里から上野の料理屋さんの描写がすっごく美味しそう!
    鳥鍋や旅館の料理など、食べたことのない上品な味がしそうです。
    実在するお店のようで、巻末にMAPが載っていました。
    楽しく食事する、大人な雰囲気でちょっと気後れしますが、一つずつ回ってみるのも楽しそうです。

    月見の会とか地域のイベントも出てきて、そういうのに出かけてみるのも風流な感じで素敵です。
    着物で行きたいなぁ。。

    着物屋さんに来る上品な老婦人や、主人公を誘って浅草のデートに行く老紳士など素敵な人達が登場します。
    イッセイさん、かっこいい。

    穏やかな気持ちで読める、大人な恋愛小説でした。

  • 「おいしいものを、いっしょに食べたい人がいます。東京、谷中で、アンティーク着物店を営む栞の、恋と家族の物語。」
    とても、切ない、ラブストーリー。主人公の家族は、とても複雑で、それでも、彼女は、みんなが大好きで。それに、彼女は、辛い恋を経験していて、でも、今の彼を、純粋に愛している。しかし、それは、不倫の恋で…。美しくも切ない恋が、情緒溢れる、四季の風景と共に描かれている。そして、「小川糸」といえば、忘れてわならないのが、「おいしい料理」の数々である(笑)

  • 東京の下町でアンティークきもののお店を営む、栞の恋と家族の物語。

    季節を感じ、和の良さを感じる、やわらかくてせつないお話でした。
    他愛もないことを共有したい人がいる。
    おいしいものを一緒に食べたい人がいる。

    出てくる江戸っ子のおじいちゃんが粋であったかくて素敵でした。台詞のひとつひとつが心に落ちてくる。

  • 切ない気持ちになった。不倫のお話と思えないくらいに、ドロドロとか憎しみとかそういうのが無く、純愛という印象を受けた。丁寧に慎ましく日本人らしい暮らしを営む主人公に好感が持て、春一郎さんと幸せになってほしいと思いつつ、家庭を持つ春一郎さんが家庭を捨てる姿は見たくないという矛盾した気持ちになる。街、人、食べ物の描写が細やかで、巻末にはMAPも載っているので、谷中に遊びに行きたくなる。

  • 東京・谷中でアンティークきもの店「ひめまつ屋」を営む栞(しおり)。きものを求めるお客ばかりでなく、ご近所さんもふらりと訪れては腰を落ち着ける、小さなこの店に、ある日、父とそっくりの声をした男性客がやってくる。その人は、栞の心のなかで次第に存在感を増していき――人を大切に思う気持ち、日々の細やかな暮らしが、東京・下町の季節の移ろいとともに描き出される、きらめくような物語。

    けど、うーん、不倫かぁ・・・なんていうか・・・ひっそりとした感じが栞には似合うけど、うーん・・・相手の男もはっきりしろよ、と思ってしまいました。小説の雰囲気は好きなんだけどなぁ。


    ちょうちょうなんなん
     【喋々喃々】
     男女がうちとけて小声で楽しげに語りあう様子。

  • 春一郎と栞が一緒に食事をするシーンが印象的でした。
    好きな人と食卓を囲める。
    それだけで幸せだと気づける人は少ないですよね。

  • 全体の空気感は心地よくって気に入った。
    でも最後がイマイチ…
    不倫から抜け出せない女の弱さを見た。

  • 一文一文大切に読もうと思えた本。
    小川さんの著書は本当に食べ物の描写が素敵。
    お腹がすいてきてしまう。
    この本を読むと、着物が着たくなっちゃう。
    四季がある日本に生まれてよかったなぁと思っちゃう。

    春一郎さんと栞の複雑だけど優しい恋のお話で
    胸がほっこりして、たまに寂しくなって、温かい気持ちになりました。
    電車の中で何度泣きそうになったか・・!
    大切な人に無性に会いたくなってしまう、そんな素敵な本です。
    出会えてよかった。
    個人的にイッセイさんが大好き。

  • 谷中でアンチィークきもの店を営む栞は、ある日、店を訪れた既婚の男性に想いをよせることに。下町の風景を舞台にした優しくもちょっぴり切ない純愛物語。

    温かく穏やかな雰囲気に満ちた小説です。
    下町のここちよい空気が文章を通じて読み手に伝わってくるような、本当に素敵な感覚を味わえました。

    特に大きなことが起きるわけでもなく淡々と時が流れていくお話なのに、長さを感じることがなく、いつまでも読んでいたくなるような文章です。

  • なんだか後味がすっきりしない。

    お着物と下町のお話は好き。

    不倫なのになんかきれいにかいているところがふにおちない。

    おくさまや、こどもちゃんの気持ちがおきざりだな。

  • 生レバーだと思って箸を伸ばして口に運んでみたら、それは姿かたちがレバーに良く似たコンニャクでした。というのが読後の感想。『食堂かたつむり』でも感じた「何か、違うんだよなあ」という印象は今回も拭いきれず。どうにも登場人物が単に書き手の駒という存在にしか思えず、全体が平面的にしか感じられないような気がしました。ただその反面、雰囲気はすごく良いです。この作風を物足りない。と感じるか、穏やかで優しい。と受け止めるかで評価が変わる作家さんと言えるのではないでしょうか。シチュエーションとムードに重きを置いた作品。

  • この毎日を丁寧に生きている感じが素敵だなって思います。

    クウネルとかを読んでほこほことした気持ちになるのと似ています。

    まぁ、そんな可愛らしい皮を被ってはいますが、しっかりと不倫恋愛なわけで…。

    栞と春一郎さんとの関係性とか、間合いとか、空気感とか、とても優しい気持ちになれてフワフワ出来るのですが、その反面で、春一郎さんの妻や小春ちゃん、孫が可愛いだろう春一郎さんのご両親のことを考えると、ほろ苦いです。

    栞と寄り添って生きてほしいけど、妻や小春ちゃんにもお父さんは必要なわけで。春一郎さんが二人いればなーと思いました。

  • 星いくつにしようかな・・・と迷った本

    控えめでヤマトナデシコでございますって感じの主人公に
    逆に押しつけがましさを感じた
    少女マンガの「恋愛」設定を「不倫」に置き換えたら
    こんなさらっとした話になるんじゃないかなとオモウ

    女性うけしそうな演出とか小物とかだし
    読みやすい文章なので
    高カロリーより低カロリーが好きな人にはおススメかも

    かたつむりのやつも似たような話だったし
    この作家さんはもう読まなくていいかなーと思ったし
    さらに読むのに時間がかかったので
    星2つにケッテイ

  • 本の帯どおり、出てくる食べ物がぜんぶおいしそうだった。
    内容は重たくない、どろどろしてない不倫の話でさらっと読める。
    和風のおとなしめの主人公、季節毎の行事や花々、など風情がある本。

  • 不倫話とか嫌いだったけど、これはそうじゃなかったなぁ。
    好きになっちゃった。
    なんか、こう、ドロドロしてないのだ。
    澄んだ水のようなの。
    二人が、一度別れてしまうところは、何度読んでも泣いてしまう。

  • すごく読みやすくて、続きが気になって仕方なかった。イッセイさん渋くて深い。

  • 読み終わったあと、『読み終わっちゃったぁ』って思ってしまったくらい、ずっとずっと読んでいたかった!
    季節を大事にした丁寧な暮らしぶりがとても素敵でうらやましかった。憧れるなぁ〜あんな生活♪
    谷根千には時々行くので、今度はこの本を参考にして行ってみようかな(´ω`)


    ☆再読記録あり

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([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)の作品紹介

ちょうちょうなんなん(喋々喃々)=男女が楽しげに小声で語り合うさま。東京・谷中でアンティークきもの店を営む栞。ある日店に父親に似た声をした男性客が訪れる-少しずつふくらむ恋心や家族との葛藤が、季節の移ろいやおいしいものの描写を交え丁寧に描かれる。

([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)の単行本

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