([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

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著者 : 森見登美彦
  • ポプラ社 (2011年4月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124215

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 手紙の形式で書かれたユーモア小説。
    京都から臨海実験所に飛ばされた大学院生が、いろいろな相手に手紙を書き続けるが‥?

    守田一郎は大学院生。
    教授の命令で、能登の研究所で実験にいそしむことになります。
    近い駅は無人駅で、人と会うことも少なく、失敗しては先輩の谷口に怒られる日々。
    この際、文通の達人になろうと豪語して、さまざまな相手に手紙を送りつけます。

    恋に悩むアホな後輩。
    さんざんからかってくる怖いお姉さんだった先輩。
    女子高生で、しっかり者の妹。
    作家の森見登美彦。
    家庭教師をした生徒だった見どころのある男の子。
    何度も恋文を書こうとしながら失敗を重ねて出せないでいるお相手。

    手紙の進み具合で、相手が何をどう書いてきたのかがわかり、行き違いで事件が起きる様子もわかるのが面白い。
    ちょっとした言葉遊びにニヤッとしつつ、のんびり読み進むと、たまに爆笑ものの事件がおきます。

    饒舌で愚痴っぽく、かなりアホで、根性も決まってないわりにプライドもちょっと邪魔をするけど、人懐こくて人がよくて、感情丸わかりで、あれこれ考えつき、面白いことを言わずにいられない。
    これを読まなくちゃならない、ということは別にないんだけど~
    笑えます。
    恥多き青春の迷い多きひとこま。
    たまに、ごくまともなアドバイスがあったり。
    気楽に、お楽しみください☆

  • 京都の大学から能登半島のクラゲ研究の実験所に飛ばされた大学院生、守田一郎。
    僻地での無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住んでいるかつての仲間たちに手紙を書きまくる。
    友人の恋の相談にのったり、先輩の女帝に戦いを挑んだり、作家としたデビューした先輩の森見登美彦氏に恋文の技術の伝授を頼んだり・・・彼の悪戦苦闘は、ここに始まった!

    すべて手紙だけで構成されている書簡体小説。
    しかも守田一郎が一方的に送りつける手紙だけが並べられているのですが、いろんな相手に書かれるその内容から、起こった出来事や人間関係を類推することができます。

    森見ワールドのいつものごとく、今回もへなちょこ非モテ理系男子が空回りしながら周りを巻き込んで疾走しまくります。

    この守田という男、相手によって手紙の内容を書き分け、同じ出来事を自分に都合よく内容を粉飾させたり、詭弁妄言を繰り返したり。
    強き者には卑屈になり、後輩や家庭教師をした少年には偉そうに説教したり、ネガティブオーラ満載の、非常に面倒くさい男。

    でも、迫りくる就職に怯え、ほのかな思いを抱いている女性への手紙を何度も失敗し続けていることがわかるあたりから、なんとなく愛らしく思えてくるから不思議です。

    終盤、恋文の技術について一つの結論に達し、一皮むけた守田。
    大文字からたくさんの赤い風船を放つという、青春の終わりを予感させる、幻想的で静謐なエンディングが素晴らしい。
    思いもかけず(笑)、前向きな気分になりました。

    大塚女史との京都と能登をまたにかけたバトルが、一番面白かった!

  • ひとつの作品の中でこれ程「おっぱい」という単語を目にしたことはかつてないことでした。「おっぱい万歳」とかホントくだらない……けど、可笑しい。守田一郎君がアホ可愛い、私が先輩でもきっとイジリ倒していると思う。そんなアホ可愛い大学院生に最後にはホロリとさせられました。小学生の頃、文通めいたことをしてワクワクしたことを思い出し、その一方で今の子供達はそんな経験をしているのかなあと少し心配になりました。老婆心ながらメールともLINEとも違う楽しさがあると知って欲しいなあ。ああ……私も高等遊民になりてぇ。

  • この本のテーマは恋文ですよね。たしか。
    しかし、読んでも読んでも一方的でひねくれたお手紙しか出てこない。
    だけど、読んでいくうちに、主人公守田一郎をとりまく人々の状況がだんだん明らかになってきて、お約束どおりのハチャメチャな展開になっていて、大いに笑えました。
    森見さんの描くキャラクターは小憎らしいのに、なぜか憎めないのです。

  • 森見登美彦による書簡体小説。
    都落ちしたヘナチョコ大学院生が、能登から京都の知人達に宛てて乱射する弾丸のような手紙の数々。主人公のひねくれぶり迷走ぶりに、爆笑あり失笑あり含み笑いあり。なのに最後はジーンときちゃう。

    私が読んだ森見作品の中ではダントツの1位に躍り出ました。
    1人の作家がその作家人生の中で1度だけ許される手法に立ち合っちゃった感じ。

    友人・先輩・元教え子・妹等、「誰々宛」で分けられた章立てが面白い。
    尊大に構えたりへりくだってみたり、相手によって絶妙に書き分けられる文体。主人公のテンションの上がり下がりの整合性。時間の流れは前後するし、同じ出来事が何度も語られるんだけど、重ねた分だけ厚みが出るようでした。

    手紙の1通1通に、書き手の人柄がにじみ出てはいる。
    ところが少し離れて手紙全体を眺めると、巨大なモザイクアートのように「守田一郎」像が見えてくる。

    己が過去に書き散らかした手紙や頂いた手紙の事を思い出して身悶え。だけど何だかまた書いてみたくなってしまいますね。

  • 虚勢とか見栄とか媚とか情けなさとか

    人間らしい可笑しみに溢れていて
    あきれて笑ってしまう。
    人ってそういうところが必ずあってカッコ悪いなー自分とか思っているんだけれど
    そんなどうしようもない情けなくて阿呆な自問自答を
    カタい真面目な文章で書き綴る森見さんの作品には
    情けなさのなかに可愛らしさや愛おしさがあって素敵だ。

    特にこの作品は、守田一郎という人物を、彼の手紙から多角的にみることができて(相手の返信は記載されてない)
    主人公である守田氏を、とても愛おしく感じるのです。

    伊吹さんへの手紙を試行錯誤したうえでのラストが素敵。

    『僕の場合、わざわざ腕まくりしなくても、どうせ恋心は忍べません。ゆめゆめうたがうことなかれ。』

    わたしも恋文の技術、学びたいと思います。

  • やっぱり森見さん。
    手紙という形をとっていても、あの独特の面白さがあっていいです。
    すべてが主人公の書く手紙だけでできているのに、主人公と周りの人の関係や、相手からの返信を想像したりすることもでき、読んでいてとても楽しいです。(朝、教室で読んでいて、思わず1人でふきだしました。)
    いつものちょっとダメダメな感じの大学生、という設定も変わらず。なのに全然あきません。

    それにしても、「ラブリーラブリー」のくだり・・・
    あれを思いつく森見さんはすごいと思います。

  • 拝啓
    守田一郎様
    あなたが書いた色々な方との手紙のやりとり拝見いたしました。
    どんだけオッパイが好きな方なんでしょ
    どんだけの人を千尋の谷に落としたんでしょ
    あなたの有り余る文才に目が点になりデジタル化が進みすぎている社会に反発し手書きの手紙を書いてみたくなりました。
    あなた本人は笑わせるつもりはないと思いますが大笑いです。
    自分を客観的に見て本を片手にニヤニヤ笑っているおっさんが不気味でしょうがありません。
    本当にあなたと文通がしてみたくてたまらなくなりました。
    一言助言を
    守田さん、あなたは研究者には向いていません。
    いますぐやめて物書きになりなさい。それでは。

    と、オッパイ大好き守田一郎氏が
    同僚、恐ろしい先輩、妹、以前家庭教師をしていた生徒、森見登美彦氏とのやりとりの手紙の内容を載せた書簡集。
    嫌味のない人を小馬鹿にした内容がとにかく面白い。
    「静の笑い」が堪能できます。
    森見さんの本は初めてでしたが人気の高さがよくわかります。
    早くも次読む本を探しています。

  • 読後のえも言われぬ満足感、充足感。昨今の手紙離れ確かにある。でもそれが普通でなんとも思わなくなってきている。メール、ショートメッセージ、好いている相手に送る時はそれなりの昂揚感は感じられるかもしれないが、そこまでだ。幼い時、手紙の書き方を学校で習った。それから親戚、知人、たしかに手紙を書いてきた。もう届いたかな、返事くるかな。その楽しみは電子ツールでは味わえない。一番純粋な手紙とは、なんでもないことを書いて、風船で飛ばす手紙だと筆者は語る。忘れていた気持ちが赤い風船に運ばれたやってきた。文通、始めたいな。

  • 至極恋文を書きたくもなり、ともすれば森見調に引きずられてしまう。氏の本の中では一等軽妙で、幾度でも読み返したい本である。

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京都の大学院から、遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。無聊を慰めるべく、文通修業と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。文中で友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れるが、本当に想いを届けたい相手への手紙は、いつまでも書けずにいるのだった。

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)の単行本

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