(P[に]2-4)子どもたちの長い放課後 YAミステリ傑作 (ポプラ文庫ピュアフル)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124529

感想・レビュー・書評

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  • 仁木悦子さんの「こどももの」ミステリー短編集で、若竹七海氏選定の傑作選。大人向けの作品だが、小学生から高校生までの主人公が活躍する。必ずしも無邪気なだけではない少年少女の心の綾を、やわらかい文体で紡いでゆく。

    収録作品は、一匹や二匹/うす紫の午後/誘拐者たち/倉の中の実験/花は夜散る/やさしい少女たち/影は死んでいた。

  • やっぱり仁木悦子作品は素晴らしい

  • 読了、85点。

    **
    著者を尊敬して止まない若竹七海さん編集による、主人公が子供ばかりの全7編収録のミステリー短編集。
    **


    『猫は知っていた』で仁木さんのお名前だけは聞いたことがあったけど、、、と言うことで新装版が出たのと、フォロアーの人のレビューを読んでみて面白そうだったので『猫は~』とセットで買っちゃいました。

    短編の主人公はみな子供達ばかりで、今の自分の目線から見るとちょっと馬鹿だけど微笑ましいな、とかそんな印象を持ってしまうんですが、
    作品そのものは決して子供向けという訳じゃなく、主人公に抱いた微笑ましさに対比されるせいである種のドス黒さが強く強調された作品が多くありました。

    その一番の典型は、「うす紫の午後」で主人公の少女千加は自分が万引きした店で隣のお姉さんが店で万引きするのを偶然見掛ける。その後家に帰るとそのお姉さんの妹が殺されていて、お姉さんは警察へ。そして刑事が千加の元へ万引きを見たかと尋ねてくる。
    とこの段階で読んでる側はアリバイかと思うんですが、千加は万引きしたことがばれるとお姉さんが困るからと口を噤んでしまう。この辺りはああ、子供だなと感じてしまうんですが、その後の展開で驚きの連発。

    他に印象に残った短編は「誘拐者たち」と「やさしい少女たち」。
    前者はラストの下りが好きです。
    後者はたったの10ページ弱なのに良く出来た読ませるお話でした。

  • 仁木さんの「こどももの」の中から、若竹さんが選りすぐって編集した一冊です。お二人のファンはそりゃあ読まずにはいられないでしょう。今はなかなか手に入らない仁木さんの作品を昔の雑誌を漁ってまで読めたなんて羨ましい!自分を作家にしてしまった人の復刊に携われるとは、どんなに嬉しかっただろう、とここに至るまでを想像してしまいます。「こどももの」とはいえ、あくまで「子供が主人公の、大人向けのミステリ」ですからほのぼのばかりではありません。真相にショックをうけるような作品もあります。切なさや恐ろしさはあっても決して嫌な気分にはさせない。そしてもっとこの人の作品を読みたいと思わせる。この魅力は作品発表からどんなに時間が経っても変わらないと思います。

  • 『一匹や二匹』
    拾った子猫の飼い主を探す櫟究介。友人の杉岡君と色々な家を訪ね歩く中で発見した住谷という女性の遺体。究介が目撃したあこがれの羽鳥先生の婚約者・森戸四郎。2人が目撃した男の秘密。

    『うす紫の午後』
    大好きな小夜子姉さんが万引きをした現場を目撃した千加。さつがいさえた小夜子の妹・香夜子。小夜子の恋人を奪った香夜子。万引きを目撃した千加と小夜子の秘密。

    『誘拐者たち』
    友人のバイクを壊し弁償の為にお金が必要になった浩介とシン。近所に住む猫を愛する未亡人・梅山から猫を誘拐する。猫を誘拐されたことで自殺した梅山。梅山の孫の借金の秘密。

    『倉の中の実験』
    倉の中で本に囲まれて暮らす老人と遊ぶフーコとユリ。老人と義理の息子の後妻との関係。愛する本を処分され死んでしまった老人。倉の中で生活するユリの兄・篤夫。老人がフーコ達に見せなかった本に隠された秘密。

    『花は夜散る』
    殺害された加治真知子。真知子のルームメイト・田川あけみが秘書をする作家・巽冬枝にかかる殺害容疑。執筆中の冬枝の元にかかってきた記者からの電話。田川の作品を盗作した疑惑。盗作事件と殺人事件の秘密。

    『やさしい少女たち』
    婚約者を捨て金持ちの娘と結婚した山井周一。胃の調子が悪く入院するが・・・。周囲からの胃がんでの余命の噂。婚約者の妹の秘密。

    『影は死んでいた』
    受験勉強中向かいのアパートで女性が絞殺されるのを目撃した星野洋一。警察ともにアパートに向かうが・・・。続く幻覚。精神病院に入院した洋一の為に捜査に乗り出した真紀子と幼馴染の桜井。

     2011年5月18日読了

著者プロフィール

1928 - 1986。小説家。ミステリーや童話を手がけ、1957年に長編デビュー作『猫は知っていた』で江戸川乱歩賞を受賞。明快で爽やかな作風で、「日本のクリスティー」と称された。1981年には「赤い猫」で日本推理作家協会賞を受賞。無類の猫好きとして知られる。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

仁木悦子の作品

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