困ってるひと

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著者 : 大野更紗
  • ポプラ社 (2011年6月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124765

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困ってるひとの感想・レビュー・書評

  • 予約してから届くまでが長かった。。。

    更紗さん、まだ20代のうら若き乙女なのに、大変な闘病
    お疲れ様です、と言いたいです。

    そして私も大きな病気持ちなので、読んでいて共感&納得したし
    笑ったし、泣きそうになったし
    とにかく「あきらめない」「絶望しない」という姿勢は
    見習わねば!と何度も思いました。

    日本の医療のシステムや官僚や厚生労働省の作った
    「弱者・貧困者・障害者は死ね」と言わんばかりの、この縛り。
    本当に何とかならないかな・・・と何度思った事か!

    難病や障害者支援の定規ではかって、見えない線で切られる人の
    哀しみとか苦しみとか、なんで(一応)先進国なのに
    こんなにもマニュアルで雁字搦めなのか・・・とか
    這ってでも本人が申請しないといけないとか
    切羽詰っているのに臨機応変に対応してくれないとか・・・
    とても・・・せつなかった。

    入院中、退院できる状態じゃないのに
    入院期間が過ぎたから、退院させられた人々を
    何度も見たし、私だって本当に病院の「赤字の元」だったけど
    ギリギリまで入院を許してくれた先生、スタッフの皆さんに
    心の底から何度も感謝しました。
    国と患者の間で、一番苦悩しているのは医師や看護師たちだと
    私は現場を見て思った。


    そして更紗さんの
    在宅で病気や日本のシステムと闘う姿に勇気をもらいました。


    だけどジェネレーションギャップかな、私はパパ先生の言うことも
    (「更紗ちゃん、それは甘えだ!」と度々思った。)
    一理あると思ってしまう、100%更紗ちゃんの
    応援団にはなれなかった(。・人・`。))ゴメンネ
    (ここまで書くと、書かれた方の医師との信頼関係がなくなりそう・・・)
    (書かずにはいられない、作家の悲しい性だよね。。。)

    20代で難病で長期入院強いられたら、やはり更紗ちゃんのように
    私もなっていたと、そこも理解できる。

    入院中「私はモノだ」「モルモットだ」って思わないと
    やってられない状況は何度もあったし、それが20代の乙女なら
    本当にいくら傷ついたんだろう・・・と思わずにいられなかった。

    私も生きている限り、あきらめずに頑張ろうと思った
    自分であきらめてしまうと、もうそれでおしまいだ。

    「さらさらさん」も読んでみたいな♪と思う。

  • 日本で前例のない難病にかかってしまった女性の本当に本当に困ってる毎日。
    その内容はまさに壮絶。

    その日いちにちを生きる為にステロイドや30錠前後の内服薬、何十種類の外用薬を必要とし、それでも症状は抑えきれてない。
    そんな絶不調の彼女の前には医療、行政の問題 不満、不安が山積み・・
    困難に次ぐ困難。
    なのに冗談を交えながらの軽快で読みやすい文章。
    なんだかこれ以上なく大変な彼女に 読んでるこちらが叱咤激励されてる気分。
    そう 彼女は今も戦っている、「絶望はしない」と

  • 闘病記だけど、ただの闘病記ではない。
    ただものではない病人の体験記。
    ホントにもの凄く大変そうだけど…
    励まされます。

    福島県ののんびりした所で育った女の子が、フランスに憧れて上智大学へ。
    それがアジア難民に興味を持つことになり、ミャンマーの人のために奔走する生活に。タイやビルマにも何度も足を運ぶ。
    大学院に入ったばかりの2008年の夏、突然、身体に異変が!

    自分が難民ならぬ~苦難にあう人になってしまったのだ。
    病院へ行くことも大変な体調。
    検査すること自体、また大変という。
    病名がわかるまでに、病院を点々とする1年。

    (…こんなものすごい症状ではないけれど、病院へ行くことも出来ない体調というのは経験あります。
    待たされて具合悪くなったり、結局治す手だてもはっきりしなかったりね。やはり自己免疫疾患で難病の端くれだったうちの母にも付き添いました。)

    著者の病名は、筋膜炎脂肪織炎症候群。プラス皮膚筋炎。
    難病専門の病院に入院して9ヶ月、本格的な治療がまた大変。
    麻酔をかけると組織が変わってしまうので、麻酔なしの検査…げげっ。
    最初は、他の入院患者の様子にもショックを受けた著者。
    難病を抱えて生きてきた先輩を尊敬するようになるのでした。
    活気のある文章でテンポ良く描かれるので、ただ暗いということはありませんよ。

    故郷はムーミン谷のような山間ののどかな田舎で、原発の避難区域ギリギリという。
    一番近いコンビニに行くにも15分。
    ムーミンパパママのようだという両親に、ほっこり。
    でも故郷から病院へ行ったり、一時退院したりするのは何と大変な事か。
    お医者さんは素晴らしい人たちなのだが、やや浮世離れもしているので、そういう具体的な大変さは理解の他という面もあった。

    難病の男性と思いがけなく、ほのかな恋が芽生える。
    重病人同士では諦めなければならない、思い出を一つ作るだけにしようと、ただ庭で桜の花を見上げたひととき。
    ところが、恋のパワー恐るべし。

    病気とは、長く付き合わなければならないと覚悟する。
    しかるべく援助を受けるために、ややこしい書類の山と格闘。
    自立をめざして、ずっとほったらかしだった遠い小平の自分のアパートから、病院に近い所に部屋を探す。
    引っ越し手続きを出来るだけ速やかに終わらせるための、決死の準備。
    そして、友達を総動員しての引っ越しの日が来る。
    彼の人は実はDIYが得意で、いろいろ手配も手伝ってくれた。

    やったね!
    それでもまだまだ大変そうだけど…
    どうしていらっしゃるでしょうか。
    少しは楽でしょうか。

    著者は1984生まれ。
    2010年にこの本の執筆を始める。
    ウェブマガジン「ポプラビーチ」に連載されていたそう。
    こんなに大変でも大丈夫だよ!と伝えたいそうです。

  •  わずか20代で、杖にすがらなければ動くこともできず、おしりの肉は液状化して流れ出し、ステロイドの副作用で白内障。実に想像を絶する「難病女子」ライフを、かえって痛々しいほどに軽く明るい口調で語るこの本を読みながら、「いわゆる難病もの」はもう歓迎されない時代なのだなあ、と思う。
     かつては人々の同情と涙をさそう存在であった難病患者も、「自己責任」という脅迫と「こんなにがんばってるのに」という怨嗟の声が充満する今の社会では、眼をそむけられるどころか、「はたらかずに生活保護もらいやがって」と八つ当たりさえぶつけられかねない。この軽い筆致と絶妙なタイトルや装丁なしでは、本書がここまで広く読まれることはなかっただろう。
     しかし、難病患者がことさらに同情の対象とならないのは、悪いことばかりでもない。著者が書いているように、「自分はけして同情される側にはならない」という思い込みは、いともたやすく突き崩されるのが現実だからだ。彼女は「困っている人」であって、「かわいそうな人」でも、「怠けている人」でもない。そして「困っている」のはかならずしも病気のせいばかりともいえず、膨大なペーパーワークをはじめとする、社会制度の側にかなりの原因があることも見えてくる。
     そうした制度を代表する諸個人のなかには、当然ながら医師たちも含まれる。「パパ先生」「クマ先生」と親しみをこめたニックネームをつけた主治医らとの壮絶な、文字どおり命をかけた格闘の記述は、あいかわらず軽いノリを装っているとはいえ、本書で最もおどろかされ、胸を衝かれる部分だ。
     難病患者は、数少ない医師を信頼し依存しなければならない。そうしなければ生きていけないのだから。しかし同時に、その支配に対して必死に闘わなければ、やはり生きていけない。この真実を、これからも関係を依存せねばならない医師たちに向けてはっきりと伝えている本書を、私は、著者の遺言だと思って読んだ。それは、他の支援者として現れてくるワーカーや友人知人たちに対しても同じだろう。彼女が文字通り命をけずって書いたこの本は、たしかに「いわゆる難病もの」として消費されてはならない。

  • 今現在施行されている法律には、時代錯誤なものや、現状に則していないいわば机上の空論なものが多いよな、とは常日頃から感じていること。

    これを読んだところで、大野さんが日々感じている痛みや苦労を本当に理解することはできないのだけれど、
    それでも想像を絶する痛みとの終わりなき闘いと、
    自分の生きる道を開拓し続けるその精神力の強さに脱帽するほかない。
    自分だったら、その痛みに耐えられるのだろうか。。。

    おこがましくて、これ以上のレビューは、とても書けない。

  • 難病の闘病記なのに、暗くならない。
    好きな人とのデートが、一人暮らしをするパワーになったり
    両親の生活を思ったり、将来に不安を感じていたり、人間関係に、思慮したり
    それでも前を向いて進んでいく
    当たり前だけど、難病と戦いながら
    とっても人間らしくて。
    なんて強いんだろうって
    人って心持ちでこんなに行動が出来るものなんだって。
    恋って凄いなぁ~ってのが
    この本読んで一番の感想だった。
    すごいね、この本!

  • こういう言い方が正しいのか分からないけれど、すごく面白かった。
    そして興味深かった。
    そして自分のことを考えさせられた本だった。

    大学院でビルマのことを研究していたら、突如難病に侵されてしまった大学院生。
    その闘病記…ではなく身の回りのエッセイ。

    すごく文章を書くのが上手なのでサクサク読める。
    そしてサクサク読めるし軽いタッチで書かれているが、彼女の置かれている状況はとても厳しい。
    でも、めげてない。いや、めげてるんだけどめげないように頑張っていると書くべきだろうか。
    とにかく読んでいて、難病とかにありがちな暗い気分にならない。
    タッチ的には五体不満足に似ているのかもしれない。

    それでも、しっかりと難病と共に生きている人にとって何が大変なのかきちんと書かれている。
    医者は聖人君子ではなく人間で、日本の制度は病人にとって辛いものである。
    いや、きっとどこの国の制度も難病を抱える人にとっては大変だろう。

    いろいろ考えさせられた本。
    いろんな人に読んでほしいと思う。

  • つらくしんどいことを、うらみつらみをこめて書くのは簡単で。それを一歩ひいた視点で「面白く」書いてることがすごい。

    もちろん、渦中ではしんどさ1000%だったと思う。友人に頼り過ぎて決別してしまったりなどのエピソードもあるけれど、それはあって当然だし。

    彼女のすごいところは、いつまでも自分の境遇に酔ってたゆたっていないところ。状況を変えようとする行動力。
    デートしたい!っていう自分の欲望をかなえてあげる素直さ。

    刺激を受けた。

    そんな彼女だからこそ、すてきな「あの人」との出会いも引き寄せたんだろう。出会いのエピソードや、引っ越しで発揮される彼の得意分野にシアワセな気持ちになった。そこだけ二度読みしちゃったし。

    世界を広げてくれる一冊です。

  • すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保証するのが国家の役目なんではなかったのか。なぜ自治体によって受けることのできる福祉の内容が変わってしまうのか。なぜ障害者手帳の等級はひじやひざの曲がる角度で決められてしまうのか。
    難病を患いながら生きることは病気と闘うことと同時に、彼女いわくモンスターの日本の不条理な制度との戦いでもある。彼女の戦いがいつの日か実を結ぶことを祈る。あらゆる人に読んでほしい本。

  • ビルマの難民支援に奔走していた大学院生が、難病に冒される。「困ってる人」を助ける側にいた彼女は、一転、自ら「困ってる人」となる。行く手に立ちはだかるは、難病の山・制度の谷。生き抜こうとする「難病女子」は幾多の「モンスター」たちとの闘いを余儀なくされる。

    軽い筆致だが内容は重い。闘病記ではない、と著者は書くが、立派な闘病記である、と思う。ただ、著者の病気がなかなか診断の付かなかった難病であることもあり、治療法や入院先といった点で多くの人の参考になるような本ではないだろう。
    だがもっと普遍的に、「理不尽で困難な状況に陥ったとき、人はどうすればよいのか」を考えるとき、「このように戦っている人がいる」という不思議な希望を抱かせる本である。

    例えば自らを「難病女子」と呼び、病院を出て一人暮らしを試みようとする計画を「N・M・I(難病・ミッション・インポッシブル)」と名付ける。こうした本書の文体は、受け付ける人と受け付けない人がいるような気はする。しかし、この文体でなければ、著者はおそらく本書を書き通せなかったのではないか。そしてこの文体で書き通すことが、著者の心の杖となっている、そんな気がする。

    病気には限らないが、社会の弱者となったとき、どのような状態になりうるのか。そしてそこを切り抜けることは果たして可能なのか。「秘境」はジャングルにばかりあるのではない。望んで踏み込むのではなく、気がついたら否応なく抜け出せなくなっている街の「秘境」もまたあるのだ。制度の隙間に落ち込み、肉親や友人も疲弊してしまったら、脱出する術はあるのだろうか。

    「難病女子」を先導に、ニッポンの中の「秘境」をさまよう冒険は、おもしろくも恐ろしく、目を開かされる。


    *難病ということに加えて、ゼロ年代の著者の現実は、明らかに20年前の20代より厳しい。若い人が希望を持てるようにしていかなくてはいけないよなぁ・・・。

    *でもこの発想の柔軟さはこの世代ならではのものかもなぁとも思う。

    *独り立ちを決心するきっかけともなるクマ先生の一言、その前後の著者の気持ちというのが、すごくよくわかる。うんうん、そういうことってある。

  • 医学生としての自分にとっては、筆者の立場と、登場する医師たちの立場、両方から考えさせられるものがあった。
    本書には「先生は医学の面ではプロフェッショナルだとしても、激動の現代に関してはただの年齢相応のおっさんである」というような一節がある。
    医学的見地からのみならず、日本の医療制度、社会福祉制度を含めて幅広い面から患者さんにとっての最良の治療は何なのか、患者さんとともに探っていける医師にならねばならないと感じた。
    「世界を変えられると思っていた」筆者ではないが、日本の医療や社会福祉に対して提言できる医師になれればと思う。

  • 難病、と一口にできない日々の困難さ、その辛さに対する闘病の気持ちを余すことなく、コミカルに表現しているのが痛々しいけど、すがすがしい。

    人が前向きに生きていくのに、人生への期待や希望がいかにその人を奮い立たせるのか、最後に夜明けを感じさせるラストですこし救われました。

    少しでも病状が快方へ向かいますように。

  • 201303/
    その国の「本質」というのは、弱者の姿にあらわれる。難病患者や病人にかぎった話ではない。あらゆる、弱い立場の姿に、あらわれる。ビルマ女子は、タイやビルマで、路上や難民キャンプで、苦しむ人たちの姿を見てきた。貧困の姿もまざまざと見てきた。しかしそれは、いくら旅を続けようが「他人事」でしかなかったのかもしれない。
    「これが、苦しむ、ってことか」
    わたしははじめて日本の、自らの「本質」と向き合った。/

  • この方の疾患は壮絶で、はっきり言ってとてもヘヴィな内容(の筈)。ですが、活字離れが著しいアラフォー社会福祉士の厚い脂肪で覆い尽くされた『読書欲』を見事に引き出してくれる素晴らしい文章力のお陰で、夢中になって読みました。難病を抱え生きるだけでも大変なのに、一念発起して自力生活をされるくだりは凄まじさを感じました。新人社会福祉士としては、MSW(医療ソーシャルワーカー~同業の方)に相談し結局「お気の毒に…」と言われるくだりはかなりショックでした。これからこの世界で生きていくうえでよく考えなければならないと思いました。星でいうなら☆×5です!

  • ポストゼロ年代ゲンロンブームで、大野更紗の名前は知っていたし、現代思想やBSフジの情報番組で、障害当事者なんだけどシニカルなモノのいい方が気になっていたわけだが、忙しさを理由に未読でいたのだが、ポプラ社文庫版が発売された事をきっかけに購入し、一気読み。

     話そのものは、障がい者当事者による壮絶闘病記に過ぎないし、医療者である自分としては目新しい事はないのだが、病状が重い事もあってか、文章に力が抜けている感じがちょうど良いし、何より医療者や家族・友人に至るまで、鋭い人間洞察によるユーモアのある文章の展開が魅力で一気に読む事ができた。

     そして、患者の立場で書かれた文章が気づかせてくれる事は多い。

    ・患者さんは、医療者という未知の存在に対して、イケメンであったり、手技が巧いというものを求めており、ときに誇大妄想しているという事

    ・患者さんは主治医の事を信頼しており(信頼しないと入院生活を送れないという言い方が正しいのかもしれない)、主治医が「患者さんの困っている事」を知ろうとしない(または、日常の経験慣れのために、想像する事ができない)ことで傷ついたり、諦めを与えたりする事。

    次の一節
    「医師は、患者のデイリーライフにおける「難」を、病院内の世界だけで判断している傾向があると感じ始めていた。」

    ほとんどの医師は、研修病院で急性期を中心とした総合的なスキルを学び、専門に進む。これが、医師として成長していくシステムのデフォルトである。慢性医療に携わることや、在宅医療に進むことは、デフォルトの医療の中にはほぼ存在しない。急性期病院で忙しく働く中で、「医師意見書」がいきなりやってくる。それが、患者のどのような援助になるのか、どう書けば患者さんにとって利益になるのか、多くの医師はわからないまま〆切までに書く事を求められてしまう。

     「先生たちの脳内の「シャバ暮らし」のイメージは、せいぜい高度経済成長期、はたまたバブル時代くらいで止まっているということだ。・・・たいてい、献身的に支える妻、優秀な子供たち、ホームドラマにそのまま出てきそうな「ご家庭」持ちである。勤務医は激務ゆえ、時給換算するとぜんぜん高給取りではないのだが、社会的ステータスや価値観はやっぱりブルジョワっぽい。昭和の「三丁目の夕日」のような、ノスタルジーの幻想につかりまくっているような気がする」

    中略

    「聖なるパパ」たちは、誇り高く、頑固で、ちょう頑張っちゃう人たちである。ひとは誰しも、自分が「主人公」だ。先生たちにとってわたしは、超ガンバって制作した「悲劇的で美しい作品」なのかもしれない。だから、障害や福祉について、それがわたしにとって生死を分ける問題であるにもかかわらず、軽視し敬遠する。

    ずばっと直球の指摘。筆者は、文章の中で何度も主治医に対する感謝を述べているし、医師のキャラクターもおそらく好意的にデフォルメされて描いている。ほぼ全編に渡って、重い病気の暗い闘病を感じさせない、テンション高く突っ走ったタッチで描かれているのだが、随所に今の医療・福祉制度や病院の構造的な問題に対する怒りが垣間見える。それも直球。

    「困ってるひと」の感想からだんだん外れてきたが、医者の話。医者でも、政治家でも、(教師でも?)そうなのだが、早くから「先生」と呼ばれる職業は、社会常識が育ちにくいんじゃないだろうか? 病院でも、指示系統はすべて「医師→看護師」だし、そこに経験は関係ない。医師が自分の仕事を自分で規定する事なく「マニュアル」ができているために。特に在宅・ソーシャルワーク的な「多職種が関わる事が要求され、地道に時間をかけて進めなければ行けない事」に弱い。そもそも、大学の医学部って単科の事も多いし、総合大学でも部活は「医学部」だけ別だったり... 続きを読む

  • 内容はガツンとくる衝撃。
    でも深刻になりすぎずに読めるのは、そういうのを通り越したところにいるような著者の語り口のおかげだと思う。
    生きるエネルギーに溢れてる。

  • 「独立国家のつくりかた」と「ニートの歩き方」に並んで、現代の日本社会の矛盾を鋭く突いた本。
    私たちの時代は自分でやるしかない!

    結局最後の最後に頼れるのは、セーフティネットだという切実な現実を忘れてはいけませんね。友達・家族・ひとの絆は脆いもの…。生保の不正支給が問題になったりしていますが、それでも困っている人が必要な助けを得られるような社会にしていかないと…。
    ルーマニアの独裁政権時代、セーフティネットがまったく機能していない社会で堕胎(違法)を試みる女性の映画を観たけど、ひとの絆しか頼るものが無い社会は、とっても不条理で、とてつもなく面倒なんだって思った。当たり前のように享受している社会の恩恵を忘れてはいけませんね。

  • うーん、とても大変な難病でいらっしゃるのはわかるし、とても大変な状況なのもよくわかります。
    が、まだ若いんだね、著者は。
    人への感謝の気持ちがあまり伝わってこなくて残念。
    本当は感じているんだと思うんだけど。

  • 大学院修士に在学中、
    珍しい免疫系疾患にかかった女子学生の
    難病ライフエッセイ。

    最初は良かった最初は。何でしょう。
    後半から何というか感謝とかがあまり見られなくなり、
    周りに頼るという行動が当たり前という感覚は危険という
    自己分析が綴られているものの、
    それに対して一個人である病院の先生・友人・家族に対して
    まあ反省しろよとは言いませんが感謝の言葉が
    あまりに少ないのではないか…。

    だって頼らないと生きていけない!その事実は分かる!
    だって難病なのだもの。

    だからこそ継続的支援を求めるべきは行政なんだと
    筆者は書かれているのだから
    行政に対して行動を起こすのは頼もしく感じる。
    しかし結局、その他の難病患者の声を代表して、という行間からも
    その他の難病患者を抱えている病院の先生に対して、
    さらに自分に好意を持っている難病男子に対して(両想いらしいとは言え)
    自分を特別扱いして欲しいという無意識の感情が見られ
    後半は正直「まあ若いしね」という気持ちになったのでした。

    ただあとがきを読むと、その辺筆者も気づいたようで
    わりと大人な感謝の言葉で締めくくられていました。

    読者としてはこの本に
    難病で大変だけどまあ普通にゆるく生きられる、という
    若い女性の等身大の声を読みたかっただけに
    ちょっと厳し目にレビュってみました。

  • 昨年読んだ本なのに、本棚に登録し忘れていた。
    これだけの濃い内容の本を、どうして忘れていたのか。
    まぁ、今からでも思い出しながら、また時々ぱらぱらとめくってみながら、
    感想をしるしておこう。

    小説だのノンフィクションだの闘病記録だの、どう言っても言い足りない
    壮絶な著者の病の記録である。
    読んでいる側も、じゅうぶんに痛いし、辛い。
    しかも著者は、まだうら若い女性で独身。
    ひとりでこの難病と向かい合っていたことを思うと、胸がふさがれるようだ。
    ネット連載時からツイッター上で絶賛の嵐だったというが、それは著者が
    恨みつらみを手放して、病を客観的にとらえる公平なまなざしを持っているからでもある。
    くわえて、明るいポップな文章でさくさくとページを進めてくれる。
    自虐的なまでのサービス精神は、まるで難病をネタにしているお笑い芸人の
    ようでもあり、ユーモアとは知性なのだと思い知らされる。
    読む前はこのタイトルの意味するところが分からないが、読み終える頃には分かってくる。
    彼女はまさしく「困っている」のだ。
    難病患者を追い詰める国のしくみそのものと、彼女は闘おうとしている。
    困ってはいるが、絶望はしていないという著者を、私は心から尊敬する。
    私も難病を抱えているが、とてもじゃないがこの本の前ではそんなことは言えなくなった。
    そして、月並みではあるけれど「頑張って」としか言葉が出ない。

  • 読んだ後、自分もがんばらなきゃと思いつつ、ベッドから出られない寒い朝の日。
    健康な僕が普段生活しているこの社会は、自らの生存について本当に「困っている」状況を実感できない。
    でも、この日本でも難病や介護や貧困やいろんなことで「困っているひと」が沢山いるはず。
    今の僕に何ができるだろうか。
    もし自分がこの陥穽に落ちたらどうなるだろうか。

  • 福祉、医療の関係者には特にお勧めの一冊です。
    難病の当事者の女性によるノンフィクション。

    治療と検査と病の苦しさ、医療と福祉のギャップ、支援者の言葉に傷ついたこと、何のために生きるのか。。

    重いテーマを、これだけ読みやすい形で表現されていることに驚きました。

    きっと、執筆そのものも大変な痛みを伴ってなされたものだと思いますが、それを感じさせないユーモアあふれる文体で、心に深く伝わってくるものがありました。

    この本を読んで、支援者として何ができるのか、改めて考え直していきたいと思いました。

  • twitterで紹介され話題の一冊です。25歳の女子大学院生が突然の難病。苦しい検査等々がユーモラスに描かれた闘病記。難病で苦しまれてる方は、沢山おられますが、そんな方達にもエールとなる そんな一冊です。まだまだ、続きが読みたくなる本でした。

  • 壮絶な体験をユーモアたっぷりの文章で書かれていて、想像に絶する体験をユーモアで跳ね返している筆者の文章力と強さに勇気づけられる。
    ただ、なんだかもやもや感じていた違和感。
    パパ先生と本人の考え方の相違のようなもの。
    ICFの視点で考えると
    パパ先生は医学モデルでの視点がかなり強く
    本人は社会モデルで考えている 
    うまいこと統合できるのが理想的だけれども。
    けれどもここに書かれているように、現実の制度の問題は本当に多岐に渡っているのんだろうなと実感。
    でも「生きる気力」みたいなものはそれが不純であろうがなんであろうが絶対的に必要で、それが全ての原動力になりえるんだろうな。大野さんの「あきらめない」姿勢に勇気をもらえる1冊。

  • 社会の制度がいかに不条理かをライトに読み込める優良書籍。ちきゅうじんなら読むべし。

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ある日、原因不明の難病を発症した、大学院生女子の、冒険、恋、闘い-。知性とユーモアがほとばしる、命がけエッセイ。

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