困ってるひと

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124765

感想・レビュー・書評

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  • 満足度っていうか、一気読み度ね。

    地味な共通点が多くてダメージ倍率ドン:
    ムーミン谷の出身だとか(私はせいぜいハイジの村くらいだが)
    モモを読む浮世離れた子どもだったとか
    パパママがムーミンだとか
    過剰な感情表現についフランス語がでちゃうとか
    骨髄穿刺とか

    こっちの方が100倍頭いいけどね。さすがゼロ年代。

    あと、何だろう、語り口が新井素子を思い出させてなんだか懐かしい。

    震災からこっち、本を読む集中力がなくなっていたのだがガツンと活を入れられたかも。

  • ありきたりな闘病生活物語じゃない。現状においてなすがまま精神なんぞ振りはらい、前へ前へと人生を切り開く強さを持った難民女子物語。今の現状をしかたがないで諦めている人、読めば人生観が変わる!頑張れ、大野更紗さん!

  •  大野 更紗
      ポプラ社 (2011/6/16)


    今書店ですごい人気とか
    なるほどと思う
    この状況では誰もが絶望の淵に立つだろう
    でも著者はそれを乗り越え社会に立ち向かう
    ユーモアたっぷりの文章、壮絶な病状
    自分をみつめる距離感に脱帽する
    「社会福祉」ってなんだろう
    病状とか想像するだけで・・・
    毎日を大切にしなければって思う


    ≪ 絶望の 淵から空を 仰ぎ見る ≫  

  • 病を背負ったひとは生きていくためには病だけではなく,制度のスキマから脱出するために社会とも格闘しなければならないわけで,そのあたりを医師として実感していないと言われたら返す言葉もないように思う。

  • ビルマ難民の研究をしていた大学院生が、非常にレアな難病にかかり、
    瞬く間に変容していく生活と経験を書き綴った、病いエッセイ。

    難病の経験は苦痛に満ちたものだろうと思うのだけれど、それをユーモラスに描いていることが印象的。
    治療にまつわる苦痛、友人との人間関係の不和、行き場のなさ…これらを誠実に書きつつも、同時に、少し笑えるような、胸がときめくような恋愛の話も言及されていたりする。

    読み終えて思ったのは、この物語の主役は「病い」ではなく、やっぱり「人」(とライフ)にあるんだなぁと。
    人間は病いを得ても、病いだけと関係を作っているわけではない。
    忘れがちだけど、とても大切なことに触れている良書です。
    大変読みやすく、それでいて心に残ります。

  • 国内でもほとんど発症例のない難病を患ってしまった女子大学院生によるノンフィクション作品。

    著者は学部時代から、ビルマの難民支援の活動を精力的に行っていたのだが、ある時から体の不調を感じるようになり、複数の病院を盥回しにされた後に、難病であることが判明。病気になるまで・検査・入院・などについて書いているが、単なる闘病記というよりも、病気と共に生きる人間の「生活の記録」。

    話題になっているだけあって、文章は極めて読みやすい。時に過剰なまでのwユーモアが盛り込まれ、同時に知的なウィットにも富んでいる。「難病女子」としての生活を通して、この社会に潜んでいる構造的な問題(たとえば難病患者や障害者が生活する上での制度的不備など)についても考えている。

    さらっと読むこともできるし、深く掘り下げて考えることもできる、という意味で深い本だと思う。もちろん、大人が読んでもいいんだけど、高校生や大学入学間もない人とかに読んでもらいたいような気がする。

    ただ懸念があるとすれば、この本が「難病にくじけずに闘ってる人の話」という形で「お説教の道具」にされる可能性。すなわち、「こんなに大変な人がいるんだから、自分(お前)は我慢しなきゃ」といった、感情抑圧のために用いられたらやだなぁと。つまり「犠牲の累進性」の話。

    たとえば、僕が体がだるくて「毎日つらいっす」って誰かに言っても、「そんなの、もっと苦労してる人に比べたら大したことないでしょ」って言われるような可能性もありうるわけで、別に大野さんの本がそうしたことを助長するように書かれてるとは全然思わないけど、そういう風に捉える人はいそう。

  • 図書館で借りて読んだことを少しばかり後悔した1冊。

    この本は買うべきだと思う。

    それがわたしにできる、大野さんへの応援だと思った。

    彼女に比べたら、今わずかばかり抱えているわたしの痛みや辛さなど、取るに足らないものだけど、それでも本人には切実で。

    でも彼女の手記を読みながら、痛みや辛さの大小の話ではなく、さらにそこから大きな希望と、なにより「生きたい力」を感じ取り、いい歳しながら彼女の体験に励まされ、勇気をもらっている次第です。

    「彼」さんとのやりとりが、わたしにはとっても印象的で、人間、結局のところ「人」で生かされる・・・もちろん、大野さんが動いた結果が、諸名医との出会いでしょうし、お友達との出会い、それらを引き寄せたと思いますが・・・なんでもいい、「生きたい」と願ったとき、人は生きていけるものだと思う。

    「生きたい」理由を、わたしも早く見つけたい。

    もうひとつ。

    わたしは常に思っていることですが、大野さんがお付き合いしていくことになったこのたびの難病。

    これほどまで過酷な病状を受けることになった大野さんには、この病気と闘うこと、そして何も知らない私たちに伝えていくこと。
    それは誰にでもできることではないし、大野さんだからできる使命なのだと思わずにはいられません。
    その人に必要な「難」、その人だから乗り越えられる「難」、乗り越えてもらいたい「難」
    乗り越えられない人には、それさえ降りかかってこないでしょうから。

    文章にして読むだけでも辛い検査や治療の描写です。
    体験しているご本人が一番辛いのは言うまでもないでしょう。
    それをあれだけコミカルに、若さ溢れる大野さんの言葉で、テンポよく。
    それが逆に大野さんの辛さを想像するに余りあります。
    渾身の文章だと思います。

    わたしにとって、2011年ココロのベスト。
    出会うべくして出会った1冊。

    今講演活動等、とってもお忙しくされているようなので、
    本当にお身体、くれぐれも大切にしてほしい今日この頃。

  • 異色の闘病日記。
    上智大学のフランス語学科に在籍中から、ビルマの難民問題に関心を寄せ、フィールドワークもこなしながら大学院に入り研究を続けていた女子に突如襲い掛かった難病…
    いくつもの病院を漂流し、日本の医者の現実に失望し、申請書類の多さと手続きの煩雑さに役所に悪態をつき、将来への不安と迫り来る死の恐怖におびえながら、皮膚や肉が溶け出し激しい痛みを伴う免疫系の難病に耐える日々。

    それなのに、それなのに、好きな人とデートするために病院脱出を決意する!
    女子ってスゴイ!!
    生死の境をさまよいながらも、どこかユーモアを感じるのはきっと作者の「生」に対する考え方の表れだと思います。生きることに対する「性」の強さを感じました。

  • ・稀有な難病を患った大学院生女子の壮絶闘病生活エッセー
    ・医療、福祉などの社会保障についての入門書
    ・ベタな純愛ストーリー

    これらを総括したノンフィクション本。

    明日は我が身の事態が、読んでるその場は他人事として受け取れないくらいにリアル。背筋が寒くなるほど。しかし、物凄く壮絶な闘病生活の様子が、彼女の明るさなのか若い人ならではのコミカルな語り口調で描かれているからなのか、つい、うっかり笑ってしまう。
    いつだって、自分や家族が直面するかもしれない事態。
    たいていの日本人は、その対処法を心得ていない。いざ向き合ってみたところで難解で合理的でないシステム。

    今、不自由なく健康で生きていられることが、心底ありがたいと思えた。

    そして、
    人を動かす生きる動機付けは

    あいのちからの為せる業なのかもなあ。





    とにかく面白いから、読んでみてもらいたい一冊です!

  • 難病にかかってしまった25歳女子の闘病記。高野秀行さんがプロデュースしてるだけあって、構成の仕方とか、笑いの盛り込み方とかが高野さんテイスト。高野さん本が好きな人は好みだろうし、高野さんの本よりはもう少し幅広い人にオススメできるかもしれない。
    かなりのユーモアを交えて書いてあって、サラサラと読めてしまうけれども、内容はかなり壮絶。こうして笑いを交えて書かないと、相当厳しい物語にしかならないだろう。ここまで昇華させてる著者に喝采。
    この難病に掛かるのが彼女ではなく自分だった可能性もゼロでは全然ないし、うちの息子に降りかかってくる可能性だってあるわけで、と思うとゾッとする。

    少しだけ、ネタバレ気味に残念だったところは、最後、在宅治療に切り替えて退院するときに、クマ先生が「社会制度に頼ってはいけない」と言っているのを、真っ向から「先生達は古い」と言う事を聞いていない(ようにみえる)のだけれど、先生たちは確かに患者自身ではないけれども、多くの患者を見てきているハズで。なぜ彼らがそこまで「制度に頼るな」というのか、その理由を少し聞いて欲しかったなぁと思う。

    この本を買ったことで、微々たるモノでも彼女の生きる糧の足しになれば。一度読む価値がある本だと思います。

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