- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591124765
感想・レビュー・書評
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闘病記だけど、ただの闘病記ではない。
ただものではない病人の体験記。
ホントにもの凄く大変そうだけど…
励まされます。
福島県ののんびりした所で育った女の子が、フランスに憧れて上智大学へ。
それがアジア難民に興味を持つことになり、ミャンマーの人のために奔走する生活に。タイやビルマにも何度も足を運ぶ。
大学院に入ったばかりの2008年の夏、突然、身体に異変が!
自分が難民ならぬ~苦難にあう人になってしまったのだ。
病院へ行くことも大変な体調。
検査すること自体、また大変という。
病名がわかるまでに、病院を点々とする1年。
(…こんなものすごい症状ではないけれど、病院へ行くことも出来ない体調というのは経験あります。
待たされて具合悪くなったり、結局治す手だてもはっきりしなかったりね。やはり自己免疫疾患で難病の端くれだったうちの母にも付き添いました。)
著者の病名は、筋膜炎脂肪織炎症候群。プラス皮膚筋炎。
難病専門の病院に入院して9ヶ月、本格的な治療がまた大変。
麻酔をかけると組織が変わってしまうので、麻酔なしの検査…げげっ。
最初は、他の入院患者の様子にもショックを受けた著者。
難病を抱えて生きてきた先輩を尊敬するようになるのでした。
活気のある文章でテンポ良く描かれるので、ただ暗いということはありませんよ。
故郷はムーミン谷のような山間ののどかな田舎で、原発の避難区域ギリギリという。
一番近いコンビニに行くにも15分。
ムーミンパパママのようだという両親に、ほっこり。
でも故郷から病院へ行ったり、一時退院したりするのは何と大変な事か。
お医者さんは素晴らしい人たちなのだが、やや浮世離れもしているので、そういう具体的な大変さは理解の他という面もあった。
難病の男性と思いがけなく、ほのかな恋が芽生える。
重病人同士では諦めなければならない、思い出を一つ作るだけにしようと、ただ庭で桜の花を見上げたひととき。
ところが、恋のパワー恐るべし。
病気とは、長く付き合わなければならないと覚悟する。
しかるべく援助を受けるために、ややこしい書類の山と格闘。
自立をめざして、ずっとほったらかしだった遠い小平の自分のアパートから、病院に近い所に部屋を探す。
引っ越し手続きを出来るだけ速やかに終わらせるための、決死の準備。
そして、友達を総動員しての引っ越しの日が来る。
彼の人は実はDIYが得意で、いろいろ手配も手伝ってくれた。
やったね!
それでもまだまだ大変そうだけど…
どうしていらっしゃるでしょうか。
少しは楽でしょうか。
著者は1984生まれ。
2010年にこの本の執筆を始める。
ウェブマガジン「ポプラビーチ」に連載されていたそう。
こんなに大変でも大丈夫だよ!と伝えたいそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昨年読んだ本なのに、本棚に登録し忘れていた。
これだけの濃い内容の本を、どうして忘れていたのか。
まぁ、今からでも思い出しながら、また時々ぱらぱらとめくってみながら、
感想をしるしておこう。
小説だのノンフィクションだの闘病記録だの、どう言っても言い足りない
壮絶な著者の病の記録である。
読んでいる側も、じゅうぶんに痛いし、辛い。
しかも著者は、まだうら若い女性で独身。
ひとりでこの難病と向かい合っていたことを思うと、胸がふさがれるようだ。
ネット連載時からツイッター上で絶賛の嵐だったというが、それは著者が
恨みつらみを手放して、病を客観的にとらえる公平なまなざしを持っているからでもある。
くわえて、明るいポップな文章でさくさくとページを進めてくれる。
自虐的なまでのサービス精神は、まるで難病をネタにしているお笑い芸人の
ようでもあり、ユーモアとは知性なのだと思い知らされる。
読む前はこのタイトルの意味するところが分からないが、読み終える頃には分かってくる。
彼女はまさしく「困っている」のだ。
難病患者を追い詰める国のしくみそのものと、彼女は闘おうとしている。
困ってはいるが、絶望はしていないという著者を、私は心から尊敬する。
私も難病を抱えているが、とてもじゃないがこの本の前ではそんなことは言えなくなった。
そして、月並みではあるけれど「頑張って」としか言葉が出ない。 -
医療職の人間です。この本を読んで、入院生活って僕らにしたら日常なんだけれど、患者さんにとっては非日常だということが改めてよく分かりました。
以来、若手のスタッフに事あるごとに紹介しています。笑いあり、涙ありの素敵な本です。オススメ! -
難病の闘病記なのに、暗くならない。
好きな人とのデートが、一人暮らしをするパワーになったり
両親の生活を思ったり、将来に不安を感じていたり、人間関係に、思慮したり
それでも前を向いて進んでいく
当たり前だけど、難病と戦いながら
とっても人間らしくて。
なんて強いんだろうって
人って心持ちでこんなに行動が出来るものなんだって。
恋って凄いなぁ~ってのが
この本読んで一番の感想だった。
すごいね、この本!-
2013/05/17
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いますね~♪
後ろ向こうとすると、前を向かせてくれる人
力をくれて
とっても面倒見のよい人が♪いますね~♪
後ろ向こうとすると、前を向かせてくれる人
力をくれて
とっても面倒見のよい人が♪2013/05/21
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こういう言い方が正しいのか分からないけれど、すごく面白かった。
そして興味深かった。
そして自分のことを考えさせられた本だった。
大学院でビルマのことを研究していたら、突如難病に侵されてしまった大学院生。
その闘病記…ではなく身の回りのエッセイ。
すごく文章を書くのが上手なのでサクサク読める。
そしてサクサク読めるし軽いタッチで書かれているが、彼女の置かれている状況はとても厳しい。
でも、めげてない。いや、めげてるんだけどめげないように頑張っていると書くべきだろうか。
とにかく読んでいて、難病とかにありがちな暗い気分にならない。
タッチ的には五体不満足に似ているのかもしれない。
それでも、しっかりと難病と共に生きている人にとって何が大変なのかきちんと書かれている。
医者は聖人君子ではなく人間で、日本の制度は病人にとって辛いものである。
いや、きっとどこの国の制度も難病を抱える人にとっては大変だろう。
いろいろ考えさせられた本。
いろんな人に読んでほしいと思う。 -
つらくしんどいことを、うらみつらみをこめて書くのは簡単で。それを一歩ひいた視点で「面白く」書いてることがすごい。
もちろん、渦中ではしんどさ1000%だったと思う。友人に頼り過ぎて決別してしまったりなどのエピソードもあるけれど、それはあって当然だし。
彼女のすごいところは、いつまでも自分の境遇に酔ってたゆたっていないところ。状況を変えようとする行動力。
デートしたい!っていう自分の欲望をかなえてあげる素直さ。
刺激を受けた。
そんな彼女だからこそ、すてきな「あの人」との出会いも引き寄せたんだろう。出会いのエピソードや、引っ越しで発揮される彼の得意分野にシアワセな気持ちになった。そこだけ二度読みしちゃったし。
世界を広げてくれる一冊です。 -
201303/
その国の「本質」というのは、弱者の姿にあらわれる。難病患者や病人にかぎった話ではない。あらゆる、弱い立場の姿に、あらわれる。ビルマ女子は、タイやビルマで、路上や難民キャンプで、苦しむ人たちの姿を見てきた。貧困の姿もまざまざと見てきた。しかしそれは、いくら旅を続けようが「他人事」でしかなかったのかもしれない。
「これが、苦しむ、ってことか」
わたしははじめて日本の、自らの「本質」と向き合った。/ -
この方の疾患は壮絶で、はっきり言ってとてもヘヴィな内容(の筈)。ですが、活字離れが著しいアラフォー社会福祉士の厚い脂肪で覆い尽くされた『読書欲』を見事に引き出してくれる素晴らしい文章力のお陰で、夢中になって読みました。難病を抱え生きるだけでも大変なのに、一念発起して自力生活をされるくだりは凄まじさを感じました。新人社会福祉士としては、MSW(医療ソーシャルワーカー~同業の方)に相談し結局「お気の毒に…」と言われるくだりはかなりショックでした。これからこの世界で生きていくうえでよく考えなければならないと思いました。星でいうなら☆×5です!
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内容はガツンとくる衝撃。
でも深刻になりすぎずに読めるのは、そういうのを通り越したところにいるような著者の語り口のおかげだと思う。
生きるエネルギーに溢れてる。 -
読んだ後、自分もがんばらなきゃと思いつつ、ベッドから出られない寒い朝の日。
健康な僕が普段生活しているこの社会は、自らの生存について本当に「困っている」状況を実感できない。
でも、この日本でも難病や介護や貧困やいろんなことで「困っているひと」が沢山いるはず。
今の僕に何ができるだろうか。
もし自分がこの陥穽に落ちたらどうなるだろうか。