- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591125182
感想・レビュー・書評
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終戦記念日前後に第2次世界大戦について本を読むことは、民族の過去の過ちを知り、過ちを繰り返さないために必要な行為ではないかと思う。
この本は、ポプラ社から出版されている。ポプラ社は昔、子供向けの本でお世話になったが最近は読んだことがなかった。この本の後に読んだ「困っている人」もポプラ社だったが・・
この本の趣旨としては、若い世代にも読んでほしいという意図があり、現代国語の教科書風の編集になっている。人物や事件の注も多く理解しやすい。
さて、内容についてであるが、NHKスペシャルの「日本人は何故戦争に向かったのか」という番組とはまた別の切り口で戦争をとらえていて非常に興味深い。当時の指導者のリーダーシップがしかっりしていれば、望まなかった戦争は回避できたのか、どうか・・・NHKは回避できたというスタンスで、この本を読むと回避できなかったように思える。リーダーシップよりも国際情勢を分析する能力がより根本的な問題だったのかもしれない。
どちらの本を読んでも、マスコミの責任は非常に重い。このことは深く記憶に焼き付けておくべきだ。
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【レビュー】
装丁は素晴らしい。可読性が極めて高い。内容も5分の1ページくらいで興味深い情報が列挙されており、一読の価値あり。
【意見】
著者は、大東亜戦争は侵略戦争ではなかったと主張しているが、その根拠が薄弱。侵略戦争の定義をしっかり提示してから論を進めてほしかった。
また、興味深い情報といってもトリビア的なもので、「だれもが書かなかった」ということはできないと思う。キャッチ―さを狙ったか。しかし総じて信頼に値する立論だった。
【特記事項】
・陸奥宗光は西南戦争で反政府の側に立ち逮捕されていたが、伊藤の見る目が高かったゆえ、外相として起用された。
・東学党の乱→日清戦争→三国干渉→義和団事件→北清事変→日露戦争
・盧溝橋は東方見聞録でも紹介されているくらい美しく、欧米ではマルコ・ポーロ橋と呼ばれている。
・シベリア鉄道によるロシアの軍隊輸送の貨車は木造で、極東に着いたらそのまま貨車を壊して燃料にし、車輪だけを分解してまとめて送り返す。だから、シベリア鉄道は単線だったが、貨車往復に時間をかける必要がなかった。
・日露戦争で、日本側は途中で弾丸がなくなり、石やがれきを投げて戦った部隊も少なくなかった。
・イギリスは第一次世界大戦のとき、日英同盟ゆえに日本の参加を要請したが、それは極東海域限定で、青島や山東半島までではなかった。
・秦郁彦『昭和史の謎を追う』を注目。
・敗戦まで日本軍人には選挙権はなかった。
・五・一五事件は、当時革命を起こすような問題はなく、首謀者たちは革命に酔っていた。
・石原莞爾は対ソ戦備えのために、日中戦争には不拡大方針。
・ヒトラーは日中戦争の仲介に立ったことがある。
・日中戦争では、総理自身何のために戦っているのか分からなった。
・東条は、天皇絶対で、戦争反対のときもあった。