ノーマジーン

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 247
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126141

感想・レビュー・書評

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  • 終末論が囁かれる近未来が舞台。革製品の修理をするシズカの元に、猿のノーマジーンがやってきて、二人の奇妙な共同生活が始まる。

    ノーマジーンの正体を謎にしつつ二人の交流が描かれるが、どうももやもやが残る。
    問いを読者に投げているのかもしれないけれど、何かが欠けて物語に入り込めなかった。

  • ミステリーというかファンタジー。最初は独特の世界観に入り込めなかったけど、読んでるうちに段々馴染んできた。少しずつ、静の境遇やノーマジーンの謎が解けていき、ノーマジーンが無邪気に遊んでいたあのリンゴの樹があんなことに利用されてるなんて…。内容は装丁のファンタジックな感じとはちょっと違うかも。2012/187

  • すこし未来の、荒廃した世界でのお話。

    車椅子で生活をする鞄職人のシズカ。天涯孤独で、その生い立ちゆえに誰と交流することもなく、ネットなどの回線を切り、一人静かに暮らしている。
    身の回りの手助けをするロボットを注文した筈が、彼女のもとにやってきたのは しゃべる赤毛の猿・ノーマジーン。

    決して豊かではないシズカの暮らし。一日一杯のミルクを分け合い、リンゴの収穫を待ちわびる。最後の小麦粉でパンを焼き、ジャムを作る。

    孤独だった毎日が、小さな幸せに変わった時、偶然にも
    ノーマジーンの秘密が明かされる。

    滅び行く世界。孤独な毎日。世界からはみだした 一人と1匹の 悲しく優しい物語。

  • 終末論が囁かれる世界で生きる車椅子のシズカと赤毛のサル、ノーマジーン。ふたりのドタバタの生活と過去と謎があたたかい空気に包まれて描かれています。
    前半の分量の割には後半(ネタバレ以降)があっさりしすぎていて、唐突に終わってしまった印象。ちょっと物足りない。
    全体的に静かな物悲しい雰囲気ではあるけれど、シズカとノーマジーンのやりとり(というかノーマジーンに対するいじめ?)は面白い。寓話的ではあるんだけど、テーマは間違いなく社会派といわれるもの。あまり細かいところまで世界観が描かれていないためふわふわしているけれど、この作品に限っては逆にそれが良いのかも。

    何よりノーマジーンがかわいすぎる(笑)安心して読める優しい物語です。

  • 残酷で、希望もない近未来。
    それでも、人は生きていかないとならないの?

  • 車椅子生活の鞄職人:シズカと言葉を話す赤いサル:ノーマジーンの物語。

    途中まではただの寓話だったけれど、やはり初野晴。
    切なく苦い展開を描いてくる。

    ノーマジーンの正体とは、そして二人の関係とは。
    孤独な1人と1匹の共同生活は彼女らに何をもたらしたのか。

  • 初野晴の本ってよく車椅子に乗った登場人物が出てくるんだけど、周りに歩行困難な人がいるのかな? ――というのは置いておく。

    あらすじ:
    世界滅亡を声高に宣言する新興宗教。退廃した町。鞄の修理職人シズカは足が悪くて車椅子は欠かせない。介護ロボットだって届かない。いるのは数少ない食料を勝手に食べてしまう役立たず、ノーマジーン――人間の言葉を理解し会話できる赤毛のサルだ。しかも頼んでもないのに押しかけて居座ってしまった。
    ポツンとたった一つ佇む家での二人暮らしは、ノーマジーンのポカとシズカの怒声に満ちていて、鞄の修理の仕事もあるしなんだか忙しい。食料だって早く減ってしまうけれど、シズカはノーマジーンを追い出すことはしなかった。
    何故しゃべるサルがいるのか。そしてシズカが一人ぼっちの理由は。
    一つ一つが解かれていくとき、シズカとノーマジーンの関係に決定的な瞬間が訪れる。

    うわあ、SFか、と思ってちょっと引いてしまったけれど、童話的というかメルヘンチックでほんわかした雰囲気と、初野晴のストーリーテリングの力量が、ふわふわした世界を浮遊させてくれた。
    初野晴っていえばミステリの人。でも、もう本当にミステリ臭さを感じさせない作品に仕上がってる。ミステリ嫌いの人が読んでも全然気にならないで最後までいけちゃうんじゃないかな? 初野晴のミステリが好きな人は、ちょっと肩透かしを喰らった気になるかもしれないけれど、初野晴らしさは十分ある。
    なんていうか、この人の「実は社会派」っていうのが、こういう雰囲気の話だとコントラストなのか、響く。こういう話に現実感がないだとか「あの人は結局なんだったの」「なにがあったの?」みたいなツッコミをいれるのは野暮ですよねそうですよね。わかってる。気になるけれど。
    シズカの突っ張り方って自分に跳ね返ってくるよなあ。悲しくない、寂しくない、一人で大丈夫って唱えてても、孤独を認めたくない、子供っぽくなんで私ばっかり、と泣き叫びたくないし、自分をこんな風にした世界に負けたくない。肩に力を入れて生きてきたシズカ。
    要領が悪いノーマジーンにイライラしながらも、ここまでご主人様になつく犬のように好かれれば、色々諦めて許してしまう。一緒に蝶の羽化を待ち遠しにして、リンゴを育てて、なんてしていれば、絆が生まれるのは当たり前だ。そこに落とされた爆弾は衝撃的で、シズカが受けただろうショックの一部が感じ取れる。
    常に影が付きまとっていた作品だけれど、その中でも二人(一人と一匹)の絆が強まった時だからこそ、効果は絶大だった。
    なんとなくこうなるのかな、と予想するようなサクセスストーリーとは違う、読んでからわかる王道ともいえるような展開だ。

  • 無邪気さにいらっとする。真相を語らせるのが唐突すぎ。

  • 3.11の後に書かれたのかと思った。
    前だったとは。
    優しい童話。

  • 今回、ポプラ社!
    児童書屋さんに初野晴!しかし、内容はやんわり重め
    爽やかハルチカシリーズよりも、重めの初野晴の方が私は好き
    でも、元が連載でなければ、もっとじっくり良かったのかなぁと思う

    ノーマジーン
    『お熱いのがお好き』が観たくなった

    人は、誰か一緒にいることで弱くもなり強くもなる
    望んでいた変化ではなくても、変わることはいいことだと思う

著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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