てのひらの父

  • 250人登録
  • 3.89評価
    • (22)
    • (67)
    • (31)
    • (2)
    • (0)
  • 65レビュー
著者 : 大沼紀子
  • ポプラ社 (2011年11月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126561

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

てのひらの父の感想・レビュー・書評

  • 『真夜中のパン屋さん』のドラマ化も決まって、今や大人気作家の大沼紀子さん。
    「まよぱん」ファンで、しかもくいしんぼうの私ですが
    イケメンが出てこなくても、おいしそうなクロワッサンが出てこなくても
    こっちのほうがだんぜん好き!と言いたくなってしまった、この『てのひらの父』。

    イケメンのイの字すら逃げ出すような強面に堂々たる体躯。
    なぜか空色の昔ながらの乳母車(注・ベビーカーではありません)に柴犬を乗せて
    柊子、撫子、涼子の、女性三人が住む下宿、タマヨハウスに
    臨時の管理人としてやってくる、トモミさん(男性)が素敵すぎて♪

    「乳母車を引いた、目つきの悪い不審者に注意!」と回覧板を回されても
    自分のこととは露ほども思わず、下宿人に防犯ベルを用意せねば!と意気込み、
    布巾の消毒に至るまで家事には一切手を抜かない。
    就職の面接に落ち続ける柊子のために、無骨な手でふかふかのミトンを編み
    結婚前に撫子を妊娠させた彼氏は、容赦なく関節技で締め上げ
    意地を張って実家からの電話に出ない涼子を気遣って
    会ったこともない彼女の母親と、こっそり緻密な連絡を取り合う、
    下宿人には超過保護なトモミさん。

    幼い頃に両親が離婚したため、父と過ごした記憶がなく
    たったひとつ父の思い出といえば、火葬後に触れた骨壺のあたたかさだけ、
    という柊子をはじめ、父親へのわだかまりを抱えた女性3人が
    そんなトモミさんの不器用な優しさに包まれるうち
    どんどんやわらかく、素直になっていくのが、どうにもうらやましくて♪

    タマヨハウスの女性たちを一方的に癒して、風のように去っていったトモミさんが
    柊子の手の中に残ったボイスレコーダーの中で
    静かに終わる人生でいいと思っていたけれど、今は、君らの未来が見たい!
    とつぶやくとき、血は繋がっていても愛してくれなかった父の手よりも
    ずっとずっとあたたかい、電子部品でできた小さな機械を
    柊子と共に、この手の中に感じるのです。

    関東には珍しく、雪の降り積もった寒い日に読んだけれど
    やがてやってくる春を揺るぎなく信じさせてくれるような
    温もりあふれる物語でした。

  • 女性専用の下宿に臨時管理人ときてやって来たトモミさん。もう半端なく魅力的! 真面目てお節介焼きで、でも全く不快じゃない。お話の中には心がギュッと締め付けられるところもあるけど、トモミさんのお陰で最終的にはほんわか気分になれる。大当たりの1冊だった。

  • 世田谷区、松陰神社前駅から徒歩15分。
    女性専用の下宿「タマヨハウス」には、年ごろの三人の女が暮らしていた。
    弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、
    そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子。
    幸せでも不幸せでもない日常を過ごしていた彼女たちだが、
    春の訪れとともに現れた真面目だけが取り柄の臨時管理人の過干渉によって、
    少しずつ「足りない何か」が浮き彫りなっていく。

  • 表紙からは「児童文学」または「年配の女性の自伝的小説」と思ってしまったが、女性専用下宿にくらす女性3人に対し、生真面目で干渉してしまう男性初老管理人との連作小説。
    お人よしのヒロインと、不器用で昭和のオヤジ的な管理人を軸に物語は進み、下宿する女性3人のそれぞれの親子(特に父娘)を描いている。
    初めての作家さんだが、読んでで心地よい話。文章も好きだなあ。

  • 家族というピースの欠けた三人と一人が一緒に住むことで、それぞれの足りない部分を埋めていくための新しい一歩を踏み出す、その過程がほかほかと温かくて心に沁みた。
    生真面目で律儀でまっすぐに日々の生活を送る管理人のトモミさんに思わず「私も一緒に住まわせて!」と言ってしまいそうで。
    生きているとそりゃぁたくさんの嫌なことが起こってくるけれど、それでも毎日毎日を丁寧に生きていけばきっとステキな明日がやってくる、だからがんばれ、と背中をそっと押してくれる、そんな優しい小説。
    ただ、柊子ちゃんの抱える問題があまりにも多くて、ちょっとピントがぼやけてしまう気も。
    でも大沼さんの小説は読む人に「誰かによって与えられる温かさ」に満ちていて一人じゃないっていいなぁとそうつくづく思わされる。

  • (2016/10/3読了)
    大沼さんの本は「真夜中のパン屋さん」シリーズ以外は初めてだったんだと読み終えて気づいた。
    かなり前に数冊チェックしていたので、すでに読んだことがあると勘違いしていた。
    あらすじを読んで、本の装丁を見て、こんな話だとは思わなかった。押し付けのない温かさのある作品。想像以上に満足したが、このタイトルはどうかな?ちょっと違うように思う。
    語り部である柊子の話メインではあるけど、でこちゃんや涼子ちゃんも、トモミさんもみんなが主人公で誰も脇役ではない。
    アメリカに帰って行ったトモミさん同様、3人の彼女たちの将来を見てみたいと思った。。。続編はあるか?

    (内容)
    世田谷区、松陰神社前駅から徒歩15分。女性専用の下宿「タマヨハウス」には、年ごろの三人の女が暮らしていた。弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子。幸せでも不幸せでもない日常を過ごしていた彼女たちだが、春の訪れとともに現れた真面目だけが取り柄の臨時管理人の過干渉によって、少しずつそれぞれの「足りない何か」が浮き彫りになっていく。

    (目次)
    プロローグ


    初秋
    晩秋

    再春

  • 就職浪人中の柊子、デザイナーの撫子、弁護士を目指す涼子の3人が暮らす女性専用下宿タマヨハウスにやってきた臨時の管理人トモミさん。3人が彼と過ごした数ヶ月の出来事の物語。
    じんわりと暖かなお話。
    家族との確執のある3人には、父親の様なトモミさんの存在がとても大きくなり、彼のお陰もあって、それぞれが前を向き先に進んでいくようになります。
    トモミさんが本意ではなくとも残すこととなった『君らの未来が見たくなった』と言うメッセージに、鼻の奥がツンとなりました。
    しばらく余韻を楽しみたい、素敵な本に出逢えて良かったです。

  • 世田谷区、松陰神社前駅から徒歩15分。女性専用の下宿「タマヨハウス」には、年ごろの三人の女が暮らしていた。弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子。幸せでも不幸せでもない日常を過ごしていた彼女たちだが、春の訪れとともに現れた真面目だけが取り柄の臨時管理人の過干渉によって、少しずつそれぞれの「足りない何か」が浮き彫りになっていく。

  • 女ばかりの下宿・タマヨハウスに臨時の管理人としてやってきたトモミさん。生真面目でお節介な元企業戦士。いい味だしてます。

  • 家族とのすれ違いから、忘れられぬ傷を心に負い育ったヒロイン達と、意味深な老紳士。埋めていく~遠ざかる~消えていく…読み終えれば"書題名"に納得させられる温もりのストーリー♪。

  • 何か衝撃的なことが起こるわけではないけれど、読んでいて少しずつ温かくなるような話だった。

  • 朴訥なタマヨハウスの臨時管理人のトモミさんとそれぞれ家族の問題を抱える三人の下宿人。いろいろ波乱がありながらもトモミさんの純粋無垢な思いやりで優しく時間が過ぎていきます。

    皆がそっと支え合うことで、難しい問題解決の糸口も見つかる。前に進むのに必要なのは、自分の周りの心温かい人々のさりげない一押しなのかもしれないと感じました。

  • 女性ばかり3人いる下宿屋さんに、大家さんの代理でやってきたトモミさん。乳母車に犬を乗せて佇んでいた出会いはびっくりしたけれど、それぞれ父親との葛藤を持った3人にとって、ある意味理想の父を感じたのではないかと思った。作られるお料理が本当に美味しそうだった。

  • 女性だけの下宿屋でおこる様々な出来事。優しい話だな~トモミさんがいい感じだ!
    2014.4.10

  • 『真夜中のパン屋さん』シリーズで知られる大沼紀子さんは「こういった繊細な物語を紡ぐのが上手な作家さんである。女性ばかりが下宿するタマヨハウスに新しくやってきたのは男の管理人。就職活動中の女、キャリアウーマンの女、司法浪人生の女。三人の女と管理人の四季。2013/349

  • 一部、前後のつながりが読みとりにくいところがあったが、優しくてあたたかい、作りてのよさが堪能できた。
    嘘くささとか、出来すぎとか、感じさせないバランス加減はすごいと思う。

  • 元企業戦士の生真面目さでお節介焼きになっているトモミさんがいいv
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/11597079.html

  • 登場人物のひとりでこさんが、その年の経済状況によってクリスマスにプレゼントを貰えたり貰えなかったりすることをお父さんに、尋ねると「サンタさんは、お前にがっかりをプレゼントしたんだよ」と言われたと語るくだりが良かった。浮気ばかりしてロクデナシの父親だそうだが、なかなかどうしてー。なんだか、じんわりきます。

  • タマヨハウスは、タマヨさんが一人暮らしでは広すぎるからと、3
    人の女性に部屋を貸している、朝食夕食付きの女性専用住居。
    その管理人のタマヨさんが、アメリカにいる恋人の手術のために、急遽渡米。代わりにタマヨさんが管理人に選んだのが、トモミさん(男)。風貌はコワモテ。

    タマヨハウスの住人。
    永瀬柊子。34歳。務めていた会社で、横領の罪を着せられ会社を自主退社させられる。現在求職中だが、うまくいかない。

    久遠寺涼子。26歳。弁護士目指して勉強中。父も弁護士。兄も弁護士。
    でも、家族からは、弁護士になることを止められていて、家出中。

    北田撫子。36歳。レディースファッション会社のデザイナー。働き盛り。重要な仕事を任されて、日々忙しい。


    色々な家族の形があって、それぞれが悩みを抱えていて。
    家族といっても、お互いが完全に分かり合えるわけではない。

  • おせっかいなオバサンはよく居るが、おせっかいなおじさんが時には居てもいいと思える作品。実際自分の家族に居たら面倒なのかもしれないが、他人だからこそそう思える関係がいいのかもしれない。

  • 亡くなった人の事が、その人が生きていた時より濃く感じられる事がある・・・人の存在感とは不思議なものです。 主人公の現在をまさに進行形でせわしく描きながら、時折ふと「人生とは」「未来とは」「生き方とは」という様な漠然とした大きな問題を真面目に考えてしまったり、お伽噺の様なエピソードについワクワクしてしまったりしながら、楽しく読めました。

  • なんだか読んでる途中でホワホワさせられ、続きが気になってあっという間に読了しました。

  • 読み始めゎ暗いのかなと思ったけど
    そんな事もなく 早く読みたいと思えた。
    声をあげるべきだ。あげたその声で潰されてしまわないよう…
    うん。と思った。
    読んで良かった。 2013.3.5

  • タマヨハウスに暮らす3人の女性たちの前にすすんでゆく姿を季節を通して描いた物語。
    管理人タマヨさんの代理でやってきたトモミさんが、住人を守ることが仕事、と様々干渉してくる。時にはねのけながらも、やがて互いに大きな存在となる。
    仕事に迷い、恋愛に臆病になり、家族と向き合えなくなり。
    タマヨハウスに集まる女性は皆明るくも何かしら乗り越えるべきものがあった。
    これまではなんとなく避けてきたことが、トモミさんのおかげでしっかり戦わされることになり。
    それぞれのキャラが、最初の印象と違い読むうちにどんどん魅力的になる。
    思っていることを誰かに伝えることを、皆がするからその分近づける。だから全体としてどっしり安定感のある読み心地。
    思っていることをきちんと言葉にするって、大事なことなんだなあ、と改めて感じた。
    作者の作品では真夜中のパン屋さんが有名だけど、悩みがリアルなせいか、私はわりとこちらが好き。

  • ぽろぽろ泣いた。
    迷子なんだよな……
    ずっと……
    なんにも持ってないし。
    足りない。
    欠けてる。
    どこかで、そんな自分にあきらめてて。
    けど。ときどき、とてつもなく悲しくなって。
    不安で。
    ……なんか、同調しちゃった……よ。
    柊子と、誕生日がおんなじ。なんてことに、フシギな縁を感じたりしながら。
    ほろり。また涙。

    トモミさんみたいなひと、いてくれるといいな。
    なんて、贅沢なこと、思ったりもしちゃいます。けっこう、マジに。

全65件中 1 - 25件を表示

てのひらの父を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

てのひらの父の作品紹介

世田谷区、松陰神社前駅から徒歩15分。女性専用の下宿「タマヨハウス」には、年ごろの三人の女が暮らしていた。弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子。幸せでも不幸せでもない日常を過ごしていた彼女たちだが、春の訪れとともに現れた真面目だけが取り柄の臨時管理人の過干渉によって、少しずつそれぞれの「足りない何か」が浮き彫りになっていく。

ツイートする