([い]4-2)四十九日のレシピ (ポプラ文庫 い 4-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126653

感想・レビュー・書評

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  • 最近嵌まっている伊吹さん。超久しぶりに昼食後に読了。あと15ページだったから鞄に入れてきた。妻の乙美が急死する。登場人物・熱田は以前妻を亡くした経験を持つ。さらに不細工だが心が温かい乙美と再婚していた。熱田は乙美を失い自暴自棄になっているところにガングロ金髪の井本が熱田家に来て49日間乙美が残したレシピを熱田に作り続ける。娘の百合子とともに乙美のレシピを食べ、また乙美の人生を辿るにつれ、成長していく。百合子は不倫した夫への幻滅から立ち直る。49日間、乙美の愛情と登場人物との交流がカタルシスへと誘った。⑤

  • H30.6.25 読了。

    ・タイトルから勝手に食べ物の物語かなと思って読んでみたが、違っていた。乙美お母さんはふくよかで料理上手で明るくて愛情にあふれていてと書かれていて、昭和の良き母親を連想させてくれました。
     乙美さんと良平さんの出会いの場面がとても素敵で印象的でした。井本やハルミもとても良い人たちで楽しく読むことができた作品です。最後まで読んでいくと、タイトルの意味もなるほどって分かると思います。

    ・「縁談は最近少しいただくんですけど。」「年寄りの世話が上手だろうとか、大家族の賄いがこなせるだろうとか、身寄りがないから我慢強いだろうとか。家族じゃなく、働き手を求めているみたい。贅沢を言ってはいけないけれど、でも私にもやっぱり夢があるんです。」
    「好きとか愛とか、アイラブユーとか、そんな言葉はなくていいです。私がこしらえたものをおいしそうに食べてくれる人、それだけで充分に幸せです。」「働き手じゃなくて、好いてもらって妻に迎えられたんだって、自分に自信が持てます。」

  • 素晴らしい物語りで、読み終えて余韻に浸っています。出だしはお笑い系かと思いましたが、中身はずっしり。重苦しいテーマも時たま挿まれるのにトーンは暗くならず、1作前に読んだ不快な本とは異なり、どこからか温かな光が常に射し込んでいました。ご指摘が散見される回収しきれなかったエピソードは自分で勝手に解決しておきました。またこの著者の本は読もうと思います。

  • 私が読んだ伊吹さんの作品は再生の物語が多い気がする。

    この作品も、妻である乙美を亡くした良平とその娘の百合子がどのように生きていくのかを考えて進む物語だ。
    突然現れた井本とハルミ。現実にこんなことが起こったら受け入れることは難しいだろう。しかし、こんな2人がもし現実に現れたなら自分の人生も変わっていくのかもしれない、と想像したら楽しくなった。

    良平も百合子もこの2人に出逢わなかったら、人生なにも変わらなかっただろう。
    乙美が託した想いを繋ぎに来た井本。
    井本とハルミの去っていく姿がどちらも気になる。
    実際この2人は何者だったのか、と。
    ずっとずっと良平と百合子と居て欲しかった。そこが少し残念。

    井本が去って行った時の良平の気持ちが切なかった。

    良平と百合子を取り巻く親族にも腹が立ったり、共感したりと色んな気持ちにさせられたところを思えば、なかなか面白い作品だったと思う。

  • NHKのドラマを見て、やられた。
    こんなに心温まるドラマなら原作も是非読みたいと思って、一気に読み切った。

    ドラマで泣き、本でも泣き。
    心に沁みる言葉が多すぎて収まりきれない。

    電話があっても面倒くさいと思ってほったらかしにしたり全然連絡を取っていない家族に、
    「ごめんなさい」と「ありがとう」を言わなきゃな。
    たったの5文字。
    素直な気持ちを伝えよう。

  • 初めて読む作家さんだけど、好きな感じ(*´ω`)

    私も乙母が書いた暮らしのレシピが欲しいなぁ。
    井本とハルミの異質(いい意味で)な空気感が和む。

    出てくる食べ物がめちゃめちゃおいしそうだよー!
    今の季節なら豚まんかな。あー食べたい!

    乙母の希望通り、四十九日の法要はお経もお坊さんもなくして、大宴会を開くことに。
    そこで乙母の一生を年表にして壁にぐるっと貼ってあるんだけど、空白部分に写真を貼ったり、メッセージを書いていくところがとてもいい!
    私の人生も空白がないくらい、みんなが覚えていてくれるかなぁ?

    最後の方は泣きっぱなし。
    井本とハルミの存在……乙母が起こした奇跡かな?

    四十九日のレシピ…四十九日の暮らしの処方箋(レシピ)。

    2020.5再読
    母・乙美が亡くなり、気力を失った父・良平のもとに、乙美の教え子だった金髪の女の子・井本が訪れる。彼女は四十九日までのあいだ家事を請け負うと言う。彼女は乙美が作ったあるレシピを良平に伝えにきたのだった…。

    世の中は無数の匿名のテイクオフ・ボード(踏切板)で成り立っているっていうのが出てきて、その考え好きだなって思った。
    『たとえばこの紙を作った人の名を私たちは知りません、これを運んでくれた人も売ってくれた人の名前も。だけど名前も知らないその人たちのおかげで、私たちはこうして乙美さんの年表を見ている。そしてあなたが払ったお金でこの紙に関わった人の生活が前に進んでいる』

    乙美は井本に、生まれてくるはずだった子どもがハルミに、それぞれ姿を変えてやってきたんだね。
    『そうだよな、お前……お前はうまく話せないよな。言葉がわかったって声がさ……産声すら、上げられなかったんだもんな。お前は……』
    ここ号泣。というか後半はずっと号泣。

    もし私が死んだら…夫は湿った布団で寝続けるんだろうなぁ(笑)
    カードに掃除や料理の手順書いておくのいいな。やろうかな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「乙母が起こした奇跡かな?」
      希っていたのでしょうね。。。私は何を残すコトが出来るかなぁ?
      「乙母が起こした奇跡かな?」
      希っていたのでしょうね。。。私は何を残すコトが出来るかなぁ?
      2012/12/21
  • 温かくて泣けた。
    大切な人ともしも急な別れが来たとしても、後悔のないように日々生きて行きたい。

  • 妻の乙美を亡くし気力を失った熱田のもとに、謎の金髪娘イモトがやってきた。嫁いでいった娘の百合子も心に傷を抱えて帰ってきて。。。

    外見や言動から当初警戒されたイモトだが彼女にはある使命があった。乙美が残した四十九日のレシピの実践、、、
    台風娘のようなイモトに翻弄されながら熱田も百合子も乙美の人生を見つめなおして。。百合子の傷についても明らかになっていく。

    心にじわっとくるお話でした。後半の展開は少し無理やりな気もするけど、ハッピーエンドでなにより。

  • のめり込んで読みました。人間は不完全だからこそ様々なドラマが生まれ、お互い補完しながら生きている…そして時には大自然やご先祖様も力を貸してくれます。シビアで理不尽な内容もありながら、どこか温かい雰囲気に包まれています。
     
    人生の目的が生命の維持だけになっていないか?勇気を出して行動した結果、もしかすると悲しみと出会うかもしれないけど、そうしないと喜びにも出会えません。そんなメッセージも受け取りました。
     
    処女作『風待ち人』のキンコを彷彿させる乙美の存在感、亡くなっているのに凄いです。まさに誰かの心の中で生き続けているよう…。そして最後の河原での良平、井本やハルミの正体、とっても深く魂の震える作品です。

  • 生きていくことは難しい。時には、矛盾や淋しさを感じながら生きていかなきゃいけない時もある。

    血が繋がらない関係でも、血の繋がりより濃い関係があり、愛がある。それを幸せと呼ばずに、何が幸せなんだろう?

    拘る必要があるほどの不幸に、淋しさにとらわれている必要なんてないのだ。とにかく、前に進め。

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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