([か]8-1)北里大学獣医学部 犬部! (ポプラ文庫 か 8-1)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591129166

作品紹介・あらすじ

広大な自然にかこまれた青森県十和田で、行き場を失った犬や猫を救うために奔走する若者たちがいた。大学のサークル活動で、心も体も傷ついた動物を保護し、辛抱強く新しい飼い主を探すのだ。部員たちの愛情と情熱、命と正面から向き合う姿が胸を打つノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 土瓶さん、aoi-soraさん、みんみんさんからのバトンを勝手に受け継いで読みました!
    北里大学獣医学部の犬部のお話。ノンフィクション。
    行き場を失った犬や猫を保護し、新しい飼い主が見つかるまで自宅で一緒に暮らす学生たち。
    御三方から“泣きます“と聞かされていたので覚悟して読み始めたのですが、『はじめに』のページでもう喉が変な音を出し始めてしまった。『はじめに』の終わりには犬部に保護された犬のコンちゃんのbeforeと afterの写真が‥‥痩せこけたbeforeと比べ、afterの写真は甘えて人間に寄り添うウルウルした瞳のコンちゃん‥‥そこでまた、私の喉から変な音が‥‥
    我が家で飼っているワンコちゃんも保護犬なのです。
    我が家に来てもうすぐ一年になるのですが、未だに超がつくほどのビビリで、すぐにソファの下の暗がりに隠れてしまいます。家の前を歩く人にはカーテン越しに唸ってるし、もちろん、“お手“や“おかわり“なんてできません。
    基本的に人間が怖いんだろうなぁと想像してます。しつけや芸を覚えさせるのなんてずーっと先の話。まずは人間に慣れてもらうこと、私たち家族を信用してもらうこと、この家は安心できる場所なんだと思ってもらうことから始めなければいけないんだなぁ、と思っています。
    本書を読んでいると、我が家のワンコが我が家に来る前にどんなことを経験していたのかが想像できます。そりゃあ、人間不信になりますよね、って思います。
    そんなワンちゃんやネコちゃんと私たちを繋げてくれるのが、犬部やボランティア団体の皆さんなのですね。
    我が家に来たばかりの頃は目ヤニが無くならなくて毛もバサバサでシッポはいつも後ろ足の間に仕舞われたままだったけど、今は毛艶も良くなって、朝、顔を合わせるとシッポをブンブン振ってくれます。
    まだ“お手“はできないけれど、私の膝の上に顎を乗せて目を細めている顔を見ているだけで幸せです。
    ちなみに、生まれてこの方ずーっと猫派だった私‥‥人ってこんなに変わるんだなぁ。

    • みんみんさん
      成犬になる前に一旦ブサイクになるよね( ̄▽ ̄)
      アイコンをブサカワにしてみた笑
      成犬になる前に一旦ブサイクになるよね( ̄▽ ̄)
      アイコンをブサカワにしてみた笑
      2023/02/28
    • aoi-soraさん
      正面からのお顔
      カワイイ〜〜(⁠。⁠♡⁠‿⁠♡⁠。⁠)
      正面からのお顔
      カワイイ〜〜(⁠。⁠♡⁠‿⁠♡⁠。⁠)
      2023/03/01
    • こっとんさん
      ホント!
      みんみんワンコかわいい!!!

      ???
      成犬前に一旦ブサイクになる? 
      じゃあ、うちのワンコはブサイク脱皮できるのか?
      いや、もう...
      ホント!
      みんみんワンコかわいい!!!

      ???
      成犬前に一旦ブサイクになる? 
      じゃあ、うちのワンコはブサイク脱皮できるのか?
      いや、もう成犬だろうから、このままかwww
      2023/03/01
  • 青森県十和田市にある北里大学獣医学部のサークル
    「犬部」(現・北里しっぽの会)のお話。
    ノンフィクションです。

    動物愛護活動を主に行っていて、行き場を失った動物たちを保護し、新しい飼い主さんを探します。

    簡単に動物愛護って良いことだよね、なんて言えない過酷な日々。
    ひとりの学生が何頭もの犬猫と共に暮らし、ほぼ全ての時間を学業と動物の世話に費やしています。
    しかし学生たちの想いは熱く、ものすごいエネルギー。

    犬好きと犬バカ。
    その違いは何か?
    犬と一緒に生きる人は犬好き。
    犬のために生きる人が犬バカ。
    そんな犬バカな学生たちは、
    サークル活動に危機が訪れる度、動物、仲間、サポートしてくれる大人たちと真剣に関わり合い、考え、行動する姿が描かれていている。
    そんな姿に胸が熱くならずにはいられない。


    この本は、「犬部!」の映画に興味を持った私に、原作も良いよ。と、土瓶さんに教えて頂きました。
    ありがとうございます!


    余談……
    この作品とは関係ありませんが、著者の片野ゆかさんのご主人は同じくノンフィクションライターの高野秀行さんだと知り、ちょっと興奮しています。
    高野さんはインドに密入国した過去から、入管のブラックリストに載り、インドに行くことが出来なくなったそうです。
    で、なんとか入国する方法として名前を変える事を思いつき、奥さんに土下座する。
    そう、いったん離婚し、また再婚したい(そのとき姓を変更)とお願いしたのです。
    こんな話が、以前読んだ高野さんの著書にあって、奥さんってスゴイ人だなー、と印象に残っていました。

    • aoi-soraさん
      kumaさん、高野さんの著書をたくさん読んでますね
      「ワセダ〜」気になるっ!
      ありがとうございます♪
      kumaさん、高野さんの著書をたくさん読んでますね
      「ワセダ〜」気になるっ!
      ありがとうございます♪
      2023/02/14
    • aoi-soraさん
      みんみんさん、映画の感想は土瓶さんが書いてますよ<⁠(⁠ ̄⁠︶⁠ ̄⁠)⁠>
      この本の土瓶さんレビューをご覧ください(笑)
      みんみんさん、映画の感想は土瓶さんが書いてますよ<⁠(⁠ ̄⁠︶⁠ ̄⁠)⁠>
      この本の土瓶さんレビューをご覧ください(笑)
      2023/02/14
    • みんみんさん
      土瓶さんの☆5の2冊買い∑(゚Д゚)
      これは読まねば笑
      土瓶さんの☆5の2冊買い∑(゚Д゚)
      これは読まねば笑
      2023/02/14
  • 青森県十和田市にある北里大学獣医学部の学生が動物愛護活動に取り組む様子を描いたノンフィクション。
    初代代表の太田君が、大学非公認ながらサークルとして犬部を立ち上げたいきさつから、各部員がそれぞれにクセのある犬、猫、兎などを引き取って新たな飼い主を見つけるまでの葛藤や癒しの日々が紹介されている。

    多数の動物を引き取り、病気の子でも熱心にケアするなど、まさに動物中心の生活を送る学生に頭が下がる。

    動物は一度飼い始めたら、最期まで一緒に暮らすことが普通だが(そうなってほしいが)、この本を読んで、動物愛護の活動をする人たちを充てにして、安心して動物を棄てたりする人が増えないよう願う。

  • 短編エッセイでまとめてあるので読みやすい。
    ノンフィクションは普段あんまり読まないけど、犬好きなので購入。
    先月愛犬を亡くしたので、いろいろ愛犬との思い出が甦ってきてしまい、読みながら泣いてしまうことも。
    保護した犬や猫の写真も載っているのもノンフィクションならでは。
    新しい事を始める事も、それを託して、受け継いで続けていく事も大変なので、話に出てくる学生達には尊敬の念しかない。
    辛い事も多いと思うけどこれからもこの取り組みが続いて、いつかは必要が無くなる日が来ることを願います。

  • 最高!!

    ノンフィクションはほとんど読まない私ですが、秀逸なタイトルに惹かれ、それでも「いや、でも、う~ん……」と、数日迷いに迷った末に購入したのが数年前のこと。
    異常に面白かった。感動した。何度も読み返した。
    訳あってしばらく帰れない、帰っていない実家に一冊置いてあるのだが、2020年の年末にたまたま書店で発見。
    「えっ! なんで? 今頃」
    良く見るとその帯には「映画化決定!」の文字が!
    書店で小さくガッツポーズしました。
    迷わずレジに。同じ本を2冊買ったのも初。
    嬉しい。ホントに嬉しい。
    実は誰にも言ったことはなかったけど、もしジャンボ宝くじが当たったら絶対に映画化してやるぞーと、思っていた2作品のうちの1つです(笑)。
    映画化決定ありがとー。
    絶対見に行くよー。

    追記 映画はつまらなかった。正直ガッカリ。本の内容を忠実に映画化してくれれば良かったのに、なぜ、変にその後の話をオリジナルで作ってしまったのか、理解できない。

  • 片野さんの著書は「動物翻訳家」「旅はワン連れ」に続いて3作目。

    本作は北里大学獣医学部生が動物を救うために活動する「犬部」を取材し執筆されたもの。
    その活動は想像以上にハード!!各部員の自宅で数匹、多いと数十匹も保護し、譲渡会で飼い主探しを続ける日々。
    彼らの部活動と学業の両立は「動物を救いたい!」という強い想いがあっても、そう容易に出来ることじゃないと思う。

    誰からいつ呼び出しがあるかも分からない相談電話担当の学生。排泄に難のある犬のお世話のため毎日昼休みに帰宅し、再登校する学生。動物たちのケアのため長期休暇も帰省しない学生。
    動物たちに深い愛情と時間をかけ、また保護した動物の治療のための費用負担も大きい。
    それもこれも自分たちの行動1つで失われる命、救われる命が目の前にあるから。

    決してあきらめず、将来保護動物を出さないためにどうすればいいのか未来も見据えて行動する。
    犬や猫の命を救い、彼らの幸せのために全力で行動できる学生たちのどこまでも真摯な姿に胸を打たれました。

    若くしてこんなにも懸命に動物保護に取り組む人がいる一方で、無責任に飼育放棄する人もこんなにいるのかと悲しいやら情けないやら…。
    本書では、自然災害時の迷子予防のためのマイクロチップの有用性についても綴られていました。
    『動物を飼うのなら一生に責任をもつ』
    そんな当たり前のことが当たり前の世になりますように。
    解説は愛犬家の馳星周さんでした。

  • 捨てられた犬や猫を助ける為に頑張る獣医学生たち。思うだけでなく、実践してる人は偉い!動物愛護を実際にやってる人には頭が下がる。
    一匹でも多くの犬猫が素敵な飼い主に出会って幸せになりますように。

  • 映画を見てからの読了。映画とはとても違うストーリーで、どちらかと言うとルポな感じ。あとがきを読む限り、連載を一冊にしたものらしい。

    映画では主要登場人物は限られ、彼らの成長を描いた印象だったが、本作は数多くの学生がそれぞれの動物や状況によってどう変化していくか、何を考えていたか、を描いたものだ。どちらにしても面白かったが、印象が違ったのがまた面白かった!

    動物実験を避ける流れや、ベジタリアンの普及、保護犬・保護猫の認知の広がり、そして多様性の受容で、動物の命の重みをやっと感じられるような世の中になってきた。その流れを作ったのは、本作をはじめとする作品ひとつひとつなのだろう。本作の舞台となった北里大学でも、海外に遅らばせながら外科実験は無くなったようだし、社会の流れとともに動物だから何をしても良いという風潮はなくなりつつあるだろう。解説にも書かれていた、部員たちへの感謝はわたしも深く感じた。本当にこうやって自分の生活を削りながら他者のために生きられるのってすごい。部員たちのアツい思いと共に、作中のさまざまな動物たちの姿に癒された作品でもあった!ありがとう。

    p.32 放浪している時間がなかったり、野良犬として生まれ育った犬は、人間への警戒心や恐怖心が人気は強い。しかし、太田は、これまでの経験から、そんな人間不信の犬でも、絶対に飼い犬として幸せに暮らせるようになると考えていた。

    保護犬たちに、ベタベタした以上は必要ない。これまでに過酷な環境で生きてきた。動物にとって、1番必要なのは、自分のペースで過ごさせることだ。だから、毎日の生活の中で、食事や散歩等の世話以外で干渉する事はあまりない。それでも自分から近づいてきたら、慣れてあげれば良い。あえて何かするとしたら、かわいいと思いながら1守位だろうか。大切なのは一緒に暮らすこと。それだけで犬も変わっていく。何かを感じてくれるのだ。

    p.53 ハナコは、母性本能が強い、心優しいリーダーだった。彼女を等分にした優劣順序に従うことによって、保護された犬や猫は、それぞれ居場所を見つけて、心穏やかに過ごすことができるのだ。犬猫にかかわらず、新入りが来るたびに、ここです。暮らすためのルールを教えるのは、花子の役目だった。トイレは決まった場所でする、眠るときはゲージに入る、部屋にあるものをむやみに、噛んだり、引っ掻いたりしない、テーブルに置かれた食べ物に触らない、自分より力の弱い動物には優しくする。これらは、一般の家庭で暮らすためのルールでもあって、身に付けていれば、新しい飼い主が決まる確率は格段に上がる。いつも15頭前後の動物が集まっていながら平和が保たれているのは、ひとえにハナコのおかげだった。

    p.56 ハナコは世話好きではあるけれど、出産の経験は無い。子犬を連れて行ったところで、どうなるのか。そんなことが解決につながるのか、誰にもわからない。しかし、他に出来る事もない。今は、犬部唯一の犬部員の判断を仰ぐしかなかった。どうか、よろしくお願いします。太田と池田がそんな思いで見守って、まもなく、ハナコは子犬たちはペロペロと舐め出した。そして、当たり前と言う顔で、自分の側にしっかりと引き寄せた。これで、温度調節の心配だけは何とか解決された。

    出産のショックなので、母犬が死んでしまうと、子犬たちの世話を母親の姉妹犬たちが引き継ぐことがある。そんなことを本で読んだような気がするけれど、実際に目の前で起こって見ると、それは生命の神秘としか言いようがなかった。深刻な人手不足と資金不足に落ちた犬は、犬部員ハナコによって救われたのだ。

    p.70 「この事なら、楽しく暮らせそう」そう感じた人々のもとで、まもなく、猫たちは新しい生活をスタートさせるのだ。引き取り先が決まることを犬では卒業と呼ぶ。入部して、初めて経験する別れの日。新しい飼い主さんの前では、絶対に泣かない。そう決めていても、ほとんどの部員は涙をこらえることができない。最高に嬉しいけれど、でも、やっぱり寂しい。アパートに帰って、さんざん遊んでいたおもちゃがぽつんと転がっていたりすると、もう耐えられない。譲渡した日の夜、自分のアパートで1人で過ごせる部員は、ほとんどいない。その晩は、仲間と一緒に卒業生の事について語り明かすのだ。

  • 飼い主に見捨てられたペットや、野良犬、野良猫、その他の小動物を保護し、新しい飼い主を見つけてあげる、それが〝犬部〟の活動です。中には怪我をしたり、大病を患った瀕死の犬や猫もいます。北里大学獣医学部の学生たちが運営するサークルではありますが、大学の支援はいっさいありません。犬部の学生たちは、自分の下宿にたくさんの動物たちを同時に住まわせ、自費を投じて世話をしながら、動物たちが幸せな環境で暮らせるよう、一生懸命新しい飼い主を探します。本書は、そんな学生たちの悪戦苦闘振りを綴ったノンフィクションです。
    動物愛護というのは、命や社会に関わるいろんな問題を含んでいますから、生半可な気持ちでできるものではありません。ここに登場する学生たちも、ときには大きな矛盾にぶち当たり、自問自答し、葛藤を繰り返しながら活動を続けています。けっして奇麗事ばかりではないはずですが、それでも本書を読むと、やっぱり感動せずにはいられません。日本の学生も、まだまだ捨てたものではありませんネ。
    ペットの最期を看取ってあげるのは、飼い主に課せられた最も重要な責任です。ペットたちは、それ以上のものをわたしたちに与えてくれるのですから。

  • よく頑張ってると思う。組織が大きくなると一枚岩とはいかなくなるのはよくある話。保護にも色々視点や方針があると思うけど、現に手を差し伸べている点は大いに賞賛。

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