きみはいい子 (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
3.75
  • (258)
  • (525)
  • (396)
  • (67)
  • (15)
本棚登録 : 3129
感想 : 570
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591129388

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1話1話が重い。けれど、全ての話に救いがあって終わる感じ。全部の話が同じ団地の中で起こっていることで、リンクしているのも妙に生々しかった。
    自分に子供がいるわけでも、ありがたいことに虐待の経験があるわけでもないため、イマイチリアルには感じられず、感触も別次元としてしかとらえられなかったが、そういう現実はどこにでもあり得るのだと思った。
    教育現場にいる人に一度読んでみて欲しい1冊。子供の1面だけでなく、1人1人の他の面やその背景にある物を考えなければならないと感じた。

  • 家族の虐待をテーマに、学校の先生や母親やPTA、虐待を受けた当人が大人になってからなどなどいろいろな目線で綴られた短編で構成されてます。
    何か劇的な解決方法とか何とかそんなことが書かれているわけではなく、すべてがうまくいくわけでもなく、そのときその場で周りの誰かが少し行動を起こして、かすかな希望が見えてくる…そんな感じ。
    胸が苦しくなります。

    最近、ドラマでいじめや学校の問題なんかがテーマになって、ヒーローなりアンチヒーローなりがめちゃくちゃに活躍して解決する的なものを観るから、なおさら思ったんだけど、こういうふうに描けるのが小説の良さかなあって。

  • 話題書で、何となく泣かされそうな感じがして手にとるのを躊躇していた本。とうとう読了しました。そしてやっぱり泣かされた。

    文章自体は平易でセンテンスも短めであっさりとしています。
    会話が上手だなと思いましたね。会話が上手に書ける人はいい話を
    つむぐという印象があります。
    あっさりとした文章に、何気ない会話を積み重ねて、これだけ鋭い視点で
    物語を書くというのは存外難しいと思います。
    子供の表現の仕方が鋭いです。泣かそうと思って書いている訳ではないということも感じます。著者は冷静に、書きたいことにまっすぐに向かっているだけです。
    略歴を見て、坊ちゃん文学賞を受賞してデビューというのを知って、すごく納得しました。いや、知らなかったな、この人。

  • 夕方5時までは家に帰らせてもらえないこども。娘に手を上げてしまう母親。怖かったのも、触れたかったのも、おかあさんの手だった-。追い詰められつつある家族の物語を描く連作短編集。

    2012年本屋大賞ノミネート作。新聞の書評もよかったが、期待外れ。暗いだけのストーリーに共感はできず、数行書いたら改行する薄っぺらい感じだった。
    (D)

  • 虐待をテーマにした短編集です。きりきりと心に痛みが走るような話ですが、最後に少し光が入るといった感じです。虐待の現場で、先生、こども、親など、それぞれの大変さが描かれています。話ごとに、視点が変わり、いいと思います。子を持つ親などは、近く感じられて、痛く感じるのではないでしょうか?

  • 児童虐待ものって知っていたけど、読んだらそれだけじゃなくて、愛情もいっぱいかかれていて、この作品に出てきた子たちがみんな幸せになってくれたら、とつよく思った。

  • チェック項目14箇所。そもそも、自分が小学生のときの先生に、いい印象がない、おばさんの先生ばかりで、すぐに怒るひとが多かった、しかも、怒る理由がよくわからなかった、たいていそういうひとは、髪が縮れていて、化粧が濃くて、首と顔の色が違っていた。「はい、今日の宿題は、家族に抱きしめられてくること。だれでもいいです。おとうさんでもおかあさんでもおばあちゃんでもおにいちゃんでも。妹でもいいです。」。こどもは親をえらべない、住むところも、通う学校もえらべない、偶然によせあつめられ、ここにいる、ここで、揚げパンを食べている、だからこそ、みんな、こどもなりに、ここで、ふんばっているんだ。気遣いのできるパパ、優しいパパ、でも、あたしにあやねを生ませておいて、タイに行ったきりのパパ、優しいだけで、なんにもしてくれないパパ、あたしとはなちゃんママはなかよしだと思っているパパ、パパには絶対知られたくない。こどもならたたいてでも言うことをきかせられるのに、他人はなにひとつ思い通りにできないのがもどかしい。「ずっと、言いたかったの、あやねちゃんママに。つらいだろうなって、思ってたの。あたし、わかるから。あたしだって、おばあちゃんいなかったら、虐待してたと思うから。こどもがかわいいなんて、思えなかったと思うから。だって、そうでしょ。自分で自分がかわいいと思えなくて、こどもがかわいいって思えるわけないよ。」。PTAの仕事で学校に行くたびに、いろんな先生と話をするが、こどもがふしぎな行動を取る背景には、こどもだけでなく、親の問題がかくれていることがある。幸せなひとだけが、幸せをひとに分けてあげられる、きっと七人の小人も幸せだったんだろう。年を取ることは、忘れていくこと、その仕合わせに、今は感謝している。「しあわせは、晩ごはんを食べておふろに入ってふとんに入っておかあさんにおやすみを言ってもらうときの気持ちです。」。わたしは課題を家に持ちかえらずに、できるだけ学校でやるようにした、たいていはうまくいったが、ばれて、自画像を四つに破かれたこともあった、ただの絵の具ののった紙なのに、自分がひきさかれるように感じた。おかあさんもきらいになった、おかあさんをきらいな自分もきらいになった。おかあさんは、わたしを生んだことも忘れた、それなら、おかあさんにとって、わたしはいやな記憶だったの? 「そんなにひどいおかあさんなら、きらいでいいんだよ。無理にすきになる必要はないんだよ。ひどいことをされたら、それがたとえおかあさんでも、中田にとってはひどいひとなんだから。ひどいひとをすきになる必要はないんだよ。」。

  • 本屋のカンバンでおもしろそうだったので借りて読んでみました。ちょっと思ってたよりあっさり終ってしまったかんじです。

  • 虐待っていう重いテーマだけど
    とてもキレイなお話だった。

    虐待する人、された人・・・

    守る人、傷つける人

    いたみを忘れてしまった人
    いたみを忘れられない人

    様々な視点で虐待を描いていて
    悲しいけどあったかいお話でした。

  • 胸がしめつけられるような内容で涙が出てきました。それでも希望が残るラストに救われました。

全570件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

徳島県に生まれ高知県で育つ。高校在学中に坊っちゃん文学賞を受賞。筑波大学で民俗学を学ぶ。創作、昔話を再話し語る。昔話集に『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』『ちゃあちゃんのむかしばなし』(産経児童出版文化賞JR賞)、絵本に「女の子の昔話えほん」シリーズ、『つるかめつるかめ』など。小説に『きみはいい子』(坪田譲治文学賞)『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』『神の島のこどもたち』などがある。

「2023年 『世界の女の子の昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中脇初枝の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×