鈴の神さま

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著者 : 知野みさき
  • ポプラ社 (2012年7月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591130056

鈴の神さまの感想・レビュー・書評

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  • なんというかわいらしさ!

    小さな鈴を守る神さま、安那さまの愛おしさを、いったいどう伝えたらいいのでしょう。
    読み進めながら、幾度エア頬ずり、エアなでなで、エア抱っこをしたことか!

    つねづね、神さまがいるとしたら、きっとそれは自信に満ちて
    人の世を空の上から見下ろし、時に容赦なく天罰を下すような存在なんかじゃない。
    自分が神さまとして崇められていることにも気付かず
    心のままにこの世界を愛し、慈しみながらふわふわとたゆたっていて
    「神よ!」なんて呼びかけられたら困った顔をしそうな存在にちがいない。
    。。。っていうか、そうあってほしい! と思ってきました。

    四国の田舎町の小さなお社で鈴を守り続けている安那さまは、
    まさに私が夢に描いてきた神さまそのもの。
    その上、5歳くらいのいたいけなこどもの姿で
    アイスやポテチを「あと一匙、食べさせてたも・・・」なんておねだりする。
    千数百年生きているのに、スレたところが全くなくて
    その心根は、大切に守っている鈴の音のようにやさしく、澄み切っていて。

    添加物だらけのポテチを食べると必ずお腹を壊してしまう、なんともピュアな安那さま。
    ピアノのレッスンに行き詰った少年、冬弥をはじめ、疎開してきて心細さを抱える女性、
    売れない役者などなど、安那さまと触れ合う幸運を手にした人々は
    天真爛漫な振る舞いと無垢な信頼に心和まされて
    袋小路だと思っていた人生に、新たな脇道をいくつも見つけるのです。

    悠久の時を生き、関わりを持った人間ともすぐにお別れしなくてはならない安那さまに
    影のように寄り添い、食べ過ぎをたしなめ、なにくれとなく面倒を見る楓さまも
    「私も叱ってたも~♪」とおねだりしたくなるほど素敵。

    真夏の帰り道、重たいランドセルを背負ってふらつきながら歩いているところに
    「いいから、お飲みなさい」と縁側から差し出された冷たい麦茶のような
    心洗われる一冊。 おすすめです!

  • 表紙絵の、鈴の上にちょこんと座った着物姿のちっこい男の子とウサギがかわいくて、手に取りじっと見ると抱え込んでいるのはポテチの袋。
    いやーん、かわいいーーっ♪
    しかも帯には「四国ののどかな田園を舞台に」とある。
    四国大好き♪特に香川と高知はそれぞれ必ず年に数度行く。
    これは読まなきゃー!とページを開く前からウキウキ。

    ピアノの国際コンクール初出場を目前にケガをした冬弥(とうや)。
    ケガ自体は軽いものだったが、ステージママ的な母親と諍いになり、最近クラシックに「懐疑的」な気持ちを抱いていた冬弥は思わずピアノをやめる!と言ってしまう。
    父親(フィドラー)の提案で、しばらくピアノから離れて高野町にいる祖父(クラリネッティスト)のもとで春休みを過ごすことに。
    そこで出会ったかわいい神さま。名前は安那(やすな)さま。

    この安那さま、神さまだけれど特別な力はなく、鈴を守るというのがお役目。
    大の甘いもの好きで、御付の楓殿に「ご飯が食べられなくなる」と怒られ、取り上げられてもこっそりお饅頭に手を伸ばそうとする――有り体に言うと、食い意地の張った神さま。
    でもそれが、もう愛らしくて愛らしくて。
    アイスクリームを「あと一匙、食べさせてたも……」と目をうるうるさせて見上げられたりしたら、楓殿に叱られてもまるっとひとつ食べさせてあげたくなる。
    (おなか壊すのでダメです!)
    安那さまと一緒に雛屋(ひよこや)の和菓子を食べたいなぁ。

    連作短編集になっていて、5つのお話が収録。
    「鈴の神さま」(1996年春)
    「引き出しのビー玉」(1945年夏)
    「ジッポと煙管」(1988年冬)
    「秋桜」(2005年秋)
    「十四年目の夏休み」(2010年夏)
    時系列はばらばらだけれど、その時々の「見える」人と安那さまの交流が描かれる。

    安那さまの無垢さ・愛らしさに、迷いや不安を抱えていた人は一歩を踏み出す元気をもらったり、幼い頃のやさしいふんわりとした思い出になったり。読んでいるこちらも心が温かくなる。
    だけれど、どう見ても5歳くらいの安那さまの年齢が1000を軽く越えていることを思うと、出会った人たちとは違う時間の流れの中で暮らす安那さまが少しせつなくも感じる。

    そして。
    読み終わった後、あらためて表紙を眺め・・・
    だめーっ!ポテチだめーーっ!!と叫んでしまったのでした(笑)

  • かわいいー!
    和風ファンタジーの連作短編集。
    表紙のイラストのまんまの優しいイメージですね。
    山の上の小さな社にいる幼い姿の神様と、ふと出会う人々。
    わかりやすく、さりげなく素直に心に染み入ってきます。

    「鈴の神さま」 1996年春
    中学生の有川冬弥は春休みに祖父の元へやってきた。
    ピアノで国際コンクールを目指していたのだが、突き指をして出られなくなり、気持ちも行き詰ったのだ。
    四国のド田舎としか言いようがない(と中学生が思う)高野町。
    広い敷地内にある小山の上には小さな神社があり、鈴守さんがいるという。
    祖父の友達という幼い男の子・安那と仲良くなり、古風な着物や話し方を不思議に思っていた冬弥だったが‥

    「引き出しのビー玉」 1945年春
    東京から疎開してきた和は、出征した夫を案じていた。
    散歩中に出会った可愛らしい男の子の名から一字をとって、生まれる子を安之と名づけることに。

    「ジッポと煙管」 1988年冬
    売れない俳優の鵜木次郎は、姉の嫁ぎ先を訪れるが、雪の中で迷子になり、古めかしい小屋に。
    日本のアーミッシュかと思うのだが。

    「秋桜」 2005年秋
    和菓子屋の雛屋(ひよこや)のおばあちゃん・美鈴の思い出とは‥

    「十四年目の夏休み」 2010年夏
    ロンドンで仕事をしていた冬弥は、高野町の土地を売る話が持ち上がっていると知り、急遽帰国して‥

    美味しいお菓子が大好きな愛らしい安那殿と、お目付け役の楓。
    中学生の冬弥が普通に友達になり、しだいに神様というのは本当だと気づいていく様子も微笑ましい。
    何のご利益があるというのでもない、鈴を守っているという神さま。
    その土地に暮らす人々の心が和やかなのは、きっと鈴守さんがいるからなのでしょう。
    名前もない社を慈しむ心が町の人々にあるから、鈴守さんも可愛らしく、いきいきとしているのかな。
    いつまでも、この空気に浸っていたくなります。
    ブクログで好評なので読み、すっかりお気に入りの作品になりました!

  • 面白かったし癒されたました。
    安那と冬弥とのやっと果たされた約束には
    もう…うるうるしまくりでした。

    鈴守の安那が可愛らしい。めんこいのよー。
    母性本能くすぐられるというか、無邪気さがたまらなくいい。
    あの愛くるしさに胸キュンしてしまいました。
    でも私はお目付け役の楓が好きです!(キリッ)

    「これがデビュー作とは…」…安那風に表現するなら…
    「うむ」のひと言です。

    面白いし泣けるし温かいし知野さんの今後はチェックです♪

    海外在住、五大銀行の内部監査を務めつつ
    小説まで書くなんて。。。
    すごい同じ人間とは思えない。

    そしてこの作品シリーズ化しないかな~と
    首を長くして待つ日々が続きそうです。

    おじゃる丸を思い出したりしました♪

  •  八百万の神さまの一人かな?小さな鈴守りの神さまの姿、おちゃめなしぐさが何とも素朴で愛らしい。人々の願を聞き入れるような、大げさな力もないけれど、山懐の人々に大切に守られて存在している。人々をつなげて幸な気持ちにしてくれることこそが、本当の力かもしれないですね。

     描かれたそれぞれの人たちが抱えている悩み、喪失しかけた気持ちやつながりが、鈴の神さまとの出会いを通して変わっていきます。

     自然とつながりながら、毎日の暮らしの中に生きてきた八百万の神さまが、いつまでも住みやすい、人々の思いがつながった世界が続いていくと良いですね。

    でも、アイスクリームは食べ過ぎないように。

  • ブクログレビュアーさんのレビューを読んでから読みたかった本。
    父から託された金の鈴を大切に持つ、外見は幼児の可愛い「鈴守」の神様。
    神さまの世界と、こちらの世界は重なっているけれどまったく違う世界で、
    でも自然が残っている高野町ではまだ行き来がしやすく、見える人との交流もできて。
    ちっとも全知全能じゃない、むしろ人間味あふれた日本の八百万の神さま。
    こういう世界観にすんなり溶け込めるのは、私も日本人だからかなぁ。

    井戸に吊るしてある羊羹をこっそり食べようとして、井戸に落ちて風邪をひいたり、
    添加物の入ったポテトチップスを食べて蕁麻疹が出たり、
    アイスをカップ丸々1つ食べてお腹を壊したり、
    雛屋の饅頭が大好物で、「二つ」を選ぶために慎重に吟味したり…
    そんな純粋培養で食いしん坊な安那様の愛らしくかわいらしいこと。
    イメージは、おぼこい座敷童のような(笑)。

    「とうとう、夏休みが来たのじゃな!」
    「約束じゃ!」
    …冬弥との再会を無垢に喜ぶ安那様に、こちらもほっこりと頬が緩むのでした。

  • 多くのフォロワーさんが読んでらした本!やっと読めました~!読んで良かった!!なんて優しいお話なんだろうと感動(T_T)四国の田舎で起こる、人々と小さな鈴の神様・安那との出会い。温かくて清らかで涙が出た。
    安那の印象はおじゃる丸(笑)可愛くて無邪気で純粋で、抱きしめたくなるほど。昔から、ただ純粋に当たり前に神様を大事にしてきた人々の気持ちが安那に表れているようで、本当に胸が熱くなった。他の方もレビューで書いていらっしゃるが、最後の話の「とうとう夏休みが来たのじゃな!」に涙腺崩壊。
    1996年春、1945年春、1988年冬、2005年秋、2010年夏…それぞれに懐かしさがこみ上げるような、愛おしい気持ちになれるお話でした。

  • 四国の田舎を舞台にした連作短編集。
    鈴の神さまとの交流を描いた5つのお話です。

    安那がとてもかわいいです。どのお話も心がやさしくなります。のどかな風景を想像するだけで癒されます。戦争のお話はやはり少し悲しいけれど・・・。
    神さまって長く居続ける分いろんなものを見なければいけないから、つらいなぁと、ふと思いました。
    「14年目の夏休み」、冬弥と安那の再開で泣いてしまいました。
    冬弥になったような、わくわくとした気持ちで蓮翹荘に立って鈴の音を聴いているような、爽やかな気持ちで読み終えました。

    なにか大きなことをしてくれる神様ではないけど、住んでいる人々が無意識に愛している鈴さん。町によりそい、鈴を守る神さま。素敵な関係性だなと思いました。きっと高野町にいる神さまが安那だから、町の人はみんな優しくて穏やかなんじゃないでしょうか。
    とてもよいお話でした。

    楓殿を脳内でイケメンさんにしてしまう自分がつらい(笑)

  • こういうお話とても好きです。

    鈴の神様とのほのぼのしたやりとりも
    自分の夢に悩んでも家族に反発してもちゃんと向き合えるところも
    ノスタルジックで美しい四国の風景も、田舎のあたたかい人たちも
    時代を超えてそれぞれの人のそれぞれの思いがつながっていくところも
    ハッピーエンドで清々しい終わり方も。

    とってもとってもかわいい安那、これはデビュー当時の神木くんだな
    とイメージして読みはじめたのですが
    時代がかったやんごとなき雅なお子様風の話し方のせいで
    おじゃる丸の声ですっかり再生されてしまい…
    おじゃるちゃんもかわいいからいいんだけどね。

    どのお話も、雰囲気は似てるんだけどテイストの違う内容でおもしろかった。
    神様といっても仰々しいところなんてまるでなく、
    威圧感も影響力もない鈴の神様。
    でも、長くみんなに愛されて大切されている。
    純粋無垢で天真爛漫な笑顔と鈴の音に心洗われて救われるのね。

    「とうとう、夏休みが来たのじゃな!」は、かわいすぎて泣けた。
    わたしも、アイスとおまんじゅうもって会いに行きたい。

  •  安那殿のかわいいことといったらない。
     千と五百や六百も生きていながら見た目は五歳ぐらい、
    中身はちょっと気遣いのできすぎる五歳。はじめて登場したところや
    冬弥と再会するところなんて飽きるほど読み返した。
     
     楓殿の持ってきた薄く味噌の塗られたおにぎりに漬物がおいしそうだった。
     安那の世界での和菓子はあって、そこにも安那のお気に入りがあるのだろうけれど、
    こちらの世界にもお気に入りがあって、それを自分で買えないという設定もおもしろい。
     安那たちのことを見える人たちが限られていることや、
    こちらの世界で当たり前のものを知らないこともおもしろい。
     
     時代を変えて連作になっていた。
     戦争のときにも安那は同じように川原で遊んでいた。
     
     そのときだけの出会いにしているのは秘密を打ち明けることができないからだけではなくて、
    別れを考えてのことだろうか。仲良くなってもどんどん亡くなっていくような
    感覚になってしまわないだろうか。
     千年もそういうふうに生きるのは寂しい気もしたり、そういうものなのだからそんなことは思わないのかもなと思ったり。

     心の底から楽しめた一冊だった。

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鈴の神さまの作品紹介

あの山のてっぺんに住んでいるのは誰?それはきっと、小さな神さま-。四国ののどかな田園を舞台に、やわらかく紡がれる5つの物語。第4回角川春樹小説賞受賞作家のデビュー作。

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