([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)

  • 396人登録
  • 3.37評価
    • (9)
    • (53)
    • (71)
    • (14)
    • (1)
  • 62レビュー
著者 : 西川美和
  • ポプラ社 (2012年8月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591130421

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
いとう せいこう
三浦 しをん
湊 かなえ
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)の感想・レビュー・書評

  • 離島や田舎の山村など、主に地域医療を題材にした短編集。
    著者の西川さんは映画監督が本業で、この短編集に収録されている「ディア・ドクター」を原案とした同名の映画も撮っています。(映画の内容はまったくの別物みたいだけど)

    田舎特有の密接すぎる人間関係の描写が秀逸。“頼りになる”と“面倒くさい”の狭間にあるあの独特な感じって、実際そこそこの田舎に住んだことがある人にしかわからないと思う。
    何よりも、素知らぬ顔をして暮らしている人々の心の奥底に隠された暗部のえぐり出し方がすごい。仮面に隠れた本当の表情を垣間見たような。
    視覚的な部分を大事に描いているのは映画監督的かもしれない。

    「きのうの神様」
    このタイトルの本当の意図はわからないけれど…
    昨日まで信じて心の拠り所にしていたものが、たった1日の、何かの出来事によって変わってしまう、ということはある。悲しいけれど、どうしようもなく。
    もうひとつ
    神様、としばしば比喩される医師という存在。彼らは医師であるから神様なのであって、その立場を失ってしまったら?
    立場を変えた瞬間、非情にもきっと彼らは、人々にとっての神様ではなくなる。
    辞めたり、死んでしまったり、裏切ったり…医師だって“神様”である前にひとりの人間だ、ということ。

  • この人にしか描けない世界観だ。映画監督だからこそ…とか、そんなわかりきった説明をするのは何だか陳腐で嫌だけど…うまい言葉があてはまらずもどかしい。田舎独特の閉塞感や、無為に日々を重ねていくことに対しての倦んだ感情を、こうも静かに、じわじわと沁みるように描くなんて。ただただ圧倒させられた。
    初めて読んだ彼女の作品にここまで心を揺さぶられたからには、映像作品も是非見てみたい…のだけど、その前に、小説家としての彼女の紡ぐ言葉の美しさを堪能したいかな。他の作品も、まずは活字で彼女の世界に浸りたい。

  • ときどきドキッとします。

  • 文体があまり好きじゃないけど、とてもよい作品だった。特に、ディア・ドクターというお話がよかった。

  • 僻地というか田舎出身者なら共感できるような生活感を本当に上手く表現されていると思った。良くも悪くもそこで生活を続けて行くという現実をどう受け止めるか、難しい課題だと思う。

  • 第141回直木賞候補作。
    これもなるほど候補作w

    映画監督、脚本家でもある著者が、僻地の医療をテーマに取材し、「映画の時間軸では語りきれなかった」ものを小説化。


    慣れたり飽きたりした上に積み重ねていける奴もいるんだよ。


    病やその治療とともに生きる厳しい日常。
    だれにだって訪れる。
    神様なんていないって、私は知っている。

  • 僻地医療をテーマにした内容
    なぜか、ポンポンと読み進めることができず
    最後まで読み終わったときに
    「あーー、終わった」って感じだった。

    なんでだろう・・・。

    たんに好みの問題かな。

  • 「ディア・ドクター」が同名映画のアナザーストーリーみたいで、すごく良かった。

  • 僻地に勤務したお医者さんの話が主体。
    どれもなかなかおもしろかった。
    もしかしたら、前の話に出てた人がこの人で、とか連作短編集になってるのか? と思ったけど違いましたね。

  • 西川監督の小説。やっぱりいい脚本を書く人は文章も素晴らしい。この人の書く人間、特に兄弟は格別に生々しい。

  • リアリティのある短編集です。はじめのうちは、小説から立ちのぼる空気間が感じられなかったのですが、後半はストーリーが面白く、登場人物に感情移入して読むことが出来ました。

  • 映画監督、西川美和による映画『ディア・ドクター』のアナザーストーリーともよべる僻地の生活や医療をテーマにした5作品を収めた短編集。

    僻地で暮らす中学生の女の子の微妙な心の移ろいを塾への通学バスの運転手との一瞬の邂逅をキーに描く「1983年のほたる」、医者の父親に対して関心を持つ兄と持たない弟のそれぞれの成長と大人になってからの触れ合いを描く「ディア・ドクター」が素晴らしい。

    にしてもこの人、『ゆれる』もそうだったけど、小説も本当に良いなあ。

  • 映画『ディア・ドクター』の西川美和監督は、映画の作成にあたり、日本全国における僻地の医療の現状を取材したらしい。本書は、その取材をもとに作成された短編小説である。

    「きのうの神さま」とは、何とも物悲しいタイトルである。昨日までは自分の中で特別な、触れてはいけない領域にあった人や物が、何かのきっかけで他愛もないものに変わっていく。
    扱っている題材は違うにせよ、この小説は、そんな些細な、しかし人の深い場所を揺さぶるような心の変化を丹念に描いている。
    人間の心は、良くも悪くも揺れ続け、一つに留まっていることは無い。私も、もしかしたら誰かの「昨日の神さま」になっているのかと思うと切ない気持ちになる。

  • 若干映画作家の余技的な臭いのする短編集だが上々の出来か。
    舞台が現代であることを除けば、一昔前(と言っても昭和です)の或る小説家の短編集と言っても通用するんでは?
    人間の内面の暗さ及びそこから来る人間関係の微妙な緊張感の描写、個人的にはこの映画作家の感性を高く評価しておりますが、この短編集もその才能の発現の一つでしょう。

  • 映画『ディアドクター』制作の際の取材の副産物と言えるだろうか、「地方」か「医者」もしくはその両方にスポットを当てた五篇の人間ドラマが収録されている。小説『ゆれる』が三島賞の候補になったと思ったら、本作はなんと直木賞候補に!

    本業泣かせの小説だが、できも素晴らしい。日常生活に根ざした物語の数々は読み手の環境が違えど胸に響くものがあるはず。
    田舎で育つ少女の揺れ動く気持ちを書いた『1983年のほたる』や、元看護師の妻があることをきっかけに生き生きとしだすホラー気味の構成がゾッとする『ノミの愛情』など、短編ながら凝縮された物語が詰まっている。

  • 紹介してもらった本。

    西川美和さんの本は初めて。
    心の動き方とかすごく生々しい書き方するんだなぁと。何気ない描写が心に残る。静かに流れる物語だから余計に際立つのかもしれないです。

    映画の作品も気になるのから今度見てみます。

  • 別に自分がしなくても誰かがやってくれる。自分が手を上げなくても責められるわけではない。黙っていても誰かから文句を言われることはない。そういうことはたくさんあると思うが、しかし向かって歩きだしてしまうのは人は人の中で生きる生き物である証左だと思う。

  • 人の卑屈な感情が、巡り巡って救ってくれる。
    そんな小さな奇跡の話。
    たとえば、自分にしか見せない姿を好きだとも思えなくなってしまった時に自分を認めてくれる言葉を言われたとき。
    本当に愛してるからこそ死んでほしいし、生きてほしいと相反する願いを心にもつとき。

  • 映画「ディア・ドクター」を観てから読みました。映画に出てきた登場人物のサイドストーリーなので、より映画の背景が理解できます。映画とセットで。

  • 映画監督、西川美和の短編集。人の心を描く上手さは小説でもいかんなく発揮されている。心の奥底に潜む、本当にささいな揺らぎをすくい取るという意味では、映画以上に繊細な作品になっている。それはもう、感心を通り越して恐ろしくなるほどに。でも、どことなく暖かいこの作品集が、私は好きだ。

  • 僻地の医療をテーマにした短編集。
    外では立派な医者、家の中ではダメ亭主である夫と、その夫を支える元看護師の妻を描いた「ノミの愛情」が印象深い。どこかで完璧だと、その綻びがどこかに出る、そしてその綻びによる被害を誰かが受けることになるのだ。
    先日両親の実家に帰ったばかりだからつくづく思うのだけど、田舎の方がより"生"とか"死"、特に"死"を意識せざるを得ない環境にある。そんな僻地に勤める現実の医者は、やはり思うところがたくさんあるんだろうな。

  • 西川美和監督の、小説。
    映画「ディア・ドクター」制作の際に取材したものを元に、
    「僻地医療」等をテーマに映画とは別の5つの話で語られている。

    さらさらと、読めるのに
    どうしてか、心にひっかかる。
    「重い」とはまた違う何か。
    それをなぜか言葉では表せない。

    中でも「ありの行列」が心に残った。
    好き、とも違うけれど、忘れられない。

  • 「ゆれる」や最近見た「夢売るふたり」の監督の西川美和の小説。
    短編集なんだけど、どれもがよかった。
    やっぱ、この人、すごいと思う。
    ささいなことだけど、人の心の揺れとか。

  • なんだろう、すごく人間らしいというか。
    主人公も周りの人も、至極人間。
    きれいなところと汚いところのブレンドが、現実世界のブレンド具合とちょうどおんなじくらいで、エンターテイメイントしている感じ。
    すごく好き。

  • 怖い描き方をする作家さんですね。

    この作品しか知らないのだけど。エグる心理描写。
    書き方は仰々しいけれど、あながち間違いではないと思う。
    田舎って、閉鎖的で人情味があるもの。

    映画ありきの小説ってのも、また新鮮ですな。

全62件中 1 - 25件を表示

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)を本棚に「積読」で登録しているひと

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)の作品紹介

村からただ一人、町の塾へ通っているりつ子は、乗っていた路線バスの運転手・一之瀬から突然名前を呼ばれ戸惑う。りつ子は一之瀬のある事実を知っていた(「1983年のほたる」)。人の闇の深さや業を独自の筆致で丹念に描き出し、直木賞候補になった傑作が待望の文庫化。

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)はこんな本です

([に]1-2)きのうの神さま (ポプラ文庫 日本文学)の単行本

ツイートする