十六夜荘ノート

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著者 : 古内一絵
  • ポプラ社 (2012年9月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591130704

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十六夜荘ノートの感想・レビュー・書評

  • 仕事一筋で若くして昇進し、自分こそが正しいと思って生きてきた雄哉。ある日、会ったこともない大伯母から突然一等地の屋敷を相続する。屋敷は十六夜荘というシェアハウスになっており、安い家賃で貸し出されていた。最初は土地を売る気満々だった雄哉だが…。
    ストーリーとしては有りがちな、堅物な主人公が段々と心を開いていくような話だが、その雄哉を中心とした現代と、大伯母である玉青を中心とした戦前戦後の話が交互に描かれており飽きない流れになっている。その流れが、玉青の人柄や強さと、雄哉が弱さも見せつつ十六夜荘に興味を抱いていく姿を少しずつ近付けて行き、最後のとあるシーンでは思わずホロリと涙が流れた。
    図書館でたまたま目につき借りてきたが、読めて良かった。

  • 素敵な話でした。装丁に惹かれて読んだけど中身も良かった。
    戦時中を生きた大叔母の話と大叔母の残した十六夜荘を相続することになった現実主義のエリートの話が展開されるんですが、読みやすく読後は暖かい気持ちになりました。

  • 主人公雄哉の大叔母・玉青さんの生き様に感動。
    装丁に一目惚れして買ったけど、中身にも満足!
    読後感がとてもいい。

  • 戦中、戦後を生き抜いた叔母目線と現代を生きる雄哉目線の交互で進む物語。

    戦争中の物語を読むと、本当にこんな時代があったのかといつも思ってしまいます。
    今を生き、今しか知らない私たち世代は本当に幸せだと嚙み締めつつ、当時学んだことがどこまで受け継がれているのだろうかと考えてしまう。

    いつの時代も自分の思うようにまっすぐ生きるということは、いろいろと犠牲にしなければいけないことも多くむつかしいんだろうなぁ。。
    十六夜荘に集まっていた若者たちが、あんなに生き生きと生きていたのに。
    たったの一文でその生涯を綴られてしまった部分で思わず泣いてしまった。でもきっと戦争ってそういうことが当たり前のようにあった時代なのかも。。

    とても心に残る物語でした。

  • 価値観なんて実は何の基準もなくて、案外簡単にひっくり返る。それは世の中の流れによっても、自分自身の変化によっても。
    自分に確かでいようとすること。そうだなぁ。そうでありたいな。

  • 最初のうち、現代の主人公に感情移入出来なかったが、次第に引き込まれた。
    共謀罪が可決した昨今、タイムリーだと
    思う部分もあり、やはり戦争は嫌だと思った。

  • マーケティング会社で辣腕をふるう大崎雄哉は、成功者としての自信に満ちた忙しい日々を送っていた。

    ある日、親戚がロンドンで亡くなり、相続人として雄哉を指定しているという知らせが入る。
    早逝した実母との思い出すらも乏しい雄哉にとって、祖母の姉にあたる大伯母・玉青はさらに遠い存在でしかなかったが、元華族であった玉青の遺した都内一等地の不動産には興味を持つ。
    現在シェアハウスとして利用されている十六夜荘は、雄哉にとっては処分すべき老朽化した建物でしかない。早速4人の店子に退去を申しわたすが…


    玉青の視点から語られる戦中と戦後の混乱期。
    雄哉の視点から語られる現代の社会。
    2つが交互に語られる。

    古内さんの本はまだ読み始めなので、こういうものも描くんだ!と嬉しい驚き。
    とても読み応えがあった。
    戦中の歪んだ価値観の中でも、決めつけられる事を嫌い、自分の心に従う玉青と玉青の兄一鶴、そして十六夜荘に集う若き芸術家たちがキラキラと輝いている。

    戦中戦後の若き芸術家たちを描くストーリーとしては、原田マハさんの『太陽の棘』も良かったが、これもその隣に並べたい。


    不満があるとすれば、帯の文句。
    『タイヘンな遺産、もらっちゃいました』
    この帯を見たら、変人が集まるシェアハウスでのドタバタコミカルストーリーみたい。

    猛烈に働いて出世しながら、食べ物の味さえわからなくなっていた雄哉が、失業しプライドをズタズタにされた後、やがて玉青の生き方から様々な思いを受け取り、自分の記憶になくとも母・祖母・大伯母に愛されていた確信を得て変わっていく過程は、コミカルとは正反対。

    いや、でも騙されてでも読んで欲しいから、これはこれでいいのか。

  • 顔も知らない大伯母の遺産の、古いシェアハウスを相続することになった雄哉。住人を退居させ建物を壊し土地を売ることしか考えていなかったのだが、徐々に考えが変化していく。
    よくある設定なのだが、シェアハウスを維持する方向に変化した原因が、住人たちに情が沸いたとか建物に魅力を感じたとか仕事を失ったとかよりも、顔もろくに知らない大伯母の半生、人となりを知っていくことで、生きていくことや人に対しての価値観が変わっていったから、というのが興味深かった。
    戦中・前後には様々なドラマがあったことを考えさせられる。

  • 不動産という表面部分しか見ていなかった、大伯母が残した洋館
    アナーキーの一言では語ることのできない、芯の通った玉青さんの強い意志とその生き方

    2017.03

  • 住民のほのぼの話ではなかったが。

  • ロマンティックなタイトルや表紙を見て
    あなどってはいけません。
    この物語、立ち止まって己が人生を振り返りたくなるような
    心の奥深くにまでまっすぐに届くお話でした。
    勝ち組の人生を送っていたマーケティング会社に勤務する雄哉。
    彼のもとにある日、覚えのない大叔母の遺産が転がり込んできて
    それを機に雄哉の人生は大きく変わり始めます。

    ずっと信じていたものがある日突然音をたてて崩れ去り
    あとに残ったのは、本当に自由に生きるための勇気でした。
    人からの評価や世間体ばかり気にするのではなく、
    自分の本当にやりたいことを信じてやり通すのは
    時代が変わっても、立場が違っても困難なことに変わりはないのでしょう。
    戦争の時代を凛として生き抜いた大叔母の確かな思いが
    時を経て十六夜荘という遺産に託され
    雄哉に届けられるのです。
    様々な才能を持ちながらも戦争に散って行った若者たちの姿に祈る思いで本を閉じました。

  • 初読みした『マカン・マラン-二十三時の夜食カフェ』がよかったので他の既刊も読んでみたのですが、この話は自分には合わなかったです。
    好みの問題ですが大叔母の物語に絞って描いてくれたほうが読み応えがあった気がします。
    現代パート行き過ぎた合理主義ではあるけれど、合理的の総てがダメとも思えない自分は病んでるのかも。でも主人公の合理主義全否定な勢いにはもやっとしました。

  • 急に大伯母からの遺産で古い屋敷を譲り受けたエリートサラリーマンの主人公・雄哉。
    雄哉と大伯母・玉青のターンが交互に進んでいく。雄哉の凝り固まった価値観が玉青の戦時中の生き様を知るにつれ徐々に解されていく過程が良い。
    激動の時代を生きた玉青の姿に雄哉と一緒に刺激される。月の満ち欠けを人生に例えたお話にもほろり。

  • 青年と彼の大伯母、現代と昭和を行き来する物語。

    華族という立場をかなぐり捨て、またその姿さえ変えながらも、激動の時代を生き抜いた彼女の強さがまぶしい。
    髪を切り、男装の麗人になるというその思いきりの良さも格好良いと思う。

    屋敷の離れで、戦時中禁止されたジャズと絵画に囲まれて皆が踊る場面が素敵だった。
    その後の彼らの辿る運命を思うと、温かくも切ない光景だなと感じる。

  • 良かった。戦争の時代に生きた身の程知らずの話。

  • デビュー作の『快晴フライング』とは全く違う作品で勝負してきたなという感じ。最初の方は十六夜荘のことも謎だらけだし、主人公は性格悪くて好きになれないし、過去パートもよくわからないけど、ラストに向かうにつれ一本の糸に繋がり、謎が解けていく様はとてもよかった。2012/697

  • 大伯母から突如、大きなお屋敷を遺された雄哉。物語は華族であった大伯母の人生と、エリート街道まっしぐらで働く雄哉の人生が交互に進んでいきます。今は亡き、生前もほぼ会ったことのない一人の女性の生き様が、時代を超え、狭い価値観の中で突っ走っていた一人の若者を変化させていく過程がみどころです。

  • 主人公の雄哉は大叔母である玉青から高級住宅街にある古い洋館を遺産として受け取るが、そこには社会からドロップアウトした変わり者たちが住んでいて・・・。
    だんだんと明かされていく謎に引き込まれていきます!戦中・戦後を生き延びた玉青さんの姿に感動すること間違いなし!!

  • 相続のために仕方なくある人物を探す過程で、自分の大叔母の人生も知ることになる。そして、かわっていく主人公。ストーリー展開は正直、読み始めてすぐにわかってしまう、ありきたりといえばありきたりな物語。しかし、戦中・戦後の華族、個性的な十六夜荘の住人たちの設定でストーリーはわかっていても、面白く読めた。
    戦中、戦後のことを思わないではいられないわけで、八月に読む意味はあったと思う。

  • ひとりの女性(大叔母)の生涯を追っていく内に、ひとりの男性の生涯が徐々に変化してゆくお話。

    文章の後ろに戦後を力強く生き抜いた玉青さんの姿が浮かび、現代をあたたかく、自分らしく好きな事をして、自分自身に胸を張って生きる事を勇気づけられた。

    人と人との縁の大切さを感じる
    心の震える一冊でした。

  • マーケティング会社勤めの大崎雄哉。29歳で
    グループ長に抜擢されるほどのエリート営業マン。
    「最短のスパンで最大の利益を生む」
    これが正解と自負し、売り上げをあげていくことが
    全て、というような徹底した仕事ぶり・・・が、
    その厳しさと、傲慢さがあだとなり、
    パワハラで会社を辞めることになる。

    そのころ大崎のもとに、弁護人から、祖母の姉の
    玉青が亡くなり、目黒に残した不動産の相続人に
    指定されたことを知らされる。
    目黒、高級住宅地、洋館と聞けば、当然のごとく、
    大崎は利益重視の活用法をと考える。

    洋館は大きいけれどかなり古く痛んでいて、
    十六夜荘といるシェアハウスとして使われいる。
    さらに住人は、バックパッカー、外国人労働者、
    フリーターなど、よくわからない人たちが住みついてる。
    まずは、強制撤去をすすめようと考えるが・・・

    大伯母 玉青が生きた戦後の軌跡を振り返りながら、
    大崎が、これからどう生きていくか変化していく。

    玉青の生き様と、大崎のこれからの行き方の物語

    玉青は力強いなぁ。

  • 時代感を感じる。戦時中の雰囲気をゆるっと感じるにはちょうどいい

  • 元華族である大伯母の死で、シェアハウスとなっている十六夜荘を相続することになった主人公の変化を描く物語。情の薄い仕事人間のように主人公は書かれてますが、言っている事は正論だし仕事への取り組みも社会人として当たり前なので悪く言われようには若干同情。若かりし頃の大叔母の毅然とした生き様と、芸術家たちの姿勢が感動的でした。主人公が今までの自分の人生を見つめ直して、これから先の人生を切り開いていこうとする心構えが清々しい読後感を与えてくれました。

  • 昭和の時代を生きた大伯母・玉青と、現代を生きる仕事一筋の雄哉。
    ふたつの物語が交互に進んでいく小説。
    序盤はとっつきにくさを感じるが、読み進めるにつれ話に引き込まれた。
    玉青の生き様はもちろん、せいちゃんがいい味を出している。
    自分の内側にあるはずの大切なものに気づかせてくれる一冊。

  • 玉青さんの、戦時中の場面で幾度となく止まってしまい、読むのに時間がかかった。

    絵や文学、表現など芸術に対する戦時中の考えが、平成の今にそのまま当て嵌まりつつあるように思えてしまう。

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十六夜荘ノートの作品紹介

ひとり静かにこの世を去った大伯母から、高級住宅街にある古い洋館を遺された雄哉。思わぬ遺産に飛びつくが、なぜか屋敷は「十六夜荘」という共同住宅になっていた…。社会からドロップアウトした変わり者たち-40代無職のバックパッカー、ダイ出身の謎の美女、ひきこもりミュージシャン(自称)、夢を諦めきれずにいるアラサー美大生-が住む「十六夜荘」を大伯母はなぜ、雄哉に託したのか。そして屋敷に隠された秘密とは。

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