あん (一般書)

  • ポプラ社
3.99
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591132371

感想・レビュー・書評

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  • 何だかんだでちょっと泣いてしまった…。ハンセン病に苦しめられた人がいるのは知ってたし、そこに深い差別意識が伴うのも知ってはいたけれど、中井さん買わなくなる展開が途中から薄々感じてはいたけれど実際始まると涙が出てきてしまった…。

  • ◆食べてみたい、塩味の効いた理想のどら焼き…◆
    樹木希林の最後の主演作、それだけで映画も観たくなりませんか?主人公徳江が作る「あん」、それはそれは美味しそうで、そこで一気に惹きこまれる。元ハンセン病患者の徳江が、自分の人生に絶望しながら、人が生まれてきた意味を考え続けたどり着いた答えとは…。解説者が「幸福感を得た」と言っている。ハッピーエンドではないが、確かにそう思える。そしてちょっと塩見をきかせた甘いものが食べたくなる…同感である。

  • 2018.12.13

  • ハンセン病の老婆と務所帰りの男との物語。

    刑期を終え出所した千太郎は、お世話になった先代のどら焼き屋「どら春」で働き、オーナーである先代の奥さんに借金を返す毎日。

    とりたてて旨くもなく、まずくもない中国産のあんを使ったどら焼き屋から逃げ出したいと考えていた千太郎に、声をかけてきた老婆。

    指が曲がり、体の不自由さを感じさせる老婆は吉井徳江と名乗り、どら春で働かせてほしいという。しかもあんを作って50年という。

    アルバイトとして働くようになった徳江の作るあんは絶品で客足も伸びる。

    しかし徳江がハンセン病患者の隔離施設だった天生園から来ていることが噂になり、客足が落ち、オーナーにも首を切るように言われる。

    徳江の作り出すあんに希望を抱いていた千太郎は、店を持ち直そうと奮闘する。


    生きる希望を強制的に剥奪された徳江と、犯罪に手を染めて社会不適合者になっていた千太郎との対比が、差別や人の生き方という視点で語られている。

    生きる意味を見出してくれる作品。

  • 小さな街のどら焼き屋、千太郎は毎日鉄板の前でどら焼きを焼いていた。
    ある日、店先の求人を見た70代の手の不自由なお婆さんが、自分を雇って欲しいと言ってきた。

    前科のある千太郎と元ハンセン病患者の吉井さんの交流。
    ニュースで見た記憶は薄くはあるものの、ハンセン病に対する認識がなく、その偏見に苦しんだ人達のことを、今回改めて知ることが出来ました。
    読んで良かった。

    この先、千太郎がまたどら焼きをやき始めたらいいなと望みます。
    桜の塩漬けとともに食べるどら焼き、美味しそう。

  • 2017.10.30 朝活読書サロンで紹介を受ける。

  • 先日亡くなった樹木希林さんに敬意を表して読みました。
    映画は見ていませんが、プロログの徳江さん(おばあさん)登場の場面は希林さんの演技を彷彿させました。なるほど映画の脚本のような書きぶりの小説でもありました。

    どら焼きの中身、小豆の美味しい煮方指南などは微笑ましいが、すぐに徳江がハンセン氏病完治者とわかってくるのにしたがって、じっとりと空気が重くなってくる。

    登場人物の3人が3人とも、それぞれ社会から疎外されている屈託を抱えている。それをことさら怒るんではなく、恨むのでもなく淡々としているように描写しているのが、かえって胸迫るのだろう。

    そういうことはみんなあるよね、といいながらそれが「みんなの思い」にならないことがわかっているからである。

    普通が平等にならない、しかし人間の存在はみんな同じではないとわかってみれば、生きにくさに向かっていく勇気が出るのだ。

  • 病気で閉じ込められていた徳江さんと千太郎との不思議な出会い。
    偏見の怖さにも悲しくなったが、生きるものだけでなく、周囲をとりまくものたちに耳を傾けて生きる素敵さがじんわり広がって、「誰にも生まれてきた意味がある」という言葉が、あったかく心にしみわたる感じが何とも素敵な本でした。
    千太郎さん、どら焼き屋をまた始めてくれているといいなぁ・・・
    ほんのり桜がかおる塩どら焼き、食べてみたい。

  • ハンセン病‥数年前に ニュース番組で 特集していたな‥ぐらいの情報で この本を読み終えました。重たい内容でしたが、「あん」のように甘く切なく でも、後味は全然悪くなく スッキリとした読了感でした。

  • 2018/7/6
    よし、映画を見よう。

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著者プロフィール

ドリアン助川 訳
1962年東京生まれ。
明治学院大学国際学部教授。作家・歌手。
早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒。
放送作家・海外取材記者を経て、1990年バンド「叫ぶ詩人の会」を結成。ラジオ深夜放送のパーソナリティとしても活躍。担当したニッポン放送系列『正義のラジオ・ジャンベルジャン』が放送文化基金賞を受賞。同バンド解散後、2000年からニューヨークに3年間滞在し、日米混成バンドでライブを繰り広げる。帰国後は明川哲也の第二筆名も交え、本格的に執筆を開始。著書多数。小説『あん』は河瀬直美監督により映画化され、2015年カンヌ国際映画祭のオープニングフィルムとなる。また小説そのものもフランス、イギリス、ドイツ、イタリアなど22言語に翻訳されている。2017年、小説『あん』がフランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞(Le Prix des Lecteurs du Livre du Poche)の二冠を得る。2019年、『線量計と奥の細道』が「日本エッセイスト・クラブ賞」を受賞。翻訳絵本に『みんなに やさしく』、『きみが いないと』(いずれもイマジネイション・プラス刊)がある。

「2023年 『こえていける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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