どうか忘れないでください、子どものことを。 (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591133859

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んで佐々木先生の穏やかな話し振りを思い出しました。親は教育者になってはならない、保護者であり続けること、という言葉に目から鱗でした。そして、父性と母性の与え方は量ではなく順番が大事だと。何度も読み返したい本です。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • ●学び
    ①子どもが「喜ぶこと」をしてあげる
     そのことを「自分自身の喜び」にする
    →お互いの関係そのものが、喜びを見いだす
    ⇒最高の人間関係

    ②手伝ってくれないお父さんには文句を言うより
    「お父さんが喜ぶこと」をしてあげる
    →家庭の基礎は「夫婦の信頼関係・愛情」
    ⇒家庭をお父さんの居心地の良い場所にする

    ③ただひとつお母さんに望むことは、やさしさ
    プライドを持ってやさしくしてあげて
    →子どもが望むものは“やさしさ”
    ⇒居心地のいい場所・安全基地をつくる

  • 子どもへのまなざしを読みやすくまとめた様な内容です。子どもにたっぷり愛情をそそぐ、お金をかけるのではなく手をかけてあげる等、親子ともに幸福を感じられる様な子育て論です。

  • 2017.7月。
    突然の訃報に驚きました。子育てに関する核の部分でいちばん影響を受けて信頼していた佐々木正美さん。この本もよかった。佐々木正美さんの本は読むたびにそうかと新たな発見があり、大切な考え方との出会いがある。今回も。子どもの喜ぶことをするだけ。親の望むような子どもにするのではなく、子どもの望むような親になる。教育者でなく絶対的な保護者になる。大切なことをまたおしえてもらった。旦那さんとのことについての章は、素直に受け入れられないことも書いてあったけど 笑。これからもずっとお世話になります。

  • 379

  • 児童精神科医、佐々木正美さんの著書

    「子育てでなにより大切なのは、“子どもが喜ぶこと”をしてあげることです。そしてそのことを“自分自身の喜び”とすることです。
    子どもは、かわいがられるからいい子になります。

    たくさんの喜びと笑顔を親とともにした子どもはやがて、人の悲しみをも知ることができるようになります。」

    子育てに関する基本的で大切な言葉が満載の一冊。
    ああ、子育て中に知りたかった、いや、子育ての前からこうしたことを知るべきなのだ。今からでも遅くはないのだし。
    子どもができ(授かり)、必然的に親という立場になるが、何もしらないまま親になってしまう。このことがすべての不幸の始まりなのではないだろうか。
    もちろん、大家族の中で自然と身についてきた時代もあっただろうけれど、今はまったくもって経験のないまま、知識もないまま、手さぐりで親になる。
    ぜひ、はやいうちにこの一冊にめぐりあってほしい。

    振りかえれば必ずママがいる、
    という安心感ほど大きいものはありません。
    =「見捨てられ不安」を子どものなかにのこさないようにしてあげてください。

    「見捨てられ不安」「見捨てられる憂鬱」が強い場合、青年期、成長期にうつ病や社会不安障害を発症する原因となる

    「おしゃべりできること」が「コミュニケーション力」ではありません。

    本当のコミュニケーションというのは、お互いの喜びをわかち合う力です。喜びを分かち合える力とは、同時に悲しみを分かち合える力です。悲しみを分かち合うこととは、言ってみれば「思いやり」ということになります。P20

    お母さんは、
    子どもが喜ぶことをしてあげるだけでいいのですP21

    さて、「赤ちゃんが喜ぶこと」とはなんでしょう?

    「喜びを分かち合う力を育てるということは、子どもが喜ぶことをしてあげる、ということだ」P25

    親が子どもをあやし、喜ばせること。しかもそれを親自身が喜びとしているということ。これが「喜びを分かち合う力を育てる」ことにつながるのだということです。

    喜びを分かち合う力が育つと、子どもはやがて
    お母さんの悲しみを理解できるようになります。

    おかあさんが悲しんでいる」という気持ちが理解できることで、初めて叱られたことの意味も少しずつわかるようになります。P28

    「いじめっ子」は
    悲しみを分かち合う力が育っていない子どもです。P29

    個人主義と利己主義を勘違いしてはいけませんP31
    個人主義=社会のなかで他者と喜びや悲しみを分かち合った上で、それぞれのアイデンティティを重んじる生き方

    自分だけを大切に生きていると、人間関係は築けないのです。P33


    「人との交わりに喜びを見いだしながら生きる力」が失われたことから、孤独死、引きこもり、不登校、いじめが起きる。

    「乳幼児期に泣いて訴えることに対し、何千回も繰り返し応えてもらう経験が、その子が大きくなったとき人間関係に喜びを見いだす力になる。」ブルース・ペリー(アメリカ人乳児精神医学の専門家)P36

    ときには親よりも少し距離がある
    親戚と過ごすのも悪くありません。P51

    エリク・ホーングルガー・エリクソン(1902-1994)
    アイデンティティとは、「これが自分である」という感覚を持つこと。
    「倫理というものは世代間のなかで新しく生まれ代わり、そして次の世代に引き継がれるようにして、伝達されていく。だから世代間の関係が薄れた社会になればなるほど、倫理は失われていく」
    言い換えると、違う世代との人間関係がたくさんある社会は、倫理が伝達、再生されている社会であるということ。P55

    人間は「人間関係」のなかにしか、
    生きる価値を見いだすことはできません。
    =「人間は自分が存在する意味と、生きる価値を、人間関係のなかに見いだす。いや、人間関係のなかにしかそれを見いだすことはできない」ハリー・スタック・サリヴァン(1892-1949)

    どんな関係でも「与え合う」ことが最高の人間関係です。
    「誰と誰との関係であっても、相手に与えているものと与えられているものが、同じ価値を持っていることを実感できていれば、それが最高の人間関係です。たとえば母親と赤ちゃんでも同じことです。母親が幼い我が子と一緒にいることを幸せだと感じていれば、その幼子はお母さんと一緒にいることがなによりも幸せだ、ということです」「自分の半生を振り返ってわたしはこう思います。生徒から学べる教師こそが、本当の意味で生徒に教える力を持った教師です。そして患者から与えられることの恩恵に感謝できる治療者だけが、患者から感謝される治療ができるのだと思う」p69エリクソン

    「誰かを助けてあげよう、何かを与えようと思ってボランティアをしたとき、多くの人が助けるつもりが助けられた、感謝されたけれど逆にお礼を言って帰ってきた、とはなします。これはボランティアと支援を受けた人が、双方で同じ価値のものを与え合った、ということです。これがエリクソンの言う「最高の人間関係」ということです。p70

    「大切に育った記憶」「母親のにおい記憶」と
    成長後の生き方は大きな関係がありますp75

    「あなたは自分の親から大事に育てられてきたと思いますか」
    「いまあなたを大切にしてくれる大人はいますか」
    京都大学大学院木原雅子の研究より

    「あかちゃんのころのお母さんのにおいを覚えていますか」「お母さんの声を覚えていますか」「添い寝をしてもらった記憶がありますか」という設問に覚えていると答えた学生は、自尊心が高く、自己肯定感も強く、夢や希望を持っていると答える場合が多く、意欲的で創造性も豊だと感じている。P78

    会社内を含め、若い人のコミュニケーションは明らかに誓ってきています。私自身も実感しますが、はなしをしていてもこちらに踏み込んでくることを避ける感じが強い。会話も成立しにくい人が多いです。一見協調性はあるのですが、自己主張はしない。

    「人間関係」が苦手な人ほど、強く「人とのつながり」を求めているのです。

    どんな社会になっているにせよ、バーチャルな世界の関係や、在宅ワークをするにせよ、その根本は現実の人間関係が健全でなければなりません。そのはじまり、土台こそが、「親との関係」です。
    仕事の関係、地域の関係、すべての人間関係の「形」は変化しています。それだからこそ、親は、子どもを育てていくときに、なによりも人間関係を育てる、という部分に、もっとはっきりと強い意識を持ってほしいな、と思います。P95

    教育者にならないでください
    親は絶対的な保護者であってほしいP112

    ただひとつお母さんに望むことは、やさしさです。
    プライドを持ってやさしくしてあげてください。P140

    本『ひきこもりの国』
    マイケル・ジーレンジガー(著) 河野 純治(翻訳)

    ホームページ「ぶどうの木」
    http://www.budo-noki.jp/

    「とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、そこで小さな子供たちが、みんなでなんかのゲームをしているところが目にみえてくるんだよ。何千っていう子供たちがいるんだ。そしてあたりには誰もいないー誰もって大人はだよー僕のほかにはね。で、僕はあぶない崖のふちに立ってるんだ。僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだーつまり子供たちは走ってるときにどこを通ってるかなんて見やしないだろう、そんなときに僕は、どっからか、さっと飛び出して来て、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。一日じゅう、それだけをやればいいんだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げてることは知ってるよ。でも、僕がほんとになりたいものといったら、それしかないね。馬鹿げてることは知ってるけどさ。」

  • 児童精神科医の育児書。嫁に進められて手に取る。我々が良いなと言う、感覚を共有もできたし、本書に共感できたし、忘れず実践して行きたい言葉も多い。

    【学び】
    子育てでなにより大切なのは、「子どもが喜ぶこと」をしてあげることです。そして、そのことを「自分自身の喜び」とすることです。

    親は教育者にならないで、絶対的な保護者であれ。「説教をして言うことを聞かないから体罰」と言うのは最悪です。

    親が9割手伝って、最後の1割できれば誉めてあげましょう。

    14123 再読改めて大切なことを確認。振り返れば必ずママがいる、という安心感ほど大きいものはありません

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著者プロフィール

児童精神科医。1935年生まれ。新潟大学医学部卒業。ブリティッシュ・コロンビア大学留学後、国立秩父学園、東京大学、東京女子医科大学、ノースカロライナ大学等にて、子どもたちの精神医療に従事する。現在、川崎医療福祉大学特任教授。
日本で初めてTEACCHを紹介し、普及に努める、TEACCH及び自閉症医療の第一人者である。
近著に『子どもへのまなざし』『続 子どもへのまなざし』『完 子どもへのまなざし』(以上 福音館)『「育てにくい子」と感じたときに読む本』(主婦の主社) 『アスペルガーを生きる子どもたちへ』(日本評論社)ほか多数

「2011年 『出会いでつむぐ私の仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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