さらさらさん (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
3.50
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本棚登録 : 380
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591133880

感想・レビュー・書評

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  • 思えば、更紗さんの『困ってるひと』がきっかけで読書に目覚めたかもしれない。
    今回の「さらさらさん」も楽しみに待ってました。
    さらさらと読めると思いきや、新聞、雑誌に寄稿したエッセイをはじめ、糸井重里氏、古市憲寿氏、重松清氏、石井光太氏ほか、話題の人との対談がびっしり!最後の対談なんか虫眼鏡が必要な文字のフォントにビックリ。でも、諦めず読了。
    内容が濃すぎて勿体ない感じでした。それにしても、更紗さんの頭の中を覗かせて頂いたようで、勉強熱心さに凄い!!と脱帽するばかりです。体調お悪い中、ご無理なきようにと伝えたい。

  • 「困ってるひと」でデビューした著者の書評やエッセイや対談が詰め込まれた本。
    私は正直福祉全般に疎い人間だけど、読み切って思ったことは語ることの難しさ、言葉そのものの難しさ。
    大野さんの言葉に対する姿勢に感銘を受けた。
    中島岳志さんとの対談が自分にとっては一番すっと入ってきた。世代で語るのは好きじゃないけど、同い年の犯罪というものはどうしても深くというか余分に考え込む。当然か。

  • 大野更紗さんが作家になってからこれまでの対談やエッセイなどを集めた一冊。

    大野さんと対談している相手(古市憲寿さん、石井光太さん、乙武洋匡さんなどなど)の本を手にとってみたくなる、広がる本でした。

    個々の問題にラベル付けをしてそのラベルに該当した解決策をあてはめてきた従来の手法から
    個別の問題に対してそれぞれの対応が取れる制度への変換が必要になってきているんだなぁと感じた。
    これは社会福祉の分野だけではなく、色々なジャンルでも同じなんじゃないかな。

  • 対談が良かった。特に印象に残ったのは、後半の熊谷晋一郎さん、川口有美子さん、猪飼周平さん。医療系というか福祉系というか、社会保障系というか、とても勉強になり考えさせられた。
    そして、それらの専門的な分野の対談とは違うが、一番最初の糸井重里さんとの対談が、今の私に直接的に響いた。

    糸井重里さんという人を好きなのか嫌いなのか自分でよくわからない。判断がつかない。ただ、この対談での発言はとても私に効いた。3ヶ所あげる。

    1.若い人に向けての言葉と思うが「弾んでる人」と仕事をしたい、と言っておられる。大野さんの「健全な好奇心」という言葉にも強く反応された。
    私はもう若くないが、「健全な好奇心を持つ弾んでる人」でいたいと思った。なんだかとても嬉しくなり励まされた。

    2.「自分は過去に間違った、何度も。でもその時にそうなる自分というのは運みたいなもので、否定するわけにはいかない」と言われている箇所。
    ここは自分のことを言っておられるのだが、これを読んで私は「他人の間違いを責めるのも違うな。たとえその選択が間違いだったとしても、それは運みたいなものだなという解釈をすればいいなぁ」と思った。そう思った方が楽になる。相手を責めたところで、自分も辛いし、終わったことは変わらないし、あまりいいことはない。否定せず、その人の運みたいなものだなと思った方が絶対いい。自分も含めて必ずみんな間違うんだから。

    3."その都度間違いつつ進む、それでOKなんですよ。" 63ページ

    大野さんの本の感想というより、糸井さんの感想になってしまったが、「困ったひと」「シャバはつらいよ」を既に読んでいて、もっともっと読みたいと思って手に取った。
    そしてまだまだこれからも読み続けたいと思っている。研究者としてご活躍のようだが、一般向けのこのような本もまた出版してほしい。

  • 困ってる人 の 大野更紗さんの対談集

    当事者だから言える事がある
    分かる事がある
    「ゆらぎ」「グレーゾンン」に関しては納得。
    その幅に対応するためには一辺倒な評価ではくくれない。
    さらに
    支援することも直接的な支援だけでは人としての生活は成り立たないということ。
    そして
    「時間がかかってもできる」ことが必ずしもその人が求めている事ではないという事。

    対談:重松清
    ○小説というのは行間を読んだ英、余韻を味わったりするものだと思ってるんだけども、それにはリテラシーが必要で、読み慣れてないと、宙づりの終わり方というのに耐えられない人が多いんだなって。
    ○テキストにはその幅(想像力)を広げる力があるとわたしは信じています

    対談:川口有美子
    ○「無駄な延命」の「無駄」は患者にとっての「無駄」じゃなくて、医療者やケアする側の自己評価なんです
    ○「かわいそう」なのは「しんどい」のはその言葉を発している「周囲」なのかもしれない

    ポプラ社  2013年

  • 購入して手元に置いておきたい本。

    対話大切。そこから新しく生まれてくるものたくさん。

    特にあたしは人に話すことで、聞いてもらうことで整理ができる気がする。

    それにしても更紗さんはすごい。
    この本厚いけどそれ以上に熱い。

    昔読んだ鶴見和子の本じゃないけど、難病になったからこそ湧きいでてくるものがあるのかもしれない。
    語りざるを得ないということも含めて。

    頭の回転早い人、思考が整理されてるひとってすごいなー。


    印象に残った言葉メモ。
    「原発にかぎらないですけで、逃げられところから見える景色と、本当に逃げられないところから見える景色はぜんぜん違う」 (大野更紗)

    世の中(=社会)の標準設定から外れた身体の持ち主と、社会のあいだに生じる齟齬を「障害」とみなすのが、「社会モデル」。逆に、普通じゃない身体が悪いというふうに言うのが、「医学モデル」。想定外の身体に合うようにカスタマイズされない社会が悪いのか社会に合うような身体に治療しないのが悪いのかと、いう対立軸。(熊谷晋一郎)

    日本では未だに、痛みを一種のスティグマ化して「嗤い」にする。葛藤を抱える人がどれだけ世の中にいるのかと考える想像力が、多くの言葉から失われてしまっている。(中島たけし)

  • 何かの深みというか凄みというか、というものの、片鱗をのぞき見する。難病患者というレッテルが多少はがれて、作家としての大野さん、という視点が少し生まれた本

  • 難病・社会保障・医療・福祉・フクシマを著名人と対談していく内容。最終章の猪飼さんとの対談が興味深く。病院の世紀の理論を読んでみよう。猪飼さんが言っていた精神障害者は私宅鑑置以外の方法で地域に存在していたこともあった、というのはどの文献に書いてあるんだろう。五体不満足もちゃんと読んでみよう。秋葉原事件の加藤智大の著作も読んでみたくなる。そんないろんな分野を横断的に言及しているので、脳が刺激される。

  • 「困ってる人」大野更紗さんが、ますます困りながら綴ったエッセイと、精力的に語り合った対談が満載の大記録。
    「さらさらさん」というタイトルに似合わぬ"ガツガツ"の内容。本の厚みをはるかに超えるボリュームで圧倒する。でも、読後感は爽快。
    「困ってる人」のライトな語り口も、本書で綴られたヘビーな感性の裏返しだと思った。
    巻末の「困ってる人の本棚」(2012/6/1~30 @MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店)で掲げられていた大野さん渾身の手書きPOPも、実際に見た(私のような)人はもちろん、見逃した方、そもそも知らなかった方の心に響いて本を読みたくなるはず!
    さあ、大野更紗ワールドへ、あなたも…

  • 2014.01.03読了。
    筆者の焦燥感がじりじりと伝わってきて
    もっと読みたい、知りたいと思った。
    おそろしく広大な世界!

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