([は]7-1)わたしのノーマジーン (ポプラ文庫 日本文学)

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  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591134962

感想・レビュー・書評

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  • 行き詰まった近未来、将来に対する希望などなく、終末思想を信じる新興宗教及び一部の金持ちが、世の動向を操作する世界…まぁある意味今でもそうなんだけど…に生きる下半身の不自由な革職人と、なぜかそこに送り込まれた言葉を理解する赤毛ザルの奇妙な共同生活。

    貧しくて不便でその日暮らしの革職人がサルの気ままさに途方に暮れる日常風景、これがなんともエエねんなぁ。暗く重たい世の中にぽつんと置いてあるシェルター内のあったかさというか、世の中なんてどうなってもいいから、2人(1人と1匹?)はこのままの奇妙にあったかい生活を続けてくれればいいなぁと思ったのに。

    短い第2部と、さらに短いエピローグ。駆け足ながらも、思わぬ方向から仕掛けを突き付けてきて、さっと収束させる。小説としてお見事!風呂敷の広げ方、畳み方。こういうのもあるんやなぁ。

    冗長に言葉を重ねるところ、さっと流しておくところ。メリハリが効いてる小説は読んでオモシロいものだけど、この作品は重ねどころと流しどころの配置が個性的。いやー、上手いわ!

  • 今よりも治安が悪くて危険で不便な世界のはずなのに、二人の暮らしぶりは慎ましいながらに微笑ましくて、ただただ愛しい。
    なんで突然そんな展開に?と思うこともあったので星四つ。

  • 孤独な車椅子の革職人と、知能を持ち言葉を話す赤毛のサルの物語。
    2人とも訳ありの雰囲気がプンプンするものの、シズカがノーマジーンをいじめながら可愛がる描写、だんだんと深まる信頼関係、秘密をしってしまった後の気持ちの変化など、心に響く要素がたっぷりの不思議で温かいファンタジー作品でした。

  • 女鞄職人とヒトの言葉を喋る猿のお話。

    終末感漂う世界観。SFっぽくもありミステリっぽくもあり。
    他の方のレビュー見ると
    「結局シズカのノーマジーンに対する気持ちがよくわからない」
    というレビューが多かった。

    私の中でははっきりと感じ取ることができたので読後感もよく好評価になったのかもしれません。

    ノーマジーンがとても愛らしいです。

  • 孤独なシズカと赤毛の猿ノーマジーン。共同生活を続けていくうちに、お互いの存在はかけがえのない物になっていく。終末論がささやかれ、食料も燃料も満足にない閉鎖的な世界は暗く重たいが、二人の楽しい生活ぶりに救われる。しかし、二人の間には隠された悲劇の出来事があった。それが何とも切ない。

  • 初野さんの本を読むと、心の奥を掻き毟られるような焦燥とうつらうつらしているときにそっと抱きしめられているような心地よさをいったりきたりして、気が付くと最後まで読んでいる。

  • ノーマジーンが可愛すぎる。

    可愛くてあまりにも無邪気だから哀しい。

  • 買おうかどうか迷ったけど、終末話好きなので買いました。
    結構評価の分かれる作品かもしれません。作品全体を覆う閉塞感の具体多的なところは描かれず、その中で主人公と猿のノーマジーンの閉じた生活が描かれます。ややおとぎ話的でもあります。
    暗く悲しいお話ではありますが、そんな中でかすかな光と幸せを求める、そんなお話でした。

著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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