UNTITLED (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
3.15
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本棚登録 : 403
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591135488

作品紹介・あらすじ

『タイニー・タイニー・ハッピー』で大ブレイクを果たした飛鳥井千砂、3年ぶりの単行本! ある家族が抱える各々の秘密が曝されたとき、人間の本性が浮き上がってくる。家族小説の新たな方向を指し示す傑作長編!

三十一歳の桃子は実家暮らしで未婚。自分の中で培ってきた“ルール”を厳格に守り、家族や勤めている会社の人間にも一切スキを見せることなく暮らしている。ある日、桃子の携帯に弟の健太から2年ぶりに連絡が入る。子供の頃から迷惑をかけられっぱなしで、「一家の癌」だと思っている弟からの連絡は意外な内容だった……。

累計部数20万部を超す大ベストセラーとなっている『タイニー・タイニー・ハッピー』で一躍人気作家の一人となった飛鳥井千砂さんの、3年ぶりとなる単行本の新刊は、これまでの作風とは一線を画した、人の本質へ果敢に踏み込んでいく、まさに新境地といえる物語。

感想・レビュー・書評

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  • 真面目ってわるいことじゃない。
    なにを「真面目」とするのかにもよるけれど。

    ひたすらおなじ道しか見えていないような
    歩き方をしてしまうのなら
    「真面目」からうまくはずれる方法を
    覚えた方がいい。
    ただ自分が苦しいだけだから。

    ということに自分では気が付けない。

    ケンジもマサミもいいこと言ってると思うけど
    言い方が・・・
    桃子相手だから、その言い方では
    素直に聞き入れるのはむつかしい。

    そして佐野。
    最後でやってくれたね。
    読みながら発狂しそうだった。
    だめだめ、そんな男。

    かわいそうな人。
    すごくがんばっているのにもったいない。
    がんばっているからもったいないのか。
    幸せなところが見たかった。
    いや、でも桃子にとって幸せって
    なんなんだろうな。

  • この主人公…イライラするな〜と思いながら読んだ。結局自分がない事に気づくのが怖くて逃げ出したくて…最後に戻ってくるかと思いきや行ってしまった…さてこれからどうなるのやら?

  • 一冊で色々な感想が浮かんだ。
    苦しいともとれるし、面白いともとれるし、
    救いがあるとも、無いとも。
    桃子の清廉潔白を求める気持ち、何となくだけれど理解できる。
    何も成し遂げるつもりもなく生きることに一体何の意味があるんだろうと思ってしまう。
    家族にも、そして自分自身にも。

  • *31歳の桃子は実家暮らしで未婚。自分の中で培ってきた“ルール”を厳格に守り、家族や勤めている会社の人間にも一切スキを見せることなく暮らしている。ある日、桃子の携帯に弟の健太から2年ぶりに連絡が入る。子供の頃から迷惑をかけられっぱなしで、「一家の癌」だと思っている弟からの連絡は意外な内容だった…*

    読み始めてから、既読と気付く。が、当初の感想とは違う思いで読み終えました。行き過ぎの感はあれど、常にルールを守り、「正しく」生きている桃子が疎まれ、糾弾され、報われないことにやるせなさを感じた初読。今は、「正しいこと」は人の数だけ違うんだなと考えさせられた。ただ、最後の50ページ、スマートな佐野さんらしからぬダメ男っぷりや曖昧で唐突なラストは、取って付けたような違和感でがっかり。それまでの、飛鳥井さんらしい細やかな描写や展開が秀逸だっただけに、残念。

  • ある日、突然の電話。2年半ぶりに声を聞いた弟の健太だった。
    ちょっと寄ってみようかなぁと思っただけと言う
    家を出て6年もかえっていない健太が呼んでもないのに帰ってくると言う。
    何んなのだろう…。

    31歳の桃子は、実家暮らしで未婚。
    自分の中で培ってきた〝ルール〟を厳格に守り、
    家族や職場の人にも一切隙を見せる事なく暮らしている。
    「ある秘密」をのぞいては…。
    子供の頃から迷惑をかけっぱなしで「一家の癌」だと思っていた弟の健太が、
    突然彼女を家に連れて来た。
    彼女・雅美は桃子と同い歳であるのに、礼儀もなってなくて、とてもケバくて
    到底受け入れられる人物ではなかった…。
    そこから、次々と明らかになっていく家族の秘密…。

    行儀が良く、昔から優等生の良い子ちゃんで、自分のルールを決め完璧主義。
    その完璧主義が窮屈で息苦しくなった。
    家族であろうとそこから外れる人を許せず、人の悪い所ばかりすぐに見付ける。
    七年間続けてる会社の上司の佐野さんとの不倫は自分ルールを破っていないから
    良いと肯定する。そんな桃子に全く共感出来ず、痛すぎるなぁと思ってた。
    雅美の最初の登場は、さすがに常識のない子だなぁと思いましたが、
    出て来る度に印象が変わり、次第に雅美良いなぁ。大好きだなぁって、ファンになりました。

    桃子が桃子にとっての裏切りと思っている家族の行動や秘密を糾弾しようとした、
    家族の食事会で、意外にも家族皆から疎んじられているという事がわかっていく。
    ショックを受けて、家を飛び出した桃子。
    頼れる相手は恋人の佐野だけだったが、佐野からも突き放されてしまう。
    自分の信じていたもの、価値観が崩れていく混乱していく様の描写凄かった♪
    桃子が最後に辿り着いたのは雅美の元。
    親身になって桃子を思い、彼女の為に起こってくれる姿良かった。
    雅美と家族になる事で、桃子が変われると良いなぁって思った。

    あのラストは、どう捉えたら良いのだろう…?
    これから、桃子の世界が広がってゆく、変わってゆくであろう事を感じさせるラストと捉えたい…。
    「あなたは誰?」…答えって難しい…(๑・ .̫ ・๑)
    飛鳥井さんらしい繊細な描写。今回は擬音の表現がとっても良かった(*´˘`*)♡

  • 飛鳥井千砂さんの文庫になっている作品は全部好きで読んでいる。「学校のセンセイ」と「タニー・タニー・ハッピー」が好きで何度か読んでいて、他の作品も最初はもやもやするのに、最後はなんだかほっこりする作風がすごく好きだった。
    この作品は、今までの飛鳥井千砂さんの作品とは全く違っていてなんだか最後までもやってする。
    いつも飛鳥井さんの作品に出てくる性格が歪んでいるキャラも読み終わる時には好きになれるのに、今回は全然ヒロインの事好きになれなかった。
    あーでも義理の妹の雅美はなんだかいいキャラだった。

  • 31歳独身の桃子
    完璧主義で社会のルールを重んじ
    1度も破ったことがないと豪語しながら
    上司と不倫中。
    それこそも 相手の家庭には全く迷惑を
    かけていないのだからルールを
    犯したことにはならないと言い張る
    読んでいて痛々しくなるが
    最後の最後に思わぬ展開が…

  • うーん。なんか擬音がうざったかった。そういう技法なのかな?
    「あれになりたい、と、しっかりと意思表示をして、それになって行った。」
    「だって、怖い。自分で何かを望んで、何かになろうと思って、うまくそれになれなかったら?だったら、最初から今あるものの中にい続けたほうが。」
    最後の方のこの辺が好きだった。

  • 飛鳥井さんの作品。
    いつも心地よく読むけれど、この本は徐々にサイコ感を感じてくる内容。
    主人公がきっちりしたタイプではあるけれど、そのきっちりっぷりやルールが徐々に異常な感じに見えてくる、その自然な移行がすごいなあと思った。最後がまた怖い。

  • 面白かった。
    真面目すぎるが故に…
    というところだろうが、自分の事は棚に上げて、自分が作ったルールを周りに強いるのはただの我儘でしょう。
    最後の終わり方がなんだかちょっと面白かった。
    あれからどうなったのかなぁ

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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