UNTITLED (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
3.15
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本棚登録 : 403
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591135488

感想・レビュー・書評

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  • 真面目ってわるいことじゃない。
    なにを「真面目」とするのかにもよるけれど。

    ひたすらおなじ道しか見えていないような
    歩き方をしてしまうのなら
    「真面目」からうまくはずれる方法を
    覚えた方がいい。
    ただ自分が苦しいだけだから。

    ということに自分では気が付けない。

    ケンジもマサミもいいこと言ってると思うけど
    言い方が・・・
    桃子相手だから、その言い方では
    素直に聞き入れるのはむつかしい。

    そして佐野。
    最後でやってくれたね。
    読みながら発狂しそうだった。
    だめだめ、そんな男。

    かわいそうな人。
    すごくがんばっているのにもったいない。
    がんばっているからもったいないのか。
    幸せなところが見たかった。
    いや、でも桃子にとって幸せって
    なんなんだろうな。

  • 一冊で色々な感想が浮かんだ。
    苦しいともとれるし、面白いともとれるし、
    救いがあるとも、無いとも。
    桃子の清廉潔白を求める気持ち、何となくだけれど理解できる。
    何も成し遂げるつもりもなく生きることに一体何の意味があるんだろうと思ってしまう。
    家族にも、そして自分自身にも。

  • ある日、突然の電話。2年半ぶりに声を聞いた弟の健太だった。
    ちょっと寄ってみようかなぁと思っただけと言う
    家を出て6年もかえっていない健太が呼んでもないのに帰ってくると言う。
    何んなのだろう…。

    31歳の桃子は、実家暮らしで未婚。
    自分の中で培ってきた〝ルール〟を厳格に守り、
    家族や職場の人にも一切隙を見せる事なく暮らしている。
    「ある秘密」をのぞいては…。
    子供の頃から迷惑をかけっぱなしで「一家の癌」だと思っていた弟の健太が、
    突然彼女を家に連れて来た。
    彼女・雅美は桃子と同い歳であるのに、礼儀もなってなくて、とてもケバくて
    到底受け入れられる人物ではなかった…。
    そこから、次々と明らかになっていく家族の秘密…。

    行儀が良く、昔から優等生の良い子ちゃんで、自分のルールを決め完璧主義。
    その完璧主義が窮屈で息苦しくなった。
    家族であろうとそこから外れる人を許せず、人の悪い所ばかりすぐに見付ける。
    七年間続けてる会社の上司の佐野さんとの不倫は自分ルールを破っていないから
    良いと肯定する。そんな桃子に全く共感出来ず、痛すぎるなぁと思ってた。
    雅美の最初の登場は、さすがに常識のない子だなぁと思いましたが、
    出て来る度に印象が変わり、次第に雅美良いなぁ。大好きだなぁって、ファンになりました。

    桃子が桃子にとっての裏切りと思っている家族の行動や秘密を糾弾しようとした、
    家族の食事会で、意外にも家族皆から疎んじられているという事がわかっていく。
    ショックを受けて、家を飛び出した桃子。
    頼れる相手は恋人の佐野だけだったが、佐野からも突き放されてしまう。
    自分の信じていたもの、価値観が崩れていく混乱していく様の描写凄かった♪
    桃子が最後に辿り着いたのは雅美の元。
    親身になって桃子を思い、彼女の為に起こってくれる姿良かった。
    雅美と家族になる事で、桃子が変われると良いなぁって思った。

    あのラストは、どう捉えたら良いのだろう…?
    これから、桃子の世界が広がってゆく、変わってゆくであろう事を感じさせるラストと捉えたい…。
    「あなたは誰?」…答えって難しい…(๑・ .̫ ・๑)
    飛鳥井さんらしい繊細な描写。今回は擬音の表現がとっても良かった(*´˘`*)♡

  • 31歳独身の桃子
    完璧主義で社会のルールを重んじ
    1度も破ったことがないと豪語しながら
    上司と不倫中。
    それこそも 相手の家庭には全く迷惑を
    かけていないのだからルールを
    犯したことにはならないと言い張る
    読んでいて痛々しくなるが
    最後の最後に思わぬ展開が…

  • 間違ったことが嫌いで、厳格なルールを守り続けているアラサーの桃子。
    家を出ている、子供の頃からやんちゃで手のかかった一家の癌とも呼べる弟が、彼女を連れて帰ってきた時から、彼女の周りには不穏な空気が漂い始める。

    人の性格はそれぞれ。真面目な人がいたり、いい加減な人がいたり。
    人の価値観ももちろんそれぞれなので、私はあまり桃子を否定は出来ませんでした。
    初対面の時の雅美はやっぱり嫌だったし、母親が息子ほどのダンサーに援助してるなんて、許せないと思うし。

    ただ、その価値観を押し付けてはいけないのだと思います。
    たとえ家族の間でも。
    雅美が言っていたように、あなたはそれが好きなのねって笑って聞いてあげればいいのでしょうね。
    難しいかもしれないけれど。

    最後の展開は、桃子が痛々しくて心配になります。
    31年積み上げてきたものが崩れることで、彼女が壊れてしまうということは考えられるけれど、でも、もっと強い人だと思うので、是非立ち直って幸せになって欲しいと思います。

    雅美がいいですね、当初には考えられなかったくらい(笑)
    雅美と家族になることで、桃子が変われたらいいなと望みます。

  • 最後まで読んでよかった。主人公がダメでも、主人公のことは責めない主義。
    佐野さん最悪!って言ってくれる雅美がいてよかったね。てへへ、ありがとうって笑わなくちゃいけないのに、おーい、どこ行った?

  • [2014.10.16]

  • アシンメトリー以来かな、久々に飛鳥井千砂作品で後味悪い思いさせてもらった。
    小説を読む心地良さを求めるならこっちじゃなく「タイハピ」や「サムブル」を薦める。とはいえオモシロくないわけではない。この作品のあのラストの突き放しようはアリなんかなと思う。以下ダラダラと長文である。

    この作品、真面目とは何かを考える良いきっかけを与えてくれる。こっから先ネタバレしてしまうが、主人公は四角四面の真面目でしっかりもの、ルールやマナーや身だしなみや、その類のものは全て遵守することを当たり前とするような窮屈な31歳独身女性。
    唯一のルール違反ですら、彼女なりの規範とルールでがんじがらめに縛っての行動なんだから、その石部金吉っぷりは堂にいったものである・・・、その彼女の堅牢な世界に蟻の一穴から壊れていくさまを描き、最後は見事に崩壊するのだけど・・・

    俺は「昔はワルやったけど、今はすっかり更正して真面目になって、エラいねぇ」という評価があまり好きではない。更正した人は確かにエラいんだろうけど、実は昔からワルをせんとずっと真面目に生きている人のほうが絶対エラいと思うからだ。なぜかずっと真面目な人の評価は、オモロさだけでなくエラさにおいても低いのが腑に落ちないのだ。

    ケンカっぱやい人もいる、ハッチャける人もいる、呑み助もスケベもバクチ中毒もサボりも遅刻魔もいる。人間色々でそれぞれに魅力と弱さを持ってるんだけど、じゃぁ真面目で四角四面でしっかり生きてる人は魅力がないんだろうか?

    自分の行動規範をもつのは大切、それが真面目だったりストイックだったりするのは立派だし、だらしない俺でもいつかはストイックに生きてやると思ってはいるんだけど。その行動規範を周囲に押し付けるのはいかんなぁということである。不真面目なヤツが真面目なヤツに迷惑をかけているのと同様、真面目なヤツも不真面目なヤツに迷惑をかけているってことは十分にありえるんだから、真面目な自分は正義だと思わない方がいい。真面目でもストイックでもできるだけ周囲に負担をかけないよう、できるだけ自分の中で収束できる範囲でやるにこしたことはないな、とそんな風に思えた読後感だった。

  • 今まで読んだ飛鳥井さんの本で1番「強い」
    言い換えれば、きつい。重い。

    私には理解できない思いがたくさん出てくるけど、目が離せない。
    感情移入できないのにこんなに速く読めちゃうなんて珍しい。

  • もすこし前に読み終えてた。
    新作やっ!と、コーフンして、ずっとずっと読みたいと思ってた。
    えー?!んなあほなっ!な展開やったりしたけど、やっぱり面白くて読むスピードが止まらんところは相変わらず。
    飛鳥井さんさすが!
    次回作もとてもたのしみ。まだまだ目が離せない☆

著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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