真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591136249

作品紹介・あらすじ

午前3時――真夜中にオープンする不思議なパン屋さんに現れたのは、ワケアリ男女の二人組。居候女子高生の希実は、彼らが抱える不穏な秘密によって、不本意ながらも、またまた事件に巻き込まれていく。降り止まない雨の中、希実の過去に隠された謎が明らかに……。人気シリーズ第4弾!!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ4作目。今回は結構重め。
    従妹の沙耶を中心に次々と起こる事件。
    まさに一難去ってまた一難。
    オーナーの暮林は章を通じて不在になるのだが、これもまた秘密があって。
    ページ数以上になかなかのボリューム感な1冊でした。
    終盤は希実の悲しい過去の回想と、未来へ向き合う決意と。
    次のシリーズも楽しみです。

  • 読書中ずっとレモンとバターのいい香りに
    包まれつつ、また少しベールが薄く剥離した午前3時の
    いろんな事情を抱えた眠り姫たちのそれぞれ。

    失われていた希実ちゃんの記憶のフラッシュバック。
    レモンの木々の葉の隙間からこぼれる光、
    広がる青空、木漏れ日をうけてキラキラ光る睫毛。
    香りと結びつく記憶たち。

    楽しい記憶ではない意地悪な従姉妹"沙耶"ちゃんとの再会。
    癒えることのない漫然としたソフィアさんの孤独。
    未来にすがれず、逃げ込んだ思い出の記憶。

    世界は呪いでできている。
    幼い頃から親にかけられた呪縛、
    自分が自分に知らずにかけた呪縛、
    人との巡り会いの中でかけられた呪縛。

    毎日起きて、食事をして、働いて、笑い合う人がいれば
    日常に中に特別は必要ないほど愛おしく幸せに溢れている。
    空を見上げる理由をくれる人と、一緒に見上げてくれる人。
    誰かの傘になるパン屋の真相。

    楽しく美しく幸せな世界と、人の心の弱さと醜さと凶暴さ。
    それは同時に存在し、いつだってひっくり返る瞬間は傍にある。

    大切な人と一緒に食べるウィークエンドデニッシュのように
    冷たさと温かさが一緒になってほどけるように混じりあい
    ひとつなぎになっていく縁の魔法を感じた今作。

    人の手は繋ぐとちゃんと温かい。
    切なさを孕みつつ、次に希実ちゃんを待ち受ける
    展開が温かい赦しと救済の光になるといいな。

  • まよぱんもおもしろくなってきた。
    今回は希実の従姉妹が登場して、彼女の封印されていた過去が明らかになってきます。
    まだまだあるんだけどね、この人たち抱え過ぎ。
    今回は暮林さんの出番が少なかったけど、いちばん大事なカギはこの人が握っているのでしょう、おそらく。
    ついに、希実の母との再会...!というところで終わってしまい、次巻が待ち遠しいです。

    希実ちゃんがどんどん愛おしく思えてきて、弘基がますますいい男に。
    相変わらずパンがおいしそうで、アイスデニッシュすごい食べてみたい。

  • シリーズ4作目。
    希実のいとこ・沙耶が突然現れて、ブランジェリークレバヤシの面々共々また面倒ごとに巻き込まれる。色々と背負ってしまっている沙耶の印象、最初と最後ではだいぶ違うな。「世界は呪いで出来ている」とある意味達観している18歳の沙耶、その呪いを解いてあげた希実がすごい。
    希実の過去が一冊の中で少しずつ明らかになっていった。次巻では暮林が夏休みの間何をしていたか分かるのかな?

  • レモンソースのアイスデニッシュとか、めっちゃ美味しそうー。
    夏祭りに女子高生の浴衣姿なんてものはもちろんなく、あるのはイケメン定員のヒョウ顔柄の浴衣とゆうとこ、斬新!!!
    幼少時の希実の環境はほんとにひどいものやし、美和子さんとの記憶を失った経緯もそうとうやけど、どこかに救いがある気配を感じて読めるので、安心。

  • 真夜中のパン屋さんシリーズ第4弾。次第に希実の生い立ちが明らかになってくる。辛く思える環境にも楽しいことはあるし、楽しそうに見える中にも闇を抱えてることもある。どんな環境でも、おいしいものを大事な人たちと食べられることは幸せなんだなぁ。

  • まよぱんシリーズ4冊目。
    楽しくて、楽しみで、かなりのハイペースで読みふけっていた。

    今回もやっぱり家族がテーマになっている。
    ブランジェリークレバヤシに転がりこんできた希美の従姉妹。
    その彼女と希美の過去、関係性などを折り込みながら、彼女たちが抱えてきた苦しみが表面化して……。

    子供から見た親の愚かさ、家族であろうとしなければならない義務、躾とされる暴力。
    子供もまた親になる必然。
    そのときに思う親としての気持ち。
    苦しさが分かるだけに辛く、重かった。

    でもやっぱりヒロキが焼くパンに救われて。
    クレさんの微笑みも無条件に優しくて。
    希美の芯の強さにも憧れて。

    近くにブランジェリークレバヤシがオープンすればいいのに、と思う。


  • パン屋に集う人たちは、みんな心優しくあたたかい人たちばかりだ。
    でも、その優しさの後ろには過去に経験してきた痛みや哀しさが隠されている。
    ソフィアの笑顔にも、暮林や弘基の笑顔にも、希実の笑顔にだって過ぎてきた哀しい時間が隠されている。
    人を思うただ大切に思えばいいことなのに、どうして人は間違えてしまったりするんだろう。
    中には「誰かを大切に思う」こと自体が苦手な人もいるかもしれない。
    もしかしたら、「誰か」よりも「自分」が先に来てしまう人だっているだろう。
    どんなに愛情があったとしても、いつだって後回しにされていたらいつかその愛情だって感じられなくなってしまう。
    家族を守るため…それって都合のいい言い訳でしかない。
    結局は自分の居場所を守るため、自分がいつでも帰れる場所をなくさないため。
    激情に駆られて子供だった希実にしてはいけないことをしてしまった律子。
    どんなに後悔しても無かったことには出来ないし、時間を戻すことも出来ない。
    ほんの少しだけ大人になった希実が、自分を冷静に見つめることの出来るようになっていて良かったと思う。
    大切だからこそ臆病になる。
    優しいからこそ遠回りをしてしまうこともある。
    でも、「パンはいつでも誰にでもおいしい…」。

  • 真夜中にオープンする不思議なパン屋さんに現れたのは、ワケアリ男女の二人組。居候女子高生の希実は、彼らが抱える不穏な秘密によって、不本意ながらも、またまた事件に巻き込まれていく。降り止まない雨の中、希実の過去に隠された謎が明らかに…。人気シリーズ第4弾!!

  • 今回のストーリーは暮林が不在中のお話なので、いつもよりすこしお話に温かみにかけるかなぁと思いました。
    でも、その分いつも守られているのぞみの弱い部分が丁寧に描かれていて面白かったです。

    2014.9.7

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著者プロフィール

1975年、岐阜県生まれ。2005年に「ゆくとし くるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、小説家としてデビュー。『真夜中のパン屋さん』で注目を集める。

「2019年 『路地裏のほたる食堂 3つの嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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