先に読んだ「グラビアの夜」と似たような印象の本。
軽くさらさらっと書いてあるという印象で、何も残るものがない。
読みやすいと言えば読みやすいけど、あまりに内容が薄い。
安直なストーリーに人物設定。
適当にきれいにおさめたような結末。
主人公は中学生の女の子だけど、いくら何でもここまで幼いかね?と思う。
昔の林真理子さんの書く中学生はもっと大人っぽかったと思う。
時代に合わせてちょっと落としてみたというのが見て取れた。
主人公は学校の劇で主役をした事により、演技の面白さに目覚めた中学生の女の子。
彼女は親に頼んで劇団に入団。
演技の勉強を始め、映画のオーディションを受け、出演する事が決まる。
その間、彼女が劇団に入った事を妬んだクラスメートからイジメにあい、一時は劇団をやめようとしたり、彼女が劇団に入った同じ頃、従妹の美少女がスカウトされて順調にタレント、女優の道を進んだり・・・と色々あり、さらに、彼女が出演した映画がオシャカになるという事態にー。
彼女は従妹に頼んで、CMのスポンサーにかけあってお金を集めようとする。
何か、どこに焦点を置いてるのか分からないような話だと思う。
ごった煮みたいに色んな事があって、イジメ、映画の資金難、劇団で演技を学ぶ自分ととんとん拍子にCM出演が決まる従妹との対比など。
どれもありそうなよう話を盛り込んで盛り上げようとしているのが分かるけど・・・。
あまりに短期間に色々ありすぎてちょっと安直すぎると思う。
ありそうなのに、ありえないような話になってしまった。
主人公が映画のプロデューサーになって・・・というくだりはそこまで熱心に・・・という感動という話でなく、ただぶっとんでるという印象だし・・・。
林真理子さんは上手で器用な作家さんだから、臨機応変に時代に合わせて小説を書いているけれど、それがはっきり見えて白けてしまった。