翔ぶ少女

著者 :
  • ポプラ社
3.59
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137277

感想・レビュー・書評

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  • 阪神淡路大震災大震災から復興の十年間のある家族のお話。

    イッキ、ニケ、サンクの三きょうだい(兄、姉、妹)は震災で父と母をいっぺんに失ってしまいます。
    そしてニケは片足を怪我して、不自由になります。
    ですが三人とも、その時に助けてくれた医者の「佐元良医院」のゼロ先生の養子となり、一緒に暮らしていきます。

    話は、震災のあった朝から始まります。
    私も先日、東日本大震災でやはり被災して、避難所生活を経験したという友人と、数年ぶりに再会して、その時の様子などを聞いたその日の夜から、この本を読み始めたので、まるで他人事とは思えませんでした。

    ゼロ先生と三きょうだい、由衣らの交流はあたたかく、感涙にたえませんでした。
    こんなあたたかいかかわりの人々ばかりだと、本当に世の中もよいものだと思いますが、実際には、大変な気苦労をされた方がやはり大勢いらしたのではないかと思います。

    でも、このお話は、本当にいいお話で、こんな物語が創られたことに感動を覚えました。
    まだ、帰宅できずに生活していらっしゃっる方にも勇気を与えてくれる本ではないかと思います。

  • 久しぶりに涙腺の刺激された作品。
    主人公の背中に羽が!現実にはあり得ない現象だけど、愛する恋人のもとへ、あるいは、かわいいわが子のもとへ、飛んでいきたい一途な気持ち、その象徴が羽ではないか。
    SF小説ではないが、十分納得できる展開。

    心の病気を治すのが、心療内科=ゼロ先生。
    心に灯りをともすのが、原田マハ。

  • 泣いた、泣けた。
    ニケの切なさに、純粋さに。
    ゼロ先生の優しさに、男気に。
    至る所で涙が零れて仕方がなかった。

    阪神淡路大震災で被災し、両親を亡くした三兄妹の物語。
    主人公ニケの幼い関西弁が、そのやるせない心情を見事に表現している。
    心と体に深い傷を負ったニケ。
    でも、そこに現れたスーパーマンのような優しいおっちゃんゼロ先生。
    そして、ニケの他人を思いやる純粋な気持ちが奇跡を起こす。

    “大丈夫、翔べるって。
    こうしてな、こうして・・・・・・ほうら。
    翔ぶねん。“

    原田マハ、何でも書けるんですね。
    その抽斗の多さに脱帽です。

    • mizunikatamukuさん
      リフォロー有難うございます。
      こちらこそ、宜しくお願い致します♪
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      2014/03/16
  • 神戸市長田区の阪神大震災の日から始まる物語。

    新聞の書評を読んで、手に取ってみる。
    だから阪神大震災の話だとわかっていた。
    わかっていても、やはり読むのに勇気がいる。

    ファンタジーありーので、子どもには読みやすいのかも。

    登場人物の名前は原田マハさんならではのこだわり、なんでしょうね。
    きっと、サモトラケのニケが出てきて
    ゼロ、イチ、ニ、サンとなったんだろうなぁ。と
    勝手に想像。

    しかし、目の前で、地震で倒壊した家に押しつぶされて
    おまけに火事で炎が襲ってくるなか
    生きているお母さん、お父さんを置いて、逃げなければならなかった
    子どもの気持ちを思うと
    辛すぎる。
    ファンタジーでもなければ辛すぎる。
    現実にはファンタジーはないのだけれど。

    あの、街がぜーんぶ焼けてしまった長田の街を思い出す。

    小さな子どもが、一生懸命生きようとするけれど、
    やっぱり辛くて、お父さんお母さんの所に行きたいと思うのは
    ごくごく当然で、
    頑張って、頑張って、頑張っている姿を思うと

    もう、たまらなくなってしまう。
    泣かないページはなかったかも。

    パンを焼いとう時のにおいとか
    一生懸命、生きとう子どもたちとか
    何やっとん!と思とうこととか
    完璧な神戸弁の再現でした、素晴らしい、嬉しい。

    ありがとう、マハさん。

  • 2018.5.1-

    「逃げも隠れもせん、言い訳もせえへん。面と向かって、きちんとあやまる。男やな。かっこええぞ、陽太」

    「お医者さんになるには、ぎょうさん本を読むこと。小説でも歴史の本でも漫画でも、興味のある本を、どんどん読んだらええ。それから、いっぱいいっぱい友達と遊ぶこと。友達が悩んでいたら、どうやってその悩みを解決したらいいか一緒に考えてあげる。逆も、一緒に考えてもらう。そんな風にしたらええ」

    こんな大人がそばにいたら、きっと子ども達はを自分を大切にできるんだと思う。

    私も、伝えたいことを目を見てきちんと伝えていこう。

    涙をこらえきれなかった場面が沢山あった。佐々木のおばちゃんの話は心臓がぎゅっとなった。

  • またもや内容を知らずに読み始めて、頁をめくる手が止まる・・・う、震災の話だったか。。。
    いずれにしても読むのですが、だから知らずに読み始めてしまった方がいいのですが。

    心を決めて読み進めるが、また止まる・・・え?そっち系の話!?(そっち系ってどっち系だか知りませんがw)

    それでも懲りずに読み進める・・・ふむ、書かれてあった非現実的な出来事は棚上げにしてよい感じの希望と救いと、思いのこもった物語でしたね。

    受け止め方は様々かもしれませんが、ご一読をお勧めいたします♪

  • 神戸の震災で大事な人を亡くした3兄弟と一医師が一緒に立ち直ろうとする姿勢に涙がこみあげてきた。
    両親を亡くした幼い3兄弟がどんなに心細い思いをしたかと思うと、胸が押し潰されそうになるが、救いの手があったことにホッとする。
    また、途中から”羽が生える”という非現実的な事が描かれていたが、大切な人に会いたいという思いが、羽を生やしてでも飛んでいきたい、となっているのだと素直に受け止められた。

  • 神戸の大震災で両親を失った三人兄妹、イッキ、ニケ、サンク。真ん中の女の子のニケが主人公。
    希望を失わすに、前向きに生きる人々。
    わかっていても、涙腺崩壊ですね。

  • 最初の地震のシーンからグッと心を持っていかれた。
    この時、私はまだ産まれてなくて、授業で習った程度だったけど、情景が浮かんできた。
    両親を亡くした3兄弟とゼロ先生が一生懸命生きていく姿が印象的で、何度も涙がこみ上げてきた。


  • 心がきゅーっとなると同時に、
    心が洗われていく作品。

    震災孤児となってしまった3兄妹が
    養子として引き受けてくれたゼロ先生と共に
    成長していく物語。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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