紙の本は、滅びない (ポプラ新書 018)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137420

感想・レビュー・書評

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  • 著者はジュンク堂の店長で、書店の立場から見た出版業界の現状について綴られています。
    電子書籍、アマゾン、図書館など、様々な観点が盛り込まれており、出版業界の状況を立体的に掴むことができます。何よりも、その文章から著者の書店員としての熱い思いが伝わってきました。

  • 書店ガールの(確か)あとがきで出てきた本書のタイトルに興味を持って読んでみた。
    そして、思ってたよりもかなり難しい内容の本で、読むのに時間がかかってしまった。。まさかこんな学術的?な内容だとは。書店員も特に有名になるような人は、インテリなんだなぁと本の内容と関係ない感想がまず思い浮かんでしまった。
    しかしいずれにせよ、紙の本派の自分としては、共感できる部分も多くて。これからも本屋での出会いは大事にしたいと思ったのでした。

  • 読み終えていちばんに思ったこと。通勤時間などの空き時間に少しずつ読んでいたので、正確には読み終える直前、本の最後のほうにきて文字通りハンマーで頭を殴られたように感じたこと。
    それは、自分は最近、図書館という職場や組織のあり方、行政サービスのなかでの図書館、図書館で働くということ、といった「形」のことにばかり目が向いていたけれど、図書館員として地域のニーズを把握し、来館者や棚をみて選書・蔵書を構築し…ということをここ数年、全然していないということだ。団体貸出担当になったあたりからだろうか。愕然。
    福嶋氏が述べるように、書店の書棚がそれほどに考え抜かれてできているなんて知らなかった。いや、そうあるべきだと考えられている、ということも知らなかった。
    でも図書館の棚はそうあるべきだ。でも、実際自分は今それをやっていない、図書館員としていちばん大事なことを自分はやっていない。ぐるぐる。うちくらい大きな規模になると、市立図書館ではチームで仕事、役割分担は当たり前、仕方のないことではある。しかし、奇しくも先日、研修報告した二人が「蔵書を基盤とした図書館サービス」にいちばんに触れたことは偶然ではあるまい。自分も、そして現場も今それが十分にできているのか?

  • 紙の本は、道具がなくても読める! 自分には当たり前すぎて、今までその強みに気が付きませんでしたが、確かにそうです。
    電池も充電もいらないし、紙がボロボロになるまで読めます。多分、今日私が買う本は、私が死ぬまで大丈夫。
    でも、今使っているウィンドウズ7は、あとどれだけ命を永らえるでしょう。もはやフロッピーが使えるパソコンは絶滅危惧種だし、果たして10年後に、今ある電子ブックは読めるのでしょうか??
    読み捨てられる情報なら、紙に印刷する必要はありません。でも、いつまでも持っていて、いつでも戻って来たい世界がそこにつまっているなら、紙の本という器はどうしても必要です。
    紙の本は滅びるという人は、心の宝物たる著作に出会って来なかったのだろうと思います。気の毒なことです。
    紙の本には典拠性があるが、いつでも書き換え可能なweb情報にそれはないとか、もっともな滅びない理由が書かれています。
    しかし、紙の本のよいコンテンツが増えない限り、書店の返本の山は減らないでしょう。滅びないけど栄えないという、右肩下がりが続く予想も成り立つのがつらいところの、「紙の本は滅びない」でした。

  • このデジタル社会において、「紙の本」の意義とは何なのだろうか? そして、図書館の意義は・・・。
    日頃考えていた問いに対する手がかりになるヒントがいっぱい詰まった本でした。
    「紙の本」の大切さを認識すると同時に、それに甘えずにデジタルに対抗する努力もしていかなくてはいけない、と思った。

  • 確かに、デジタルの本は今は読めるが、10年後読めるのか?アプリが存在するのか?紙の本なら、100年後も確実に読める。

  • ここまで立体的に本と本屋のこれからを考えている人がいる。
    電子書籍やネット通販に喰われ続ける「紙の本」だけど、その存在意義をきちんと捉えて、本屋としてのこれから何を成すべきかを示唆してくれている。
    まだまだ勉強が足りないなと思った。
    もっと勉強して、もっともっと考えなければ。

  • 第一章は、紙の本が電子書籍に乗っ取られることがないと論じていて、第二章と第三章はAmazonに侵食されつつある書店がいかにして生き残るかについてふれてありました。
    この本を読んで、私は本棚というものの素晴らしさに気づきました。
    本の中で著者は、本棚とは自分の精神と社会との距離を可視化するものであると述べています。
    つまり本棚は、自分の性格や考え方の象徴ともなりうるということです。
    今まで自分は本は図書館で借りてくるから本棚はいらないと思っていましたが、本と本棚を買ってみようかと思いました。

  • 確かに本は滅びないと思うし無くならないでほしい。
    電子書籍と違い本には個数の限りがある。そういう面では定価より価値が出る本もある。
    著者は本屋の店長経験から危機感を感じているとは思う。アマゾンは赤字を恐れず、まず覚えてもらうなど大胆な展開ができている。IT企業は学校の授業にタブレットを使用させてようと積極的な動きを行っているにも関わらず、出版社は動きが鈍いようにも感じる。
    再販制度を柔軟性を持たせる形で改正することになった場合、出版社の再編が始まるのではないかと思う。

  • 現役の書店人の方が綴る「紙の本」への存在意義。デジタルコンテンツではなく、本屋・図書館に並べられる本の必要性・影響力・優位性・・・。本の置かれている地位や世情、紙の本を売る意義が熱い思いと共に書かれており、著者の書店人としてのプライド・本への愛も伝わる本です。
    自分もデジタルコンテンツ・電子書籍は好きではなく、やはり『データ』を読むより『本』を読みたい。本屋も大好きです。何事も1と0で分けられるものじゃないし、偶然の出会いがあるのはてっとショップの中ではなく、書店の中だと思います。
    これからも書店が書店としてやっていくためにも、少しでも書店に足を運び本を買おうと思いました。

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著者プロフィール

福嶋聡(ふくしま・あきら)―書店員。1959年、兵庫県に生まれる。京都大学文学部哲学科を卒業後、1982年2月ジュンク堂書店に入社。仙台店店長、池袋本店副店長などを経て難波店に。2022年2月まで難波店店長をつとめる。学生時代は俳優・演出家として演劇活動に没頭した。著書に、『書店人のしごと』『書店人のこころ』(以上、三一書房)、『劇場としての書店』(新評論)、『紙の本は、滅びない』(ポプラ新書)、『書店と民主主義』(以上、人文書院)、共著に『フェイクと憎悪』(大月書店)、『パンデミック下の書店と教室』(新泉社)などがある。

「2024年 『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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