([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

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著者 : 大島真寿美
  • ポプラ社 (2014年2月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137710

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([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)の感想・レビュー・書評

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  • ハードカバー版を読んだ時のうっとりとした感じは相変わらずで、再読してもじーんと感動した。

    刻々と、けれどしっかりと移りゆくヴェネツィアの物語を紡ぐのは、中年(いや、老年?)の女性たち。
    それも、身分や境遇の大きく隔たった女性たちが、作曲家ヴィヴァルディを囲む点として現れては、やがて線となり、事態を大きく動かしていくのが面白い。

    女性は言葉がなくとも、何をかいわんとする所を通じ合わせる不思議なシンパシーを持っている。
    けれど、それは青春期には大成しない。

    生きていく中で、心に溜めこんできた様々が、出会った瞬間「それ」と感じ合える不思議さ。

    これは、
    冬の話で。
    夜の話で。
    裏側の話なのである。

    表舞台をせわしなく駆け回っているのは、男性たち。

    けれど、エミーリアを乗せて、ヴェネツィアの街を往くゴンドラを想像するだけで、ぞくぞくしてしまう。

    決して彼女たちが裏側にいるのだと感じさせない、生き生きとした動きがある。

    私の中での名作である。

  • ヴィヴァルディ先生(実在してた)との関わりのある(架空の)女性たちの交流が描かれていました。
    フィクションだけど、本当にあった話かのように思えた。ラストのシーンが一番感動を覚えた。
    偶然のつながりも大切だなと感じた

  • タイトルのイメージで何か宗教的な要素でもあるのだろうかと勝手に思っていたら、全然関係なかったです。ヴェネツィアに実在したピエタ慈善院という、孤児院(今でいう赤ちゃんポスト的な場所でもあったようです)で育った娘たちと、彼女らに音楽を教えていた作曲家ヴィヴァルディにまつわるお話。

    主人公はピエタで育ったエミーリア。そして彼女と同じくピエタで育ち双子のように仲が良かったアンナ・マリーア(実在のヴァイオリニスト)や、薬屋に嫁いだジーナ、貴族ながらピエタでヴィヴァルディ音楽を学んだヴェロニカ、ヴィヴァルディに可愛がられゴシップの元にもなったアンナ・ジロー(実在の歌手)とその姉、そしてヴィヴァルディに愛された高級娼婦のクラウディアなど、ヴィヴァルディと所縁のある女たちが、ヴィヴァルディの死後、彼の思い出やヴェロニカが探している楽譜をきっかけに関わりあってゆきます。

    導入部の鮮やかさと、楽譜の謎が明らかになったときのカタルシスは素晴らしかった!楽譜の件の解決がこの作品のキモだとしたら、真の主役はエミーリアよりむしろヴェロニカとゴンドリエーレ(ゴンドラ漕ぐ人)のロドヴィーゴだったかもしれません。あとヴィヴァルディ先生のことは好きになりました。今後ヴィヴァルディの音楽を聴くときの気持ちはちょっと変わると思う。

    最後まで一気に読めたし、仮面舞踏会のきらびやかなヴェネツィアが舞台というのも素敵でしたが、細かい部分でご都合主義的な展開や端折りがあるのはちょっと気になりました。前半で大親友扱いだったアンナ・マリーアが後半まったく登場しなくなったのもなんだかな。

    冒頭でエミーリアは45歳、そこから10年以上の時間が作中で流れているはずなのに、読者にはその年月の重みがあまり伝わらないのも勿体なかったし、エミーリアの行動は年齢のわりに少々幼い部分も多かったような(だからこそ年齢を気にせず読めるというメリットもありますが)。あと、丁寧語や敬語の使い方がくどいのも少し気になりました。「お妹さん」って、なんかおかしい気がする・・・(「お弟さん」とは言わないし)。

  • とても余韻の残る素晴らしい作品です♪舞台はヴェネツィア。ピエタ慈善院で育った女性のお話です。あの作曲家のヴィヴァルディの訃報からお話が始まります。楽譜探しから色々な人達にお話が繋がっていき、泣いてしまう所が多々ありました。女性三人で語り明かした夜など素敵な場面も多くあります。主人公が昔ピエタを抜け出し、一緒に過ごした人とのお話もとても切ないですが良かったです☆顔も知らなくても魂そのものが触れていて強く愛せたのも素敵でした!最後も感動的です★お気に入り♪

  • 水の都ヴェネツィアを舞台に、孤児院でヴィヴァルディの音楽を心の支えとして育った少女の半生を、彼女を取り巻く女たちの人生とともに淡彩で描いた作品。

    ちいさな鳥かごのように彼女らを束縛するその都市から、いつか飛び立とうと思いつつも飛び立てずにいる「小鳥たち」の苦悩と葛藤。彼女らの自由への渇きは、はたして癒されるのか。。。最後のゴンドラの情景はうつくしい。軽い羽毛を手のひらで包むようにして、静かに、大切に読みたい物語である。

  • とってもよかった!
    淡々としているようで、いろいろな人の人生が交錯する物語にぐいぐい引き込まれる。
    それこそ音楽のように、流れるような文章。
    登場人物それぞれの人生に思いを寄せられたのは、自分の今の歳のせいかもしれない。
    物語の終わりもとても美しいものでした。
    映画になったらきれいだろうな。

  • 子どものころ、NHKで日曜の夜によくやってたアニメを見ているようだった。異国のまったく知らない世界。名前に音引きが入ってる、それだけで憧れたような。

  • 単行本は図書館で借りて読んだのですが
    とても面白くて、好きだったので、文庫は迷いなく買いました。
    2012年の本屋大賞で3位でした。

  • なんとなく、翻訳モノのような雰囲気。
    穏やかで静かでファンタジーっぽくて、文章のせいなのか、なにか児童文学を読んでいるような。
    雰囲気はすごくよかったのだけれども、なんでだろう、なにかもの足りなかったというか。美しすぎるというか。
    世界や人生がこんなふうだったらいいかもしれないけれど、これはおとぎ話、と思えてしまうような。
    うーん。

  • 18世紀の作曲家ヴィヴァルディと、彼を慕う何人かの女性たちを巡る物語。

    ヴィヴァルディの死から物語が始まるのだけれど、感傷や感慨に浸るのではなくて、
    むしろそれをきっかけにして、主人公の世界が広がっていく感覚が心地よかった。
    失われた幻の楽譜を探すうちに彼女がどんどん積極的になって、行動的になって、
    気付けば彼女は晴れた空の下、ヴェネチアの河に浮かぶゴンドラに乗り、穏やかな波に揺られ、
    昔話を語り合える友と一緒に歌を口遊んでいた。
    まるで死んでしまった作曲家が彼女を連れ出して導いたみたいに。

    物語の傍らにはいつもヴィヴァルディの音楽が流れていて、ゴンドラを運ぶ水の音が聞こえていた。そして「ピエタの娘たち」の話し声も。
    「音」が「空気の振動」であるのならば、彼が作った音楽も、彼女たちが息をしたその空気も、きっと今でも、私たちのすぐ近くにあるはずだ。
    とても暖かい小説だった。

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