([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137710

感想・レビュー・書評

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  • クラシックコンサートへ行く道中読むために購入しました。
    スイスイ読めてファンタジーの世界に行ける本だと思います。夜寝る前の読書にピッタリでした。

  • 18世紀のヴェネチアにあった孤児院「ピエタ慈善院」、ここで音楽を指導していたのがかのヴィヴァルディ。そのヴィヴァルディがオーストリアウィーンで亡くなったことから物語が始まる。

    主人公はピエタの事務方のエミーリア、現役の演奏家、貴族の娘、高級娼婦、薬屋の妻…教え娘たちがヴィヴァルディの失われた譜面を探していく中での交流や、日々の生活を描写する。

    凋落するヴェネチアと比例するように運営が苦しくなっていくピエタの描写、次第に行き詰まる雰囲気の中、楽譜の謎が解けた時に、重苦しさが一挙に吹き飛ぶような感動のクライマックスを迎える!

    むすめたちよ、よりよく生きよ!

    ゴンドラに乗って舵主の口ずさむカルツォーネを聞きたくなってしまった。ゴンドラなんて遊園地のそれ以外乗ったこともないのだが…。

  • 小川糸さんがおすすめされていたのをきっかけに、読んだ。読後1番の感想は「とってもよかった…」

    好きなシーン
    ・アンナ・マリーアが子守歌を歌うところ
     →心がぽかぽかする

    ・グラウンディアとヴェロニカが初めて会うシーン
     →明日からの人との出会いに、胸が高まるような感じ。クラウディアさんの聡明さ、美しさが本当に素敵。見習いたい

    ・エミーリアの好きだった人への想いについて、クラウディアさんが言うシーン。
     →人を好きになるということについて、教えてくれる

  • どのシーンを切り取っても1枚の絵画になるような慈しみ深い物語。ヴィヴァルディ先生やピエタの娘たちを中心に緩やかにのびてゆく水流を、ヴァイオリンの音色を聴きながら、ときおり唄をくちずさみながら、私たちを乗せたゴンドラは進む。いとしい友人たちとのかけがえのない出会いと別れを繰り返しながら、いっしょに祈りながら、ゆっくり進む。

    いま世界中そこここで先生の音楽は生きている、と中庭で弦を楽しむ彼女らに思いを馳せる。胸に残る1冊。

  • ヴィヴァルディ先生の周りの人々の物語。話が進むにつれて、面識のなかった登場人物が繋がっていって、ヴィヴァルディ先生を囲む輪のようになるのが感じられて面白かった。エミーリア、ヴェロニカ、クラウディアの3人の夜のシーンがとてもよかった。私も3人と一緒に思い出を共有したような気持ちになり、その後のストーリーにぐっと引き込まれた。最後のシーンは絵のように美しかった。
    途中でしばらく読むのを中断してたので、ところどころ前のページで場面を復習しなければならなかった。一気に読むべきだった、残念…。

  • よろこびはここにある。
    思わず涙腺が緩み、ラストへと進む。緩やかに。緩やかに。

    人生において、人は誰もが主人公と言われる。
    でもそれは、人と人を繋ぐ役割の人の存在が、それぞれのストーリーをドラマティックに、深みのあるものに導いて行くのだと気づかせてくれる。

    エミーリア、クラウディア、ヴェロニカ、ジーナ、アンナ マリーア。

    昨日より、今日より、明日より、
    よりよく生きよと、皆が語りかけてくれる。
    大切にしたい素敵な一冊。

  • ヴィヴァルディ先生(実在してた)との関わりのある(架空の)女性たちの交流が描かれていました。
    フィクションだけど、本当にあった話かのように思えた。ラストのシーンが一番感動を覚えた。
    偶然のつながりも大切だなと感じた。

    2015.1.3(1回目)

  • 18世紀の作曲家ヴィヴァルディと、彼を慕う何人かの女性たちを巡る物語。

    ヴィヴァルディの死から物語が始まるのだけれど、感傷や感慨に浸るのではなくて、
    むしろそれをきっかけにして、主人公の世界が広がっていく感覚が心地よかった。
    失われた幻の楽譜を探すうちに彼女がどんどん積極的になって、行動的になって、
    気付けば彼女は晴れた空の下、ヴェネチアの河に浮かぶゴンドラに乗り、穏やかな波に揺られ、
    昔話を語り合える友と一緒に歌を口遊んでいた。
    まるで死んでしまった作曲家が彼女を連れ出して導いたみたいに。

    物語の傍らにはいつもヴィヴァルディの音楽が流れていて、ゴンドラを運ぶ水の音が聞こえていた。そして「ピエタの娘たち」の話し声も。
    「音」が「空気の振動」であるのならば、彼が作った音楽も、彼女たちが息をしたその空気も、きっと今でも、私たちのすぐ近くにあるはずだ。
    とても暖かい小説だった。

  • 明後日プロデュースのこの作品を観たいとチケットを取り、事前に読むのがいいのかどうかと迷いながらも読むことに。
    配役はどうなるのかと思って読み始めたが、エミーリアがキョンキョンだろうとあたりを付けていたらやはりそう。

    途中、彼女のこの作品の舞台化にかける思いも知ることになり、クラウディアとエミーリア、ヴェロニカの3人の絆を深めた夜の場面で一気に高揚して読み進んだ。

    今、自分が置かれている状況、抱えている感情を大きく包み込んでくれる素晴らしい作品だった。
    読んでよかった。この感動を胸に舞台を観る。
    本多劇場でかつて小泉さんの作品を観た時、ものすごい空気に包まれて放心してしまい、会場を出てもしばらく会話ができなかった…苦しいほどに。

    奇しくも今回の席は一番後ろの一番端っこ。いいんじゃないかなぁ。とても。


    そんな気がしてならない。

  • 今まで読んだ大島真寿美の中でベストでした

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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