- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591137710
感想・レビュー・書評
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昔のベネチアを想像しながら読みました。
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18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で“合奏・合唱の娘たち”を指導していた。ある日、教え子のエミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。一枚の楽譜の謎に導かれ、物語の扉が開かれる―聖と俗、生と死、男と女、真実と虚構、絶望と希望、名声と孤独…あらゆる対比がたくみに溶け合った、“調和の霊感”。今最も注目すべき書き手が、史実を基に豊かに紡ぎだした傑作長編。2012年本屋大賞第3位。
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慈善院で育った女の子とヴィヴァルディ先生の話。
うつくしい音楽がきこえてくるような話だった。 -
ヴィヴァルディの時代の彼に関わる人たちの小説。
泣いた。
例えが悪いかもしれないが、自分の中では劇団ひとりの陰日向に咲く以来の意外性だった。はっとさせられた。 -
ヴィヴァルディ先生と生徒、ヴェネツィアの光と闇を描いた物語。題材が題材だけに音楽の描写が美しいです。
途中はこの物語はどういうふうに着地するんだろう、と思っていたんだけど個人的には最後の描写がとても好きで、ストンと心に落ちた終わり方でした。でも人によっては好き嫌いがあるかも。
どんな偉人でも平凡な日々を愛していて、愛されたくて、間違えながら人生を歩むただの人間なんだよと、あからさまではないけれど愛に溢れた物語でした。 -
18世紀のヴェネチアを舞台に、孤児院で育った女性たちとヴィヴァルディと街の人々の愛と友情を描いたもの。悲しい話も多いし、貴族の腐敗などヴェネチアの嫌な部分も見え隠れするのだが、不思議と清々しく綺麗な印象。孤児院という一つの小さな特別な世界で生きた人々のつながりや、その人々に音楽という生きる力を与えたヴィヴァルディとの友情や愛情、街の人々の生きる姿勢などがしみじみと心に残る。何か「とても大事なもの」を共有した仲間しか持ち得ない感情や絆を強く感じる。自分にとっては大学の寮、故郷、家族なんだろうな。
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静かな人の繋がり。起伏が少ないが退屈はしない話。小説家の技量が高いという事か?
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女性版ギムナジウムものといった趣を持つ群像劇。舞台であるヴェネツィアも登場人物たちの人生も黄昏時を迎えているが、陰惨さをまるで感じないのは、堅実さと冒険心を併せ持つ主人公の語りによるところが大きいだろう。最後は伏線もきれいに回収されて、清々しい読後感が残る。
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とにかく文章が美しく、一気に世界観に引き込まれる名作です。まるでヴェネチアの街並みや人物の顔が浮かぶような、表現にやわかな膨らみがあるような本でした。ここまで美しい作品を読んだのは本当に久しぶりです。
40代に差し掛かった女性たちの人生を、波乱万丈であったり、平穏であったり、恵まれていながら孤独であったり、そういった差異を優しく描いていて、過去の追想や記憶などの小さな設定が綺麗にラストへと撚られていく緻密さに感動しました。
解決することばかりではないし、分からないこともあるけれど、それも含めて人生なんだなぁとしみじみと余韻に浸ることの出来る作品です。