([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

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  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137710

感想・レビュー・書評

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  • ひとつの楽譜の行方を巡って、人間関係がつくられたり紐解かれたりする美しいお話でした。

    音楽家の死をきっかけに、登場人物が共通の話題を持ち共感しあっていく過程が、時代も国も違うけれどもなんだか分かる気がしました。今の時代も、誰かが亡くなることで強くなる結びつきや縁があるなあと。ラストの歌のシーンはグッとくるものがありました。

  • 有名な作曲家のヴィヴァルディが司祭とピエタの音楽教師の職も持っていたことを初めて知った。ヴェネチアの風景を舞台に慈善院ピエタに係わる人々とその人達とヴィヴァルディの心の繋がり、ヴィヴァルディの音楽の才能と素顔を素敵に描いていた。


  • クラシックコンサートへ行く道中読むために購入しました。
    スイスイ読めてファンタジーの世界に行ける本だと思います。夜寝る前の読書にピッタリでした。

  • タイトルのイメージで何か宗教的な要素でもあるのだろうかと勝手に思っていたら、全然関係なかったです。ヴェネツィアに実在したピエタ慈善院という、孤児院(今でいう赤ちゃんポスト的な場所でもあったようです)で育った娘たちと、彼女らに音楽を教えていた作曲家ヴィヴァルディにまつわるお話。

    主人公はピエタで育ったエミーリア。そして彼女と同じくピエタで育ち双子のように仲が良かったアンナ・マリーア(実在のヴァイオリニスト)や、薬屋に嫁いだジーナ、貴族ながらピエタでヴィヴァルディ音楽を学んだヴェロニカ、ヴィヴァルディに可愛がられゴシップの元にもなったアンナ・ジロー(実在の歌手)とその姉、そしてヴィヴァルディに愛された高級娼婦のクラウディアなど、ヴィヴァルディと所縁のある女たちが、ヴィヴァルディの死後、彼の思い出やヴェロニカが探している楽譜をきっかけに関わりあってゆきます。

    導入部の鮮やかさと、楽譜の謎が明らかになったときのカタルシスは素晴らしかった!楽譜の件の解決がこの作品のキモだとしたら、真の主役はエミーリアよりむしろヴェロニカとゴンドリエーレ(ゴンドラ漕ぐ人)のロドヴィーゴだったかもしれません。あとヴィヴァルディ先生のことは好きになりました。今後ヴィヴァルディの音楽を聴くときの気持ちはちょっと変わると思う。

    最後まで一気に読めたし、仮面舞踏会のきらびやかなヴェネツィアが舞台というのも素敵でしたが、細かい部分でご都合主義的な展開や端折りがあるのはちょっと気になりました。前半で大親友扱いだったアンナ・マリーアが後半まったく登場しなくなったのもなんだかな。

    冒頭でエミーリアは45歳、そこから10年以上の時間が作中で流れているはずなのに、読者にはその年月の重みがあまり伝わらないのも勿体なかったし、エミーリアの行動は年齢のわりに少々幼い部分も多かったような(だからこそ年齢を気にせず読めるというメリットもありますが)。あと、丁寧語や敬語の使い方がくどいのも少し気になりました。「お妹さん」って、なんかおかしい気がする・・・(「お弟さん」とは言わないし)。

  • 18世紀のヴェネツィアを舞台にしたお話。
    まるでヴェネツィアにいるような気分になって読んだ。
    ピエタという孤児院で育った女性が主人公で、外の世界を知りたいと思った彼女は偶然ある人と出会う。
    その出会いによって物語が展開されていく。
    それぞれ孤独であった女性たちのシスターフッドには胸打たれるものがある。
    主人公のエミーリアが、家族と言うものに属したことがないというような描写があるのだが、確かに孤児院で育ち、大人になってから結婚をしなければ、生涯家族という関係性の中で生きることはないのだと、そのことを知って愕然とした。天涯孤独とはまさにそのことで、生まれてから死ぬまで家族が一人もいないということもあり得るということに驚くとともに今まで考えたこともなかったことに、愕然とした。
    考えたこともなかったし、考えもつかないほど、家族がいるのが当たり前のことだと思っていた。
    読み終えてから随分と時間が経ってしまったが、このように思い返してみるとこの物語から様々なメッセージを受け取っていたんだと気付いた。

  • 修道院ピエタで育った孤児のエミーリアを視点に描かれた話。ヴィヴァルディ先生の死により一緒に育ったアンナマリーアや先生の周りにいた家族、クラウディア、ヴェロニカ、ジーナにより、先生との想い出により再び人々がつながっていく。
    題材が海外の話かつ昔の話だとなかなか読みにくく感じてしまうことが多いが、文章に引き込まれて最後まで読み進められた。

  • 読むのに時間がかかりすぎて、物語の着地点を見つけられなかったー。
    再読します。すみません。

  • 音楽家ヴィヴァルディの死後、彼の周りの女性を巡る物語。史実を基にしたというので、ピエタ、エミーリア、マリーア、ヴェロニカ、クラウディア…彼女の人生も実在したのかもしれない。無くなった一枚の楽譜、あったかもしれない別の人生、人々の噂。より良く生きよ、少女たち。
    煌びやかなだけではない戦禍や弛んだ仄暗さも漂う水路とゴンドラと仮面カーニヴァルの都、当時のヴェネツィアと、少女のヴァイオリンと澄んだ歌声の雰囲気が伝わってくるよう。
    ただ、繊細に丁寧に書いている分エミーリアの「わたし」の自意識というのか、背徳感みたいなものがヒシヒシと感じられてしまって、途中までミステリーなのかと思って読んでた。なぜかモヤモヤしたものが残る読後感でした。

  •  著者の人格を問うのは近代以降の悪弊と言われようが、素性を知らずに小説を読むことはないけど、四季の作曲家ヴィヴァルディは名前だけの人だった。

     失われた楽譜を求めて訪ねてきたエミーリアに、神父のヴィヴァルディとの仲を父親に引き裂かれたコルティジャーナ(高級娼婦)のクラウディアが「神様に逆らえてもお父さまには逆らえない」と語るなところは人格を問うてこその魅力。
     誤解されても困るが、女性ばかりが出てきて、どろどろすることなく、これほど心地よい物語は少ない。

  • 淡々としているが、スルスル読めた。
    当時のベネツィアやヴィヴァルディの時代のことを知る事ができ楽しかった。ベネツィアの貴族がどのように誕生したのか、ピエタの存在の意味合いが変わってきてしまった事なども興味をひきました。

著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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